混迷亭日乗 Editor's Diary

5月31日

ずいぶん回復してきたように思う。臓器の自己治癒力とでも言ったらいいのか、細胞クンが代謝して元に戻ろうとしているシステムに、ある種の感動を覚える。
そろそろギッター(目の防護器具で寝る際に使用する大きなメガネのようなもの)にもオサラバかな、という気もしている。
29日の大学院では、久しぶりの聴講の皆さん方から、気づかっていただいて、ホントに感じ入る次第。
しかし、まだ祝杯をあげるというわけにはいかないので、次の機会にお預けする。
内田先生と養老先生の対談『逆立ち日本論』(新潮社)、一気に読了。版元の紹介では風狂人、とされているが、主張がメインストリームにはなりはしないのは、やはり理解できない方々のほうが圧倒的に多いからであるからして、やむをえない。理解しようとする持久力、知的耐性というのかな、がそもそもないのかもしれない、と言っていい。


5月26日

21日午後から退院してから、はや5日目。日にち薬とはよくいったもので、少しずつ目の「まぶ痛い」(まぶしい+痛い 病院で聞いた造語)が薄らいでいくようだ。
画面にもようやく集中できる時間が長くなってきたようである。
入院中のメモはいつかまとめておくつもり。これからも、眼圧数値とのつきあいは続いていくのだから。
次回診察は6月4日。瞳孔を広げる薬を点眼されるので、クルマはご法度、電車で行くことになった。

入院中、あえて広くはお知らせしなかったのだが、遠方にもかかわらずお見舞いいただく方もあり、この場も借りて、あらためて御礼申し上げます。


5月8日

今日は入院準備のため、あたふたと。だからこんな時間になってもこうしてキーボードを叩いている。土曜日に走っていたので、今日も走ってキリをつけて入院したかったのだが、図書館や本屋に立ち寄っていたら8時になってしまい、走られず。
2週間の走れない状況、といっても最近の状況では1回パスするだけなんだけど、やっぱり、走れないという思いが強い。
たぶん、本は読めないだろうけど、持っていくことにする。ベッドサイドに本があるとなしでは大違いだから。

昨日はHTAの会長でもある末松参院議員を支援する会に出席し、神戸JCのOBの人たちと久しぶりに会って旧交があたためられたこともよかった。息子のことも話題にしてくれ、次回も案内してくれ、と言われ、たとえそれがリップサービスでもやはり嬉しいものである。


5月6日

連休最後は雨でした。新緑が一段と映えて、なんて常套句。
入院前に処理しなくてはいけないことがあって、あたふた。
土曜日に走ったので、今日は休んで、娘が出るジャズフェスにちょっとだけ顔を出す。というのは、申し訳ないけど、残念ながら、ほかのダンスグループにみるべきものがないからだ。
夕方、内田先生の聴講に来ているK大大学院生のAくん(後輩になる)を家に呼んで、晩餐。西洋古代史を専攻しているので、なにかと話題が次から次へと出てきて、気付いたらもう11時だった。


5月5日

1日。居留地の手広い実業家Eさんに、Kさんの絵を6点、お渡しした。売り先が決定してほっとしている。Kさんは、私のボスのAD面での片腕だった人で、今は静かに絵を描いて暮らしていらっしゃる。まさにstill lifeである。
清貧の生活に価値を見いだしたのはバブル期の中野孝次だったかに思うが、それもまた「清富」という荒波にのみこまれてしまったように思える。いわば「勝ち組」のちょっとうしろめたい倫理感、なのだろうか。

2日。ギャラリー島田に、息子の音源を手渡す。名倉さんが「よし」と評価していただければうれしい。それにしても、県立美術館とあろうものが、自主的事業とみなされる企画を民間に依頼し、その予算補助が雀の涙とは! 例にひきだされる雀が気の毒だ。 
帰りに神戸グロサーズによって、切れている食料品を補充。
小島毅『靖国史観』を読みはじめる。頗るオモシロイ。気鋭の学者魂、ここにあり。右翼の脅迫にもメゲズ、の見本である。

3日。名古屋へ向けて出発、したのは良かったが、甘かった。4時間あれば、と思ったが、着いたのは午後5時。大渋滞、6時間のクルマの旅であった。それでもイライラしなくなったのは、年の功か。
当然、目的である劇団クセックの公演には間に合わず。明日観ることを演出家である神宮寺啓さんに連絡。それでは、明日の11時に待ち合わせしましょう、ということになった。名古屋三越で神戸の著名菓子をお買い物して、東山公園近くの女房殿の叔母さん宅へ。一晩、お世話になる。
一戸建て住宅のお風呂は大きいので、全身が伸ばせる。気持ちよか!

4日。ゆっくり寝させていただいた。Jさんの案内でスペイン料理店「ラフエンテ」へ。小さなレスタウランテだが、頗る美味。ワインと地鶏、鯛、エイ、オリーブ実入りパンとデセールで、堪能。スペイン劇に集中しているJさんならではのお接待に感謝!
昨日、偶然にも劇場の案内で知った「若沖と江戸絵画展」を上の階にある県立美術館にて鑑賞。プライスコレクシオンでの公開は名古屋が最後であった。若沖はもちろん応挙や蘆雪や琳派などの作品もあり、女房殿も「良かったわね」とご満悦。

劇「ヌマンツィア」は、ローマ帝国時代、現在のスペインの小さな都市国家がローマ軍の波状攻撃に16年も耐えていたのが、そこにローマの知将スキピオがついに登場。執拗な包囲作戦により、兵糧を切断、籠城したヌマンツィアの軍、住民のすべてが「隷属する幸福よりは名誉の死を」と自決し、火を放って、一切をローマ軍に手渡さなかった、という故事を描いたものだ。作者はセルバンテス。
グレー主体の舞台美術に、象徴的な鮮烈な赤。動く彫刻と呼称されるクセックの役者たちの造形は健在。
1時間40分はあっという間に終わってしまう。
毎年、水準の高い演劇を見せてくれる神宮寺さんにお礼の意味をこめて、今年7月のスペイン公演の足しにとカンパさせていただく。昨年に続いて、スペイン公演での評価がさらに高まればうれしい。

叔母さん宅でシャワーを浴びて、軽くご飯をいただいて、午後8時に名古屋を出立。帰りは、スムーズに2時間40分で神戸着。次の日にならないうちに帰ってこられた。


03年3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
04年1月
2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
05年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
06年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月
06年12月&07年1月2月3月4月