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大震災関連ニュースの抄録です。編集長のコメントはマルーンカラーで明示します。


■2月1日

如月の随想 震災の記憶の体内時計

 神戸では震災のことはほとんど話題にならない。誰がどのような悲惨を秘めているかわからないからである。〈中略〉
 「記憶を風化させるな」とことごとに叫ばれる。しかし、忘れたくもあり忘れたくもなし、である。震災の記憶を継承する「人と防災未来センター」で災害を再現したビデオは空襲の記憶と重なり、イラクの今をも想像してしまう。街角のお地蔵様が増えた。地蔵盆が盛んだという。これは記憶の浄化であろう。全国の防災システムが向上したのならそれはよいことだ。(兵庫県こころのケアセンター所長・精神科医 中井久夫 神戸新聞 2月1日)

 中井さんは今では午前5時過ぎに起きてしまうからだになったという。いわば震災の奇妙な痕跡である。私は小さな音の目覚ましで5時25分に起きる。先生のような体内時計はない。ま、鈍なのだろう。
 去年、神戸市民の25%が震災を体験していないと聞いたら、この一月には、もう30%だという。すさまじい勢いで市外流出、市内流入がおこっているのだろうか?

■1月19日

 
軌跡 被災マンションの12年 最後の一棟 
 再建へ 終わりなき震災

 
阪神・淡路大震災の被災地でただ一つ、今も再建に着手できていないマンションがある。宝塚市の「宝塚第三コーポラス」(5階建て、131戸)。1974年に建設され、震災では「半壊」判定を受けた。
 震災の4カ月後、業者は補修見積もりを一戸約580万円とした。その額の大きさに、立て替えを望む住民が増え、97年11月には約9割の賛成で建て替えを決議した。翌月、補修派住民2人が提訴、「決議は有効」とする大阪高裁判決が確定するまで6年以上かかった。
 進まない復興に多くの住民は生活拠点を移していた。住民が去り、時間が止まったような宝塚第三コーポラスで、今も一人、生活を続ける女性(72歳)がいる。裁判原告の一人。裁判は負けたが、その後、建て替えの計画は決まらず、自分の転居先も見つからないため住み続けている。「ここは『終の住処』と思っていた場所。出ていけと言われるまで住むつもり」
 12年間務めてきた管理組合の理事長、山口正治さんは「新たな計画づくりを進めても、ほとんどの人が戻れない。再建とは名ばかりの、つらい清算事業」とつぶやいた。
 震災から13年目、被災地最後のマンション再建事業にはまだ、いくつものハードルがある。震災は終わっていない。(磯辺康子記者 神戸新聞 1月19日)

「なんて運が悪いのか、とは思います。でも、管理組合発足の時、こんな事業は一生に一回。やりとげよう、と言った。自分が背を向けるわけにはいかない」という山口さん。一方で、年金収入しかない女性が悪いわけではない。
 建て替え支援はあっても、補修支援が乏しいのも現実だ。
最後の一人まで支援するといったNGOがある被災地で、最後の一棟の行く末を誰が支援できるというのだろう。

■1月12日

 
震災12年・追悼関連行事 次世代に教訓の継承を
 学校・園で過去最多 防災教育や避難訓練 寺院では犠牲者の13回忌法要も 


 阪神・淡路大震災から丸12年を迎える一月を中心に、追悼関連行事を開く学校・幼稚園が過去最高になることが「市民による追悼行事を考える会」のまとめでわかった。直接の震災体験がない子どもたちに、教訓や防災意識の継承をめざす取り組みが多いという。
 また今年は仏教での節目にあたる十三回忌になることから、17日正午に鐘をつく教会・寺院・廟は昨年の168件から大幅に増えて236件になる。神戸港などでは35隻の船舶が汽笛を鳴らす。(神戸新聞 1月12日)

 
昨年、ある話し合いの席で、「どうして1.17に追悼せなあかんの。追悼のためというなら、ふだんの日常の中で、人災を避けるいろんな運動をしていかなあかんのとちゃうの」という方がいた。正論ではあろうが、すべからず記念行事というものがマンネリ化していく、風化していくのは避けられないのではあるけれど、それでも、いつも決まって追悼するというかたちがあるのであれば、それはそれで人の精神の安定には役立っていると思われる。
 現場に出かけ、型ではあっても、その場にいること自体の行為を駄目だ、というのは僭越ではないだろうか。
 個人レベルでの、追悼の深浅はあっても、現場で手を合わせることは、案外大切なことなのだ。

■2007年1月4日

今年も災害支援募金 コープこうべ

 阪神・淡路大震災を機にコープこうべが設けた災害緊急支援基金の募金が、3日までに県内の大半の店舗に始まった。毎年、震災の起きた一月に集中募金に取り組んでおり、今年も協力を呼びかけている。
 これまでに新潟県中越地震やジャワ島中部地震など国内外の被災地に約1730万円を贈っている。今年の集中募金は全155店舗で実施。郵便振替でも受付、口座番号は01120-2-32300 加入者名は「コープこうべ災害緊急支援基金」(神戸新聞 1月4日)

 
95年の震災で本部ビルが全壊したコープこうべ。99年に当時の支援への感謝と震災の風化を防ごうという思いから始まった募金活動だという。継続事業として続けられるか否か、一つひとつの事業が毎年試されている。

■12月18日

神戸ルミナリエ 継続開催 資金難でピンチ
 警備費↑ 来場者↓ 頼みの綱は個人募金  

 阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、街の復興を願う光の祭典「神戸ルミナリエ」の継続開催が、資金難からピンチに陥っている。企業協賛金が年々減っている上、本年度から震災関連の公的補助金が無くなったためだ。会場には毎年、500万人前後、訪れるが、その来場者数もクリスマスを期間から外した前年から減少。
 主催の組織委員会によると、総事業費は約6億円。支出内訳は05年を例にとると、筆頭は警備費の1億6300万円、イルミネーション本体制作費1億5900万円、残りを運営、広報費に充てている。警備費は00年、9800万円だったが、01年夏の明石歩道橋事故を機に雑踏事故対策を強化、毎年増額してきた。逆に本体制作費は00年の2億7600万円から大幅に圧縮。
 対する収入は企業協賛金が2億9300万円、神戸市と兵庫県からなどの公的補助金が2億500万円、募金とグッズ販売収入などが8000万円でなんとか均衡した。(12月16日 神戸新聞)
 
 
鎮魂と復興、残念ながら、このコンセプトが色あせて見える現在のルミナリエ。なんとしてでも継続すべきイベントなのかどうか、市民一人ひとりが考えているのではなかろうか。開催当初は別にして、表には出てこない声、神戸市民で参加しない人々もまた多い。

■11月29日

ジャワ島地震半年 揺れに強い住宅が完成 ヤシ材活用 住民に「防災教育」
 バントゥル県に25棟 神戸のNPO 再建支援  

 27日で発生から半年を迎えたインドネシア・ジャワ島中部地震の被災地で、NPO法人「CODE海外災害援助市民センター」が住宅再建を支援していた集落の木造住宅25棟が完成した。現地の木材などを活用して、地震の被害も減るように工夫した。
 ジャワ島では、もろいレンガ造りの家屋が多かったために大きな被害が出た。CODEでは身近な材料で耐震性も考える建築家のエコ・プラウォットさんに協力。最も被害の大きかったパントゥル県ボトクンチェン集落に。寄付で集めた300万円を提供した。
 22日の完成式に出席した村井雅清理事は「地域の環境に応じた材料を使えば、住民も住宅の強さに関心を持つ」と話した。(11月29日 神戸新聞)

 
作業には住民が200人も参加し、建築家の指導に従い、自分達の手で建てたという
。政府の住宅再建補助は鉄筋に限られているというが、このような複線思考に基づく再建が認められないのは、やはり近代の呪縛なのか。

■11月12日

人と防災未来センターが 災害ボランティア育成教材作成
 ワークショップの手法を解説  

 人と防災未来センターはこのほど、災害ボランティアを育成するワークショップのやり方をまとめた教材『災害ボランティア 実践ワークショップガイド』を発行した。市民や行政職員、ボランティア団体の指導者らが研修に使えるように、実際のワークショップの様子も盛り込むなどして、わかりやすく解説した。
 6部構成。被災の具体的ケースの紹介、避難所を想定したワークショップの進行手順、プライバシーの保持、被災者の要求調整のための議論進行方法など。300冊を希望者に無料配布する。人と防災未来センターHP参照のうえ、所定の様式で電子メールかファックスで申し込む。同センター事業課078-262-5067(11月11日 神戸新聞)

 
これも震災が生み出した記憶の記録である。事前の訓練といってもいい。教訓というよりも切実な対処法だ。まだ被災していない地域の人々にこそ必要と言える

■10月23日

 
震災10年過ぎ、やっと 翠が丘マンション起工
 未再建・未補修の4物件で初めて  

 阪神・淡路大震災で半壊し、解体された芦屋市の「翠が丘マンション」の跡地で24日、新マンションの起工式があった。来年10月に完成する予定。震災で全半壊し、建て替えも補修もされていない神戸・阪神間の4件のマンションのうち、最初の着工となる。新マンションは41戸(旧48戸)。被災マンションの再建を支援する特例補助制度を活用する。再建前の住戸(一律約40?)とほぼ同じ広さの最小タイプを取得する場合、住民の負担は約1300万円。再建後に戻る世帯は、21戸にとどまるという。(10月23日 神戸新聞)

 
残る3件のうち、2件は解体中、宝塚市の
一件だけは、具体的な計画が決まらず被災当時のままとなっている、という。

■10月16日

新潟・中越地震 仮設住宅住民 半数が「集落に戻らず」
 100世帯調査 今後の生活不安は81%  

 発生から23日で2年となる新潟県中越地震で被災し、仮設住宅で暮らす100世帯を対象に共同通信が実施したアンケート(長岡市、小千谷市など)で、約半数の49%が地震前に住んでいた集落を離れ、別の地域に移り住む意向を示していることがわかった。今後の生活に不安を感じている人は81%にのぼった。
 災害時こそ、人のつながり。半数の人が仮設住宅に設置された集会所や談話室、義援金の分配・交付が役に立ったと回答した。(10月15日 神戸新聞)

 
阪神・淡路大震災での教訓が生かされたといっていい。不足していたのは、住宅再建の支援や支援対策の説明、豪雪対策などが上位を占めた。しかし、現在、1600世帯、約5300人(最大時約9600人)が入居しているが、仮設住宅がなくなれば、またバラバラになってしまうという不安はつきまとう。

■10月6日

 
のじぎく兵庫大会 北海道、三重、新潟の選手団へ
 被災乗り越え 頑張って 神戸のNPO法人 応援団を結成  

 兵庫県内で14日から16日まで開かれる第6回全国障害者スポーツ大会「のじぎく兵庫大会」に向け、災害被災地の救援に取り組むNPO法人「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」が、北海道、三重県、新潟県選手団の応援団を結成した。いずれも近年、自然災害で被害を受け、同法人のボランティアらが支援に入った地域。「被災した選手もいるはず。同じ被災者として励ますことができれば」と応援の準備を進めている。(10月6日 神戸新聞)

 
知らせを受けた
各選手団からは、「新たな出会いを楽しみに、ベストを尽くしたい」との返信が届いた、という。デイサービスに通うお年寄りたちも応援に行くことを楽しみにしている、とか。またここで、新たなネットワークが広がることだろう。
 実は、私の所属するトライアスロン・クラブ「ギルガメシュ」からも、選手が水泳に出場する。彼は脳腫瘍の後遺症で左半身が不自由だが、片手でクロールを泳ぐ。昨年の岡山国体に続いて、予選を突破した。
 彼は障害を持つことで、逆に、周りの人たちとともに「生きること」、「努力すれば報われる」を体感した。
 会場の尼崎・スポーツの森で14日、スタートを切る。もちろん、仲間とともに応援に行く。

■9月22日

木枠で構成 耐震建築に新工法「j・pod」 強さの秘密は「ロ」の字形
 間伐材のしなりが、揺れを分散 工期も短く、低コスト
 宝塚で初の実用化 

 阪神・淡路大震災の教訓を生かそうと考案された、耐震性の高い「ジェイ・ポッド」と呼ばれる木造建築の新工法を用いた住宅の建設が、宝塚市の福祉施設で進められている。柱で支えるという従来の考え方を転換。「ロ」の字形の木枠を等間隔に並べて木材のしなりを利用することで揺れの力を「逃がす」という。実用化は全国初で、関係者は「工期が短く費用も安い。これを機に全国に普及すれば」と話している。(9月22日 神戸新聞)

 
エンドウ豆のさや(pod)のような木枠(約3m四方)でできた箱をつなぐ(joint)ことから名付けられたこの工法は、京都大学大学院地球環境学の小林正美教授ら建築業者らのチームが昨年、開発したもの。
 単一小口径木材で作るため、スギの間伐材の使用が可能。強い振動を受けても建物全体が変形して力を逃がすという。実用化されるのは、重度障害者入所施設「はんしん自立の家」(宝塚市美幸町)。
 震災のときには災害弱者になると想定される障害者にとって、こころ強い建物になりそうだ。コストパフォーマンスに優れ、いまという時代に適合した木造というのがいいではないか。まさに、教訓が生きた証といっていい。
 今では、全国の自治体なども注目しているという。

■9月13日

震災10年後 兵庫県調査 76%の人が被災者意識なし
 経済的影響を「脱した」は半数

 兵庫県は12日、阪神・淡路大震災から10年の2005年1月時点で実施した「生活復興調査」の結果を公表した。それによると、75.5%の人が被災者意識は「なくなった」と答えていることが判明。一方、震災の地域経済への影響を「脱した」と答えたのは半数にとどまり、今なお震災が経済面に影を落としていることも明かになった。調査は、99年の予備調査から始まり、01年、03年と継続してきたが、県は今回で終えるという。(9月13日 神戸新聞)

 
調査対象は震度7地域と都市ガス供給停止地域の計3300人に調査票を郵送、1028人からの回答。
 震災体験を「得難いものだった」とする人は8割強、一方で未だに2割近くの人が「家計に影響が残る」「被災者だと意識」、3割の人が「震災体験を過去から消したい」としている結果、個人の復興感の高まっている人、低くなっている人がともに増加し、全体として高まらず、ばらつきが広がっていることをどう見るか。
 震災のせいにはしたくないけれど、やはり「あの震災がなければ」という思いはあって当然だろう。
 とある寄り合いで「なんで、1.17に集まるの? その社会的な意味合いはなんなん?」という問いかけがあり、居合わせたそれぞれが思いを吐露したのだが、その問いは震災体験と社会改革との流れが大きな力を出し得ないことへの不満とも受け取れた。

■8月28日

 21世紀の針路 世界的な災害多発時代へ 二つの震災体験を生かしたい

 深刻な途上国の災害環境の悪化に対して、わが國が経済発展の過程で犯した失敗事例を具体的に提示することによって、同じ轍を踏まないように事前対策を講ずることの大切さを訴えたい。
 …(わが國にとっても)今世紀半ばまでには必ず発生する東海・東南海・南海地震や首都直下地震の被害像が、今もってはっきり見えていないからである。
 不安な要素は、例えば過密巨大都市の各種ライフライン群の高度の相互依存性や、数千にのぼる中山間及び沿岸部の孤立集落の発生である。「情報」が介在して、世界的に未経験の、複雑系の巨大複合災害になることがはっきりしている/減災の成否は、その被災シナリオをイメージできるかどうかにかかっている。(河田恵昭/客員論説委員、京大防災研究所長、人と防災未来センター長 8月28日 神戸新聞)

 
はっきり言われてしまった。必ず起こる大地震。キーワードは複雑系巨大複合災害、だ。
 過密な都市部から過疎化・高齢化の山間部まで、高度成長期からバブル経済破綻期までの約40年間、幸いだったとしか言いようがなかった。その間、災害に脆弱な国土になってしまったのは、慢性病の公害と急性病の災害に蝕まれやすい体質に変わったからだ、と先生は言う。
 アジアでは、爆発的な人口増加→短縮型工業化による経済発展→都市拡大→環境悪化+地球の温暖も相乗→災害発生特性の変化、という特徴が顕著だ。
 専門家の杞憂だとは思えない。為政者及びそれを選出する国民への警告である。

■8月23日

 
仮設住宅建設支援へ ジャワ島で神戸大学調査団
 地元大学と連携 現地視察報告会

 今年、地震と津波に相次いで襲われたインドネシア・ジャワ島の被災地を訪れていた神戸大の建築学系の調査団が22日、長田区の神戸フィールドスタジオで報告会を開いた。地震被災地では竹の支柱をブルーシートで覆っただけの簡易テントが多く、10月の雨期までに被災者向け住宅の確保に見通しをつける必要性を指摘。今後、現地の大学と連携しながら、仮設住宅の建設を支援していく方針を示した。
 塩崎賢明・工学部教授は、現地の連携大学による復興支援計画を紹介。まず鉄筋コンクリートのごく小規模な仮設住宅を建設、復興の進展に伴って恒久住宅へと核大させるという。政府の公的支援の見通しがつかないなか、すでに一部の村で建設が進められ「阪神・淡路大震災でも実現しなかった効率的な手法」と評価した。(8月23日 神戸新聞)

 
かつては竹や木造の住宅が多かったが、ここ50年ほど前からは見かけのよいレンガづくりが増えていたそうである。別の村では、竹で耐震性を確保できる仮設住宅も提案されているそうで、風土に見合った家の見直しを考えているというところだろうか。日本で伝統工法での木造が見直されているように。

■8月17日

地震被害の神戸ートルコ 被災地結ぶ 草の根組織
 現地派遣の市職員ら結成

 1999年8月のトルコ北西部大地震で被災地に派遣された市職員5人の呼びかけで、神戸ートルコ友好協会「トルコーべ」が結成されることになり、地震から丸7年の17日、中央区内で設立総会が開かれる。帰国後も継続した現地と神戸との友情が実を結んだかたちで、市民レベルでの文化交流などを目指す。(8月17日 神戸新聞)

 
国際緊急援助チームの一員として現地入りし、避難所の運営方法や仮設住宅の提供などを求めて活動したことから、その後も、トルコ人迎賓を販売して被災地支援に充当するなどして継続。現在、神戸在住のトルコ人など約100名の会員がいる。http://www.kcc.zaq.ne.jp/canal/

■8月13日

 
スーパー都市災害から生き残る 河田恵昭 著
 具体的「防災術」を示す 現場を知る研究者の視点

 防災研究の第一人者が書き下ろした実践的な災害対策本。著者は「人と防災未来センター」のセンター長、京都大学防災研究所長を務める。東京のような大都市で災害が起これば、あらゆる種類の災害が同時多発的に起こり、時間を追って」災害の様相も変わっていく。著者はそれを「スーパー都市災害」と名付け、最悪の事態を想定した備えを提言する。
 スーパー都市災害は「一言でいえば大複合災害」という。阪神・淡路大震災のような「都市災害」の規模をはるかに超え、都市は経験のない混沌に陥る。
 東京では、阪神・淡路大震災の教訓が伝わっておらず、あのときの経験のうち何が使えるのか、何が使えないのかがわかっていない」と話す著者。自分の身を守る技術を「文化」として継承し、日常生活のなかに根付かせていくことが「減災」につながると訴える。(社会部・磯辺康子)
(8月13日 神戸新聞)

 
過去の災害の経験値から打ち出された数字を基に、対策を講じるのだが、生き残るための防災術は、個人、企業、自治体とそれぞれでできる備えのなかにある。兵庫県も、「公助」(施設的な整備)でできる限界を明確に示し、住民の力とともに減災社会を目指そうとしている。

■8月6日

 
東京の被災地支援グループ 神戸の全小学校に絵本寄贈
 子どもの素朴な言葉 綴った一冊

 阪神・淡路大震災の被災地で支援コンサートを続けているグループ「企画室篁(たかむら)・USA」(東京)はこのほど、子どもの素朴な言葉をもとに「母親が綴った絵本「にんげんのお花は?」(新風舎刊)を神戸市内の全小学校に送った。同グループは、東京都練馬区の主婦、榎戸敬子さん(63)が主宰し、10年前から神戸市内の小学校などでプロの音楽家の巡回コンサートを延べ約140回開催。カリフォルニア州での震災展なども開いてきた。
 神戸の小学校に贈った絵本は榎戸さんの長女、田崎文子さん(33)の作品。長女のあずささん(5)が発した言葉をもとに文を綴り、文子さんみずからが絵を描いている(日本語版/英語版)。(8月6日 神戸新聞)

 
ある活動や、しきたりが
世代が続いて受け継がれていくのは、素晴らしいことだ。祖母・母・娘、いのちが受け継がれていくとは、こういうことも含めての謂いだと思う。

■7月28日

 
山古志小児童 復興学ぶ 神戸の経験を故郷に
 人と防災未来センターを見学 長田の住民らと交流

 新潟県中越地震で全村避難した旧山古志村(現・長岡市)の小学生(8人)と保護者らが27日、神戸市を訪れ人と防災未来センターを見学した。29日まで滞在し、神戸の被災者らと交流する。
 主催したボランティア「災害応援にゃんこ隊」の代表、河合純さんは、「復興はこの子たちが、大人になるまでつづく。神戸の被災者に出会い、自分にできることを考えてほしい」と話した。(7月28日 神戸新聞)

 
地震から1年半。農業や錦鯉の養殖など地場産業は大きな打撃を受けたままだという。学校に戻って、青年になるまで、彼らは地元で復興の過程を見ることになるし、そのなかでどう関わっていくのか、考えていくことだろう。神戸の経験が、プラスマイナスの分も含めて、活かしていければいいのだが。

■7月24日

市議汚職究明 幕引きを許さぬ
 元町街頭で、市民団体訴える


 元神戸市議村岡功被告と、長男の市議村岡龍男被告が関わった汚職事件の全容解明を訴え、市民団体「神戸再生フォーラム」が23日、元町で街頭活動をした。「市会与党(自民・公明・民主)真相究明の幕引きを図ろうとしている事態を。市民の取り組みで打開しよう」とメンバーや野党市議ら約20人が、買い物客らに訴えた。矢田市長に対しても「自分の責任を認め、真実を話すべき」などと求めた。(7月24日 神戸新聞)

 
従来より、汚職事件の全容解明、というのは、なかなかにわからないように処理されてしまう。裁判で結審すれば、それで一件落着。よほど、一匹狼のジャーナリストが執拗に追いかけない限り、推定ですらできないことになってしまう。関係者が真実を話したとして、真実かどうかの査定が困難だから、廻りから多面的に補足しなければならない。それには時間がかかる。
 地元のマスメディアに本気で解明する力があるか、と問われれば、それもまた、疑問符がつきまとう。
 今の野党議員も全力をあげているのだろうが、公的立場ではない、その意味では、失うものを持たない市民団体が一番ねちっこくやっていけるのかもしれない。

■7月13日

 
神戸市議汚職 村岡親子、地検が追起訴 
 収賄計4300万円 捜査終了


 神戸市の産業廃棄物処理施設をめぐる汚職事件で、神戸地検特別刑事部は11日、元神戸市議村岡功容疑者と、長男で同市儀の辰男容疑者を斡旋収賄罪で追起訴した。一連の汚職事件で、02年4月から数回にわたり、市環境局長らに、大阪府の大手産廃界会社の進出に許可を与えないよう要求し、その見返りとして、二人が受け取った賄賂の総額は4300万円に上る。(7月12日 神戸新聞)

 
村岡親子の個別事件ではないことは、もはや周知のことだろう。行政、市議会が今後、どのような改革案でもって、防止策を講じるのかまださだかではない。   議会特別委員会でも与野党で対立しているし、法令順守条例案をめぐっては市と議会が対立している。根本的なところでは責任があるはずの市長はもっぱら高みの見物か?

■7月4日

国体にあわせ「震災記録展」 寅さん、ゆかりの地を紹介
 神戸学院大生、長田区職員連携の資料室 資料や写真を公開


 のじぎく兵庫国体で神戸に訪れる人らに阪神・淡路大震災について知ってもらおうと、国体が開幕する9月30日から、長田区の県立文化体育館などで、「阪神淡路大震災の記録展」が開かれる。神戸学院大学の学生が、長田区役所の職員らと連携して内容を検討。震災の年に長田でロケがあった映画「男はつらいよ」シリーズに焦点をあて、「寅さん長田に帰る」と題してポスターなどを展示する。(7月4日 神戸新聞)

 
長田区役所職員有志が運営する「人・街・ながた震災資料室」が保存している資料や写真、品物などを公開する予定だが、関わる学生たち17人は、映画「寅次郎紅の花」に登場する場所等を紹介する地図を制作する、という。広く市民にも関連する資料等があれば提供してほしい、ということだ。問いあわせは長田区役所まで(579-2311)

■6月26日

高齢者の「食」支援 孤立防ぐ活動に課題
 ふれあい喫茶 住民支え合いに限界/食事会 ボランティア高齢化
 配食 廃止の団体も


 阪神・淡路大震災後、高齢者支援、コミュニティづくりを目的に、仮設住宅などで盛んになった「ふれあい喫茶」や「給食・配食サービス」。「食」を通じて孤立を防ぐ取り組みは、復興住宅などで受け継がれている。新たな展開を見据えて活動するケースがある一方、担い手となるボランティアの高齢化、運営費の確保等が各地で課題となっている。(6月25日 神戸新聞)

 
ふれあい喫茶の場合、全体の高齢化に加え、一人暮らしの高齢者が増えれば、住民だけで支え合うのは無理なので、NPO法人や大学生など外部のボランティアが支えざるをえないのが現状だ。それが食事会や配食サービスとなるとボランティア自体の高齢化が進んだり、行政の助成がなくなったりで、後継するのがむずかしくなってきている。
 年々進む高齢化、じわじわと寄せてくる波に対応するに、ボランティアまかせはないだろうと思うが、これも行政の効率化のなかで埋もれていくのだろうか。

■6月13日

 
ジャワ島地震 学校の被害が甚大 神戸のNPOスタッフ帰国
 子どもの心には傷


 インドネシア・ジャワ島中部地震の被災地に派遣されていたNPO法人「CODE海外災害援助市民センター」のスタッフ2人が12日、帰国した。吉椿雅道さんは、「住宅に加え、学校の多くが倒壊、子どもたちはテントを貼った『青空教室』で授業を受けている。放心状態となったり、小さな余震に脅えたりする子もいる」とし、トラウマケアの必要性を指摘した。(6月13日 神戸新聞)

 
これに加え、伝統産業(農業、バテック、陶芸など)が大打撃を被っている。中長期的な復興支援のために何ができるのか、CODEは20日午後6時半から神戸YMCA会館(中央区加納町2)で報告会を開く予定だ。078-578-7744
 募金は郵便振替口座00930-0-330509(加入者名:CODE 通信欄に「ジャワ島中部地震」と記入する)

■6月5日

県内被災地、公立小中学校の耐震化進む

 兵庫県内の公立小中学校は、阪神・淡路大震災による財政難で遅れていた神戸、阪神地域での取り組みが進み、前年からの耐震化率伸び率が5.3%と全国で5番目の高さとなった。耐震診断実施率も全国平均を上回り、神戸、三田、豊岡、淡路市など11市町で100%を達成した。(6月3日 神戸新聞)

 
新耐震基準が導入された1982年以降の建物を含む耐震化率は54.6%。一方で1981年以前に建てられた校舎や体育館の耐震化診断率は73.7%。耐震化診断率を今年中に100%に達するようにしたい、と県教育委員会は言う。
 全国的には、30%以上が財政難を理由に診断していない。文部科学省は「費用はわずか。首長らの安全意識を高めたい」と呼びかける。
 耐震化率80%を越えているのは神奈川県、静岡県というのは納得だが、診断率が新潟県で上昇しているのに、福岡県は一向に上がっていない。同じ被災県なんのにこの落差、島嶼部限定だっから、というのではあまりにもお粗末だ。

■5月28日

 
震災被害ようやく確定 評価基準なく 作業手探り
 災害の教訓伝える責務も 消防庁と兵庫県


 消防庁と兵庫県は、阪神・淡路大震災の被害状況を、発生から11年4ヶ月を経て、ようやく確定させた。兵庫県内の全域に広がった住宅被害は。地震の揺れのすさまじさや耐震化の必要性をあらためて示した。一方、巨大被害の教訓は後世に伝えていかなければならないが、被害の実態をどう評価するのか、明確な基準はなく、手探りの確定作業が続いた。(5月26日 神戸新聞)

 
例えば、住宅の一部損壊は、05年3月まで税制の優遇措置が続いて罹災証明書の新規発行可能性があったため、神戸市等の棟数が計上されていなかったが、再調査の結果、126804棟が増え、全壊・半壊を合わせると639686棟になった。今なお行方不明者は3人、である。どこかで線引きしなければ統計としては確定しないため、一旦ここで確定したというわけである。消防庁は、追加すべき状況が現出すれば、ただし書きとして対応する、としている。
 一つ一つの数字に、それぞれの物語と記憶がある。それを語りつぐ人がいる限り、どこかでそれを受け継いでくれる人がいるはずだ。細いかもしれないけれども、それが絆だろう

■5月26日

 
神戸市議汚職 市が口利き文書を公開 「断りなくけしからん」
 村岡功被告の具体発言記載


 神戸市議村岡功被告の汚職事件で、神戸市は26日、同被告が市の外郭団体「神戸港埠頭公社」に再開発コンペの参加業者を紹介していたことを示す「口利き文書」を公表した。同被告が公社幹部に「急いでいるので8月にも契約したい」と要求するなど、具体的なやりとりが記載されていた。市が口利きについての文書を公表したのは初めて。
 ポートアイアランド・コンテナバース跡地の業務用施設ゾーンについては、コンペ前の04年7月に二回にわたって、公社幹部ら二人が村岡被告を訪問。同被告は一回目の訪問で自動車学校を経営する業車を紹介、二回目には「(自分に)断りなく社長に面会することはけしからん」「(業者が)急いでいるので、8月にも売買契約をしたい(購入する土地の)面積は五千坪」と要求した。(5月26日 神戸新聞)

 
いやあ、あからさまですねえ。
 たぶん、うちの事務所の前の歩道橋から西に見える自動車学校、でせう。今年3月末にはオープンした、と聞くが、はたしてどうなんだろう? あまり自動車が橋ているところや、生徒さんが出入りしているのを見たことはない。
 
ま、開いた口がふさがらないので、どうでもいいけど、ね。

■5月7日

 隠す行政、つけこむ議員「口利き」根深い病巣
 「改革は、トップ次第」 神戸市議逮捕1ヶ月
 大平光代・元大阪市助役に聞く


 一連の汚職事件は行政に介入する議員の「口利き」が焦点となっている。口利き問題をめぐる議会との対決から、昨秋、大阪市助役を辞任した弁護士の大平光代さんがインタビューに応じ、「大阪と構造は同じ、非常に根深い問題」と述べた。神戸市が「圧力はなかった」とする姿勢を疑問視し、「自浄能力を見せていない」と指摘した。(5月5日 神戸新聞)

 
要は「市長が変わるなければ何も変わらない」。「変わる」と「代わる」では大違い。記事では、現職の変身があれば、まだ可能性はある、という意味合いだし、大平さんが「代わる」という意味で述べたのなら、「辞任を薦める」という意味合いになる。大阪市の関市長の例を見れば、真意は前者のようであるが、矢田市長は「職員に責任なし」という立場なので、今のところ「変わる」つもりなないようだ。

■5月1日

 
神戸市議汚職 市役所秘書室を捜索
 神戸地検 関係資料を押収 


 神戸市資源リサイクルセンターをめぐる汚職事件で、斡旋収賄容疑で再逮捕された神戸市議の村岡功容疑者が、同市職員に圧力をかけて委託先を変更させたとする容疑を裏付けるため、神戸地検特別刑事部は1日朝から、神戸市役所の秘書室や同センターなど関係先を家宅捜索した。特別刑事部は、矢田立郎市長や助役らの関係資料などを押収し、詰めの捜査をすすめるようだ。(5月1日 神戸新聞)

 
毎日、次から次へと経緯を調べるための捜査の進展が見られるため、ニュースが引きも切らない。秘書室は市長の窓口、いわば首長の中枢といってよい。市長の責任はまぬかれまい。
 どこまで続くぬかるみぞ、というところだ。

■4月29日

 
神戸市議汚職 村岡容疑者ら再逮捕
 斡旋収賄容疑 暗に賄賂を要求 
 委託先変更 矢田神戸市長も了承


 神戸市資源リサイクルセンターの管理・運営先をめぐり、神戸市職員に圧力をかけて委託先を変更させたとして、神戸地検特別刑事部は28日、神戸市議村岡功容疑者を斡旋収賄容疑で、産廃処理会社「大本紙料」元写真長、大本明秀容疑者を贈賄容疑で再逮捕した。村岡容疑者「気持ちだけでいい」などと暗に賄賂を要求し、大本容疑者が200万円を手渡したという。(4月29日 神戸新聞)

 
市の環境局長は「圧力ではないが、(村岡団長に)理解してもらえなかったので、予算が通らないと困る」と思い、管理・運営先の変更につながったと言う。
 自民党の他の市議の自宅や事務所へ捜索も波及した。まだまだ、真相解明には時間もかかりそうだが、疑惑の徹底追及を望む市民の声は大きくなっている。
 福祉畑の市長だけに、その責任を問う声も、もちろん高まると思われる。

■4月26日

 
神戸市職員 不正を認識 神戸地検聴取に供述
 市議汚職事件 村岡容疑者ら起訴


 産業廃棄物処理施設の設置認可をめぐり神戸市の要綱が改正された汚職事件で、神戸市議・村岡功容疑者の圧力を受けた市環境局職員が神戸地検特別刑事部の調べに対し、「村岡容疑者の意図がわかっていた」などと、要綱の改正は裁量権を逸脱し、不正と認識する供述をしていたことが25日、わかった。これまで神戸市は「不正はなかった」とし、職員の関与を否定していた。
 ただ、特別刑事部は、市職員については「違法な行為とは認定していない」と立件は見送る方針。(4月26日 神戸新聞)

■4月16日

 村岡市議汚職 疑惑全容解明へ怒り結集
 市民団体 動き活発化


 斡旋収賄の疑いで逮捕された事件をめぐって、自民団体の動きが活発化し始めている。相次ぐ疑惑の浮上に捜査の同校を見守っていた各団体だが、臨時市会の開催や、逮捕後初の市長会見など市当局側の動きに対応する形で始動。真相究明に向けて市民の関心を高めていくため、それぞれに該当での訴えや緊急集会などで問題点を指摘していく。(神戸新聞 4月16日)

 矢田市長は「市職員に不正はない」と記者会見で断言した。しかし、今回の事件での緊急会見ではなく、定例記者会見での発表である。市としては、それほど、重大な瑕疵があったとは考えていないようだ。
 一方で、市民団体が動き始めた。「ミナト神戸を守る会」は該当での訴え、「神戸再生フォーラム」は、緊急集会の開催、「新しい神戸をつくる市民の会」は、市会(4月下旬予定)や特別委員会(5月連休あけ頃)の傍聴に参加を、と訴える。
 市当局に圧力をかけ、当局は圧力を受けて意のままにしたかどうか、いわば「あうんの呼吸」の世界は限りなく黒い疑惑につつまれているようだ。

■4月12日

 
村岡容疑者 19年間、本会議で質問ゼロ
 舞台裏に専念、浮き彫り 「議会は看過」 批判と反省


 神戸市の産廃処理施設をめぐる汚職事件で、市議の村岡功容疑者が逮捕されてから12日で一週間。同容疑者は、記録が残る過去19年間、市会本会議で一度も質問に立っていないことがわかった。一方で、密室での市当局への働きかけは常態化していたといい、市民に見えない舞台裏で「影響力」を培ってきた実態が浮かびあがる。ほかの公共事業でも同容疑者が市当局に圧力をかけていた疑惑が次々と明らかになっており、市民らは「それを許してきた議会の体質も問題だ」と批判している。(神戸新聞 4月12日)

 野党市議の林英夫氏(一期目 元・ニュースキャスター 建設水道常任委員会所属)は、自身の口利き経験から、『うわさには聞いていたが、市議に頼んで成果が出たら「謝礼」を、というしきたりが浸透している』とコメント。懐柔と恫喝が横行する市議会の体質を変えるチャンスと見ている。
 しかし、市議会全体が自浄能力があるかどうかはまだまだわからない。最大会派自民党は22人、与党は圧倒的多数を制している。野党会派は与党に遠く及ばないのが現実。地元マスメディアの執拗な追及姿勢が望まれる。

■4月8日

 
ごみ収集にも圧力 他業者から不満噴出
 「村岡王国」崩壊、始まる 参入4社業務返上を表明


 「村岡の力を借りて参入したんやろ」 産業廃棄物処理業者との汚職事件で、神戸市議の村岡功容疑者(68)が逮捕された翌日の6日、今春から家庭ごみの収集に参入した4社は「傭車(ようしゃ)*」の返上を申し出た。新規参入からわずか3日。「村岡王国」の崩壊が始まった。(神戸新聞 4月7日)

 ついに、逮捕された。限りなく黒に近いと思われ続けてきた議員である。風聞ではあってもそのイメージだけは我々にも伝わっていた。しかし、中央区の選挙では落ちなかった。選挙民にとっては、情けない話である。
 政治的思惑や理想があれば、市議から県議へ、さらには国会へ、と行きそうなものだが、それは選ばず、ひたすら市議の重鎮として、当選回数を重ね、理念で語ることも無く、ひたすら実績を積み上げ、対抗勢力を追い落としていく。影の市長と呼ばれていたそうだが、確かにそうだったのだろう。
 日経では、神戸空港のターミナルビルの景観設計の失敗に、矢田市長を「どなりつけていた」と報じられる始末ではあった。

■3月31日

 防災─実行力と知恵を
 来月、震災研究機構設立へ 安全・安心で議論
 シンポジウムに400人が参加


 (財)阪神・淡路大震災記念協会と21世紀ヒューマンケア研究機構が4月に統合してできるシンクタンク「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の設立記念シンポジウムが24日、中央区のラッセホールであった。幅広い観点から21世紀の写真会のあり方を考えた。
 五百旗部真・神戸大学教授や酒井啓子・東京外大大学院教授らが「21世紀の安全・安心」をテーマに討論、酒井教授はイラク情勢にふれ、「日本は中東のテロも無縁ではなく、世界規模の人災を防ぐことも考えなければならない」と述べた。(神戸新聞 3月25日)

 戦争は人災の最たるもので、にもかかわらず、世界のあちこちで勃発している。過去60年にわたって、戦争で死者を出さなかった唯一の経済大国が、これからは、経済大国でもなく、政治大国でもなく、二流の国でいいから、きちんと世界のなかで役割を果たせる国として生き延びる、そのためにあらためて「憲法9条」を残すことの大切さを世界に訴えられるかどうか? が試されている。

■3月26日

 
里山や果樹園で長田区再生
 計画づくり アメリカの学生が参加


 アメリカ・シアトルのワシントン大学の学生10人が25日、神戸大学の学生らと共同で、震災後に人口や経済の低迷が続く神戸市長田区の再活性案を作成した。一行は19日に来日、同区の御蔵、真陽、高取山の3地区を歩いて調査した。
 このうち高取山地区については「急な斜面で地滑りの危険が高い」「道幅が狭い」「高齢化が進んだ」と分析。麓に里山を再生させる計画を立て、地区を通る2本の水路の間を果樹園にし、地域の人の憩いの場を兼ねる計画を提案した。(朝日新聞 3月26日)

 地域の人たちにすぐ提案が受け入れられるとは思わないが、地元の神戸大学の学生との共同提案なので、今後の展開がどうなるか、メディアは追跡してもらいたい。このようなまちづくりの研究の蓄積が、行政主導からの脱却に繋がっていくのだろう。

■3月17日

歩み10年 出会いに感謝「カフェ ナフシャ」 明日閉店
 幅広い客層 社会派イベント 震災を機に開店「気持ちに区切り」


 兵庫区永沢町4のカフェ「ナフシャ」が12日、10年の歴史に幕を下ろす。阪神・淡路大震災の体験をきっかけに、バリアフリーのカフェとして開店。誰もが気軽に入れる温かい雰囲気と、社会問題を扱ったイベントの魅力にひかれて、幅広い層が集った。惜しまれつつの閉店に生頼(おうらい)麻里店長は「世代や思考といった『心のバリア』を取払い、多くの人が来てくれた。出会いに感謝したい」と話す。(神戸新聞 3月11日)

 10年の間に何度訪れただろうか。存在感のある店だった。新開地という場所柄、常連にはならなかったけれど、ユニークな拠点が一つ消えた。
 しかし、ここも記憶に残る「場」として、ずっと現前していくことだろう。生頼さんの次ぎなるステップに幸あれと期待したい。

■3月13日

 震災10年 語り継ぐ朗読劇 18・19日神戸で上演
 公募の19人が「痛み」を表現
 みんなよくがんばった、と上長だけでは流せない


  阪神大震災から10年の節目を迎えた被災者の姿を、老若男女の独白の形をとった詩で描く朗読劇「六十年目の戦場・神戸 記憶と記録」が18・19日、神戸市兵庫区新開地の神戸アートビレッジセンターで上演される。作者は10年前に上演された「五十年目の戦場・神戸」と同じ、詩人の車木蓉子さん(須磨区)。「敗戦から60年、みんなよくがんばった、と情緒だけで流すことができない状況と改めて向かい合ってほしい」と願う。
 企画した「神戸をほんまの文化都市にする会」からの依頼に、「10年の区切りになんの意味があるのだろう」と車木さんは最初、気がすすまなかったという。重い腰をあげたきっかけは「被災直後の助け合いが消え、ふっきれないものが心の底にたまって希望がない」との思いだった。2年かけて100人以上の被災者に話を聞いた。急激に変貌を遂げた町についていけない市民の姿がそこにあった。(朝日新聞 3月8日)

 
応募した学生の一人は「聞く人に解釈を押しつけないよう、今は事実を明確に伝えたい」と言う。
 関東大震災や戦災の記録を交えながら、事実が掘り起こされて行く。歴史は螺旋状であったり、行きつ戻りつしながら、積み重ねられていく。脚色されないで語り継ぐことの困難をふまえながら、地道な表現が繰り返されていくことを期待したい。

■3月6日
 
 
緊急災害救助庁をつくれないか
 最大の脅威に備え 戦略的な組織必要 首相直属機関にする
 陸・海・空に重装備隊を


 災害救助隊は、陸海空にわたって災害復興用の重装備をもつ。〈略〉大型輸送機やヘリコプター、緊急避難所を兼ねた輸送船、医療救助隊、救助犬など、災害軽減に必要なすべての装備と人員を整備する。原子炉や石油タンクの大事故などには特殊な装備が必要だ。
 莫大な予算に非現実的と言われようが、自衛隊に比べれば安いものだ。一機100億円以上もする戦闘機、哨戒機等の費用を考えれば、空の救助隊の編成は容易である。軍事費に比べれば、災害救助隊の予算化はしれたものだ。先の東京・横浜の地震予測では、被害額は111兆円という。救助隊の活動で10%も軽減できれば、そのお金で災害救助庁の新設におつりがくる。
 防衛庁を省にという声がある。その愚をやめ、直接国民生活と国土を守り、安全安心を与える災害救助庁の早急な実現を期待したい。(河合雅雄 客員論説委員/神戸新聞 3月4日)

 
世界有数の天災国ニッポン。自然災害のオンパレードだ。中央防災会議の被害中間報告によれば、東京湾北部直下のプレート境界でM7.3の地震が発生すると、全壊20万戸、火災焼失65万戸、11000人の死者、帰宅困難者650万人、という数字が出ている。もちろん、それでも甘い予測という声がある。
 政府においては、専守防衛に徹する自衛隊が不必要な増強に走ることなく、災害救助との連携ができるように、かかる提案は理想論だとうっちゃることなく、真剣に考えていただだきたい。

■2月19日

 
カトリーナ被災者のホテル宿泊費
 国の負担は不要 連邦地裁判決 数千世帯ホームレス化も


 米国ルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁は13日、昨年8月に上陸したハリケーン「カトリーナ」で自宅を失い、ホテル住まいを続けている市民約12000世帯の宿泊代について、連邦緊急事態管理局(FEMA)がこれ以上負担する必要はないと決定した。
 ホテル暮らしをしていた黒人低所得者らの被災者は同日、ホテルを順次後にしはじめ、新たな帯在先探しを余儀なくされた。
 FEMAによると、被災後、ホテル代の支払いは5億4200万$(約636億円)を上回った。
 米国政府は決定が確定すれば8000〜10000世帯の市民が全米のホテルから退去を余儀なくされるとみている。
 FEMAはホテルを後にした被災者の多くが滞在先を確保したとしているが、乳飲み子を抱えた21歳の母親はAP通信に「行くあてなんてないわよ」と憤懣をぶちまけた。(共同通信 2月14日)

 
次から次ぎに起きる災害、今度はレイテ島地崩れだ。先の太平洋戦争で日本軍が苛烈な闘いを強いられた舞台である。
 一般的には半年前のカトリーナですら、はや忘却の彼方、である。
 ニューオーリンズのカーニバル「マルディグラ」は今年も開催されているが、フロートは大幅に減少している。環境客を期待するのはよくわかるけれども、一方で、取り残された被災者に対するケアについては、社会保障の手厚くない米国の市民社会の現実を暴き出した。
 これが世界ナンバー1帝国の自由民主主義の姿である。

■2月12日

 神戸空港、市民グループ学習会
 現役機長が問題点指摘

 
開港を目前にした神戸空港の問題点を考える学習会「パイロットから見た神戸空港」が11日、神戸市垂水区で開かれた。
 航空安全推進連絡会議(航空関連労組で結成)の大阪支部前議長、森徹次さん(国際線・国内線のジャンボジェット機長)が講師をつとめた。
 森さんは「神戸空港は気象条件が厳しく、空域の狭さも不安。できれば着陸したくない」「六甲山から吹く六甲おろしが、飛行機の苦手とする横風になる可能性がある。『山岳波』と呼ばれる乱気流も起こり安いのでは?」「悪天候時に着陸をやりなおすと遅れが生じ、関西空港や伊丹空港の便に接近しやすくなる。地形に不慣れな外国機が、関空と見間違えて神戸に着陸しようとすることも考えられる」などと指摘した。(神戸新聞 2月12日)

 
開港が迫ってきて、地元紙「神戸新聞」の空港関連記事を見ていると、空港歓迎という立場からの記事が圧倒的に多く、空港反対や懐疑をいだく層の声は相対的に小さく感じられる。これも、もはや多くの市民が歓迎しているから、という理由づけがされるのであろうが、ただ現状を追認しているだけという見方もできる。
 現役機長の感じている問題点は、労組に所属している機長だからという視点ではなく、プロとしての安全性への危惧から発せられていると思いたい。
 してみると、大方の市民は安全性については担保されているから、歓迎しているわけで、その大前提が崩れるとは思っていない。
 開港決定以前なら反対ではあっても、「できてしまった以上、活用を考える」というのがふつうの市民の大勢であるように思えるが、彼らにしても「事故が起こりやすい」とは考えてはいまい。
 私は、起こりうる危険回避のために、パイロットが慎重になって、遅延が当たり前になるような予感がするのだが、杞憂であることを祈るばかり。もちろん、空港賛成派だからといって、事故等起こってほしくないのは当然だ。

■2月8日

「震災復興基金」存続へ 解散方針を兵庫県が転換
 高齢者支援など対応


 震災被災者の生活再建や産業復興などを支える(財)阪神・淡路大震災復興基金(理事長・井戸敏三兵庫県知事 基本財産200億円は県と神戸市が出資)について、兵庫県は6日までに、本年度末で解散する従来の方針を転換し、法人を存続させる方向で検討を始めた。高齢者支援など一部事業を延長、財団が被告となっている訴訟が係争中であることなどから判断した。創設当初の予測を超え、被災地の課題が長期化している現実を物語っている。(神戸新聞 2月6日)

 
復興基金は被災者の住宅・生活再建、産業やボランティア活動支援等、税金では扱いにくい113事業を行ってきたのだが、借入金8800億円(すでに5800億円は返済、残額も3月に返済予定)の返済期限が来ることから、残務事業は県の外郭団体に引き継がせる予定だった。
 しかし、高齢者の自立支援や市街地の再生等残された問題があり、また40億円の残余がわかり、22事業について5年間、受付を延長。さらに被災者自立支援金をめぐる訴訟も係争中。
 要するに、10年経てば終わるだろう、また終えると考えていたのだが、予定以上に引きずっている、ということなのである。今の窮状は震災のせいばかりとはいえないのだが、この決定、復興基金の有効利用を切に望んでいる人々にとっては朗報なのだろうが、その網にかからなかった人々にとっては、関係ないことである。さて、この一件、知事の一声で決まったのかどうか?

■1月31日

震災障害者 知って 7人、悩み語り合う 
 灘区の女性「病弱な人への支援訴えたくて」須磨区の女性「ため込んでいたもの出せた」
 神戸大学・岩崎教授の呼びかけ、初の集い


 阪神大震災が原因で障害者になった被災者や家族らが共に支え合う場をつくろうと、初めての集いが21日、六甲勤労市民センター(灘区)で開かれた。神戸大の岩崎信彦教授の呼びかけに応えて7人が参加し、被災体験や悩みを語りあった。震災による障害者の数や実態は十分に把握されておらず、岩崎教授は今後、支援策についても検討するという。震災から11年が過ぎて新たな取り組みが始まる。
 「今日出会った人たちは、11年間、自分だけで障害と向き合ってきていた。やはり震災障害者はおられたんですね」(北区の城戸美智子さん)  
(朝日新聞 1月22日)

 
兵庫県は明確な統計がない、という。一人一人の障害事情が違うこともあって、すぐには具体策はできないだろうが、まずは第一歩が始まったと言える。
 この日、東京でなければ出席する予定だった。今後の歩みについていきたいと思う。

■1月23日

 震災復興区画整理なお難航 淡路市、強制手続き 地権者に公告

 阪神大震災の復興事業として進められている淡路島の富島地区土地区画整理事業(旧北淡町)で、事業主体の淡路市が地権者所有地の塀や植栽などの撤去(2月6日までに自ら撤去するようにとの公告)など強制手続きを進めていることが16日、明らかになった。復興区画整理で強制手続き(直接施行)が採られれば、初めての事態になる。
 復興区画整理を巡っては芦屋市で直接施行寸前までいったことがあるが、土壇場で回避され、実施されたことはない。震災後11年を経て、区画整理はなお行政と地権者の対立が根深いことを象徴している。(日経新聞 1月17日)

 
市は換地指定(土地の交換)はしたものの、地権者側が照応の原則(他の地権者と平等)に反しているとして自ら撤去はしない構えで対立しているのだが、過疎と高齢がすでに実現している冨島地区の現場を見れば、いくら防災・復興対策とはいえ、そもそも区画整理という手法が合致しているのか疑問がないとはいえない。
 2月6日までにどのような展開になるのか、今となっては実に悩ましい問題だ。

■1月13日

 レンガの家に荷造りヒモ 震度5強に耐えた

 荷造りひもで耐震補強──世界の約6割の人々が住むれんがや石積みの建物を、各国で手に入るポリプロピレン製の安いひもで補強できることを、東京大学生産技術研究所の目黒公郎教授らが実物大の建物模型を使った実験で証明した。補強にかかる材料費は1棟数千円で、途上国の地震被害軽減に役立てたいとしている。   目黒さんらは、荷造りひもを網状にしてれんがを覆い、壁を一体化する補強法を考案。東急建設技術研究所の振動台で実験した。「補強なし」の実物大模型は震度5弱で倒壊、これに対し「補強あり」は多数のひびが入ったものの震度5強でも倒れなかった。続けて実施した震度6弱では倒れた。
「どこから倒れるかわかったので、補強法を工夫してさらに強くできる。来年、パキスタンの被災地で実験する予定だ」と目黒さん。(朝日新聞 1月13日)

 
こいつは春から久し振りにグッドニュース。コストがかけられないとされる多くの国々で適用されるはずだ。さらに実験を重ねて、まさに日本人の知恵が国際貢献できるという証左になってほしい。

■2006年1月6日

「白いリボン」募金 スタート

 阪神大震災の犠牲者を追悼するため、白いリボンをつける「白いリボン」運動の募金活動が6日、神戸・三宮で始まった。「ゆっくり着実に」の意味を込め、カタツムリの形に丸めた白いリボンを100円以上の募金と引き換えに渡す。
 震災があった1月に白いリボンやハンカチを着用する運動は96年、関西学院大(西宮市)の学生らが始めた。その後、いったん休止されたが、震災10年の節目の昨年、NPO活動を支える民間募金として再スタートした。今年も1月末まで街頭で呼びかける。(朝日新聞 1月6日)

 
White Ribbon for Volunteer NPO NGO activity
 祈念・感謝・創生 ふだんから支え合い、助けあう社会を!
 毎年1月は「白いリボン運動月間」です。

 以上は、白いリボン運動全国実行委員会(http://www.white-ribbon.net/代表・岡本仁宏 関西学院大学教授 078-854-6450)のキャッチフレーズである。昨今、ほんの一部のNPOに名を借りた不祥事がメディアで報道され、このような活動自体に疑義をもつ人々もいる。しかし、震災10年を経て、さまざまな助成や補助が削減されていくなかで、市民が市民を支えていくしくみが根付かなければ、市民の力のひろがりと確実性が失われていく。
 この実行委員会を構成するメンバーはほとんどが震災以降、ずっと被災者支援活動を行ってきた信頼できる団体である。
 ぜひ、街頭で遭遇したときには募金に参加していただきたい。

■12月24日

 震災障害者のネットワーク呼びかけ
 「支援する会」発足へ


 阪神・淡路大震災から11年がたっても実態がわかっていない「震災障害者」のネットワークをつくろうと、神戸大学の岩崎信彦教授らが来年一月「支援する会」を発足させる。
 県のまとめでは、震災による負傷者は40092人。このうち重傷者は10494人。だが、治療後に後遺症や障害が残った一の数はわかっていない。60人が県の災害障害者見舞金を受給しおているが、対象は両目失明、両足切断等最重度の一に限られている。
 阪大医学部の調査では、震災後、長期入院した549人のうち71人が障害認定を受けていた。
 岩崎教授は「今も障害と闘っている人の不安は強まり、経済的な困窮も続いている。横のつながりをつくり、家族の把握や行政への要望、雇用や介助など具体的な支援策につなげたい」と話す。
「震災障害者と家族のつどい」は1月21日午後1時半から六甲道勤労市民センター(灘区)で。問い合わせ:岩崎研究室078-803-5513(神戸新聞 12月23日)

 
本誌にもご家族の切実な声をいただいている(論々神戸第46号)。後遺症や重大な障害が残った人たちをさがすのはこれからということになる。この記事など(朝日新聞にも掲載)がきっかけになって、まずは調査が始まり、実態の解明と支援につながることを期待したい。

■12月19日

 航空機固定資産税使途 「路線誘致だけ」
 神戸市長 起債償還に当てぬ


 神戸空港建設に市税を投入しない、とした市会決議をめぐり矢田立郎神戸市長は21日、神戸新聞のインタビューに応じ、焦点となっている航空機固定資産税の使途について、空港建設に要した起債の償還には充てないことを改めて表明。一方、着陸料の減免などによる新規路線の誘致の財源に充てることは可能との考えを示した。20日の市会特別委員会で、起債償還に市税である同税を投入することについて市幹部が「決議に反しない」との見解を示したが、市長は「将来、着陸料減免などの対応が必要になったときだけ」と重ねて打ち消した。市長は13日の市会委員会で同税を空港管理に使うことは「市会決議に抵触しない」との考えを示している。(神戸新聞 12月22日)

 
なんだかマッチポンプのようですね。少しずつ小出しにして、反応を見ながら、反発が少なそうだっら強行突破、がたがたしそうだったら、できるだけ伸ばして、にっちもさっちも行かなくなったときには市民の理解を求める、という具合に。
 それしても、この記者はなぜもっと突っ込まないんだろう、市長は確かにこうしゃべった事実だろうが、これでは、単なる市長の広報担当者ではありませぬか。歯がゆいですね。

■12月11日

 震災11年 民間追悼行事 四割減少 節目超えて多様化も

 阪神・淡路大震災から丸11年を迎える2006年1月を中心に、市民団体などが開催を予定する民間レベルの追悼関連行事は、10年の節目だった今年に比べ約4割(今年101件、来年62件 新規は4件)減っていることが9日、「市民による追悼行事を考える会」(事務局 神戸市中央区)のまとめでわかった。
 一方、行事ではないが、1月17日正午に黙祷を呼びかける商店街やスーパーなどは575件、汽笛を鳴らす船舶は38隻、鐘を鳴らす寺院や教会は168ヶ所でいずれも今年並みになる。(神戸新聞 12月10日)

 
やはり10年は一つの峠。少し下り坂になるのは自然だろう。そして、次の10年の峠の高さは低めになる。東灘区の区民の四分の一は震災を知らないことでもわかるように、当事者が相対的に減少していくのだから、道理である。
 量が質を担保する時期は過ぎて、質が試される時間帯に入っていきそうである。

■11月27日

 災害対策に”女性の視点” 
 避難所で着替え場所、トイレの確保…… 国、自治体で防災計画見直し
 阪神・淡路でも課題に 意思決定に参画を


 
大地震などの災害対策に「女性の視点」を盛り込む動きが進んでいる。自治体の防災担当者や研究者は男性が中心だが、災害時には避難所での着替え場所やトイレの確保など、女性にとって切実な問題が多い。新潟県中越地震では、内閣府男女共同参画局の職員が初めて、避難所の状況等を調査。今年7月には、国の防災計画に「女性の参画」が盛り込まれ、一部自治体も地域防災計画の見直しを始めている。(11月27日 神戸新聞)
 
 男女のニーズの違いに配慮した避難所運営など、当然のことだと思うのだが、まだまだこれからというところ。
 先だって「防災フォーラム」を開催した「ウイメンズネット・こうべ」(正井礼子代表)は、自ら作成した資料集のなかで「自治体の防災担当部署や地域防災計画の内容を検討する防災会議に、女性メンバーがほとんどいない」と指摘しうている。ちなみに兵庫県は防災会議45人のメンバーに女性は一人もいない。
 審議会における女性委員の存在にしても、意見を聞くというのではなく、女性が意思決定の場に参画することが重要と同代表は言う。
 10年にもなるのに、という思いがある。公務員や研究者の大半が男性であることはしかたがないにしても、この間、若い研究者においては女性が増えてきたようにも思えるのだが……。メンバーには実績たら、肩書きのバランスとか、いかにも男社会の法則が働いているに違いない。

■11月23日

 震災11年「1.17のつどい」継続へ 
 市民団体や神戸市が確認 補助金が減り、厳しい運営


 
神戸市や市民団体などが中央区の東遊園地で開いてきた阪神・淡路大震災の追悼行事「1.17のつどい」の検討会が開かれ、震災11年を迎える来年1月17日も継続開催することを決めた。しかし、震災復興基金の補助金が打ち切られ、規模の縮小も含めた厳しい運営を迫られている。
 これまでは神戸市と同基金から計600万円の補助を受けていたが、同基金の補助金300万円は震災10年で終了した。市の補助金だけでは会場のテント設営や証明、音響の費用にも満たない。
 各団体でつどいの内容を協議し、12月中旬までに概要を決める。
(11月23日 神戸新聞)
 
 財政難にあえぐ神戸市の補助金にしたところで、圧力団体ではないこのような市民団体への支援は、いつまでも続くという保証はない。そうなれば、市などの補助金をあてにできなかった市民団体と同一の地点に立つことになる。いくら規模が小さくなろうが、続ける意思が固いかどうか、これからがある意味、ホントの勝負になる。

■11月17日

 兵庫県知事選啓発で選管追跡調査 「サトエリ」見た 9割、でも……
 投票意欲「3割」PR奏功せず 結局は候補、争点など中身次第


 
広告で投票は促せない…。過去最低の投票率(33.33%)となった七月の知事選挙で、啓発広告を見聞きした有権者は9割に達したものの、「投票に行こう」と思ったのは、3割にとどまったことが県選管の追跡調査で分かった。
 県が啓発効果の追跡調査を行うのは初めてで、啓発広告を請け負った広告会社などが実施。新商品モニター用に開発されたシステムを利用し、投票終了直後、県内の500人(20歳〜69歳)から回答を得た。
 啓発では、佐藤江梨子さんがテレビ CMやポスターに登場し、七三分けの髪形で「7・3できっぱり」と投票日をアピール。これらをいずれかで見たのは92%にのぼった。印象に残っている点は「佐藤江梨子」が最も高く、続いて「7 3」のデザインや投票日。好感度も4割程度あった。しかし、「広告を見て投票に行こう」と思ったのは、「非常に」と「やや」を合わせても30%どまりで、「行こうと思わなかった」の38%を下回った。
(11月11日 日経新聞)
 
 総額9000万円の経費をかけた今回の一連のキャンペーン。CMを制作したのは電通神戸支社。「広告接触率は高く、効果はあった」とするが、「投票を促すのは広告会社のできる範囲を超える」と苦笑。
 まあ、CMは良かったのだが、肝心の商品(候補者、争点など)に魅力がなかった、というところ。
 ワタシャ、サトエリなる者、よくは知らないが(別に知りたくもない)、世間では有名な御仁だそうで、にもかかわらず、投票率に寄与できないのだとすれば、サトエリ自身がホンキで兵庫県知事選挙に関心があるのならともかく、あえてそんな啓発やめれば、と言いたくもなる。これも民主主義のコストだ、なんて言ってられない。まして選管に関する人事コストの高歩留まりが指摘される昨今、広告会社にお願いして、人畜無害の広告を打つなんて愚行はやめるべきだろう。
 投票率アップのためのキャンペーンは、市民の自由意思にまかせておいてよい。それで低いのなら、その程度のものでしかないという現実をかみしめればよい。結果は、「選挙なんて」と思っている市民を含めて、全ての勢力にヤイバを向けている。

■11月11日

京都の伝統木造住宅「町家」 震度6弱でも倒壊せず 
 防災科学技術研究所、補強して実験


 
防災科学技術研究所は10日、京都の伝統的な二階建て木造住宅「町家」を世界最大の振動台で揺らす実験をした。地震に弱いとされる町家だが、縁側に壁を増やすなどの耐震補強をすることで、震度6弱の揺れでも倒壊しないことがわかった。
 兵庫県三木市に完成した「実大三次元振動破壊実験施設(E-diffence)」で実物の家を揺らした初の実験。
 今回は横揺れだけを2分間加えた。一階の部屋が20cmも横にずれ、外壁や玄関の板壁がはがれおちたが、骨組は耐震補強したおかげで持ちこたえた。京都大学の鈴木祥之教授は「今後はどの程度の揺れに耐えることができるのか検証していきたい」と話す。
(11月11日 日経新聞)
 
 この町家は1932年築。パネルやはしご型フレームを壁に取り付ける簡単な耐震補強をして実験された。結果、伝統工法の住宅でも、補強すれば十分に耐えられることがわかっただけでも朗報だ。ただ、この種のニュースで、この耐震補強にどれだけのコストをかけたのかを報じないと、してみたいと思う人々への目安がわからない。そこまで報道してほしいものである。

■11月1日
 
 
遊び学ぶ「大震災」双六 教訓を子どもらに 大型版で楽しんで
 版画家の岩田健三郎さん制作 人と防災未来センターで展示


 
阪神・淡路大震災の経験や防災の知恵を盛り込んだ「阪神淡路大震災双六」の展示が一日、人と防災未来センターで始まった。東灘区のボランティア団体「飛び廻り21」の依頼で、姫路市在住の版画家岩田健三郎さんが制作。会場では、市こまずつ拡大した大型の双六が楽しめる。
 飛び廻り21はコープこうべ生活文化センターに所蔵されている「絵双六」を出張展示。その中には関東大震災を題材にした作品もあることから、阪神・淡路の双六を企画した。
 地震発生から、神戸の街や人が描かれた「あがり」まで、20こま。途中には、水やラジオ等災害時の必需品も描かれている。岩田さんならではの温かみのある作品で、原作は新聞紙お広げた大きさとなっている。
「震災を遊びにしていいのかという思いはあったが、次に地震が起きたとき、子どもたちに役立てば」と岩田さん。飛び廻り21に古賀純子代表は「今後も学校や地域で展示したい」と話す。
(10月26日 神戸新聞)
 
 児童文学や絵本ではお馴染みの版画家・岩田健三郎氏のカラーがはっきりと出ている作品。双六という古典的な遊びで震災を子どもたちにわかりやすく描いてある。スタッフからは「お孫さんと遊んでくださいね」と言われてしまった。
 その他の絵双六も、江戸時代から昭和中期まで、実にていねいな描かれている版画が多く、職人仕事の鮮やかさを思わせてくれる。
 収集にはお金がかかるとのことで、今の経済情勢では、所蔵が増えるわけにはいかないそうだが、埋もれた名作はまだまだあるのではないだろうか? 庶民の遊びの中に豊穣な文化が残されている証明でもあった。

■10月27日

 安全守るシンポジウム 「個人処罰 意味なし」

 
尼崎JR脱線事故から半年を迎えた25日、脱線事故の原因究明を通して、公共交通機関の安全確立を求める「安全と命を守る大阪の集い」が大阪市内で開かれた。主催はJR西日本労働組合のほか、港湾や航空関係の労組などが主催。JR西日本の社外有識者組織、安全諮問委員会の石橋明委員(日本ヒューマンファクター研究所研究開発室長)が登壇。石橋氏は、「ヒューマンファクターからみた再発防止対策」と題して講演、「事故再発防止の観点に立てば個人の処罰は意味がない」し、人的要因の視点から「現場で起きるミスの背後要因を探求し、事故に至る状況の流れを解明しなければ、再発防止にはならない」と説いた。「海外の航空会社の理念は『定時出発よりも安全を優先する』。これこそ本物の安全文化だ」と紹介、企業が安全文化を育成するための要件として、「トップのリーダーシップ」やミスを率直に報告できる「報告の文化」など8項目を提示した。(10月26日 神戸新聞)
 
 定時出発よりも安全を優先する。急ぐことが当たり前の効率文化と対峙して、社会文化として、時間をかけて取り戻していかないと、二度と起こさないことにはならないだろう。人間がITのスピードに合わさなければならない理由はどこにもないはずだ。

■10月9日

 
災害時医療 被災後、胃潰瘍増加 ストレスから疾患

 
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震を教訓に、災害時の医療について考える市民公開フォーラム(日本消化器関連学会機構主催)が8日、神戸の国際会議場で開かれた。両被災地とも、地震後に胃潰瘍の発祥が増加。避難生活などのストレスが、さまざまな疾患につながっている点が指摘された。
 京都大学大学院千葉勉教授は、震災後2ヶ月間に兵庫県内約60の医療機関を受診した人のデータから、出血性の胃潰瘍が増加したことを指摘、特に高齢者の危険性が高く、「胃潰瘍の原因となるピロリ菌の除菌も一つの予防策」とした。
 長岡赤十字病院の高橋逹・消化器科部長も「地震後に胃潰瘍が増え、過去に発症したことがない人が目立った」と報告。車中泊で多発したエコノミークラス症候群の予防策としては「車への避難は一泊を限度に」と呼びかけた。
(10月9日 神戸新聞)
 
 予想通りの結果といってよい。これまた予防とはいっても、危機に強い身体づくるをふだんから行うしかないのではなかろうか。「笑い」にも効用はあるだろう。

■10月2日
 
 
建物揺れる前に自身情報 大成建設、携帯などで知らせるシステムを開発

 
大成建設は29日、地震で建物が揺れる数秒前に、携帯電話や館内放送で知らせるシステムを開発したと発表した。
 社内で使用したところ、地震の震源地から60kmほど離れた建物に揺れが到達する9秒前に情報を配信できた。揺れに備えて避難したり、手術中の医師ならば、手もとが狂う事故を防いだりするのに役立つと見られる。
 気象庁が地震の最初の微弱な揺れを検知して出す「緊急自身速報」を社内に設置したサーバーで受信する。震源位置との距離、建物周辺の地盤の固さなどを考慮して、1秒ほどで震度や到達時刻を推定。自分のいる建物に地震の揺れが届く数秒前に、携帯電話やパソコン、館内放送などで知らせてくれる。大地震かどうかもわかる。
 今後は全国規模で予測ができるようにし、同社は来年度中に実用化したいと話している。
(9月30日 日経新聞)
 
 数秒間で、どこまで避難できるか。
 実用化されれば、建物の位置から数秒で移動できる空間感覚を持っておいたほうがいいことになる。一流のマラソンランナーで1秒間に約5m、100mランナーで約9m、してみるとあなたは何m? 想像してみてください。
 ここでも、事前の心構えが必要になってくる、ということだ。

■9月19日

 多文化共生でシンポジウム 
『在日ら復興で置き去り』 辛淑玉さん基調講演 現状直視を訴え


 
阪神・淡路大震災を機に叫ばれた多文化共生社会がでれだけ根付いたかを検証し、今後の可能性を探るシンポジウム「震災が結ぶ、日・韓・在日の文化の架け橋」が18日、神戸ハーバーランドの神戸新聞松方ホールで開かれた。在日コリアン三世で、人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)さんが基調講演し、「震災復興で在日の人をはじめ弱者が置いてけぼりにされた。彼らの復興なくして異文化交流なんてありえない」と訴えた。
 辛さんは「震災の被害は在日に人が多く暮らす住宅密集地に集中した。この10年間、民族イベントをやってきた友人は、周りに仲間たちが戻らないため、もう息が切れたと嘆いている」と報告。「今の韓流ブームは文化のつまみ食い。日本の政治は、足元の在日の文化を捨て去っている」と批判した。

                         (9月19日 神戸新聞)
 
 出席していたので、あらためて触れるが、韓国は今年、定住外国人の地方参政権を付与することを決定した。今まで、相互主義を掲げて、付与することをためらっていた日本政府は、その論理の後ろ楯を失ったに等しい。相互互恵は外交の基本、それこそスピードアップで、在日定住外国人への参政権をアジェンダにするのが当然だ。
 一票を持たない人々は圧力団体にもなりようがない。それならだだをこねてやる、というのも人間として自然の発露だろう。未来指向というのなら、それをきちんとやってこそ、言えるというものだ。

■9月11日

 大震災 帰宅ルートは?
 防災マニュアル 売れ行き好調 震災10年契機、20冊超える
 建物危険度、生き残り術、詳細に


 
震災時の帰宅方法や生き残り術を紹介した地図、マニュアル本が相次ぎ出版され、売れ行きが好調だ。いざというとき、自分の身は自分で守れ、という実践的な内容が特徴。最近、震度5以上の強い揺れが列島各地を襲い、災害対策への関心が高まっていることが背景にある。

 ●震災マニュアル本 売り上げランキング(8/31紀伊国屋書店新宿本店)
 1位 震災時帰宅支援マップ 首都圏版 昭文社
 2位 大地震東京危険度マップ 朝日出版社
 3位 マグニチュード手帖 ワールドフォトプレス
 4位 東京直下大地震生き残り地図 旬報社
 5位 我が家の防災 駒草出版
                         (9月10日 神戸新聞)
 
 首都圏で売れているのは、ようやく、防災意識が高まってきたから、というより、相次ぐ水害なども局地的に起こっており、いまそこにある「災害」が現実に迫ってきたからという要因が後押ししているのだろう。行政マニュアルでけではダメで、パソコンの解説マニュアル本のほうが、読者の立場に立ったニーズに合致しているのと同じように、使い安いのではなかろうか。
なかには、より切実な「彼女を守る51の方法」(マイクロマガジン社)というのもあり、着眼点がよろしいようで、ひそかに研究しておけば、男をあげて鼻高々というところ。

■8月31日

 台風の60年 整備するほど、危険な所に人が住む。
 堤防は、本当に大丈夫なのか。
 災害は、社会の変容を映し出す。


 戦後の大型台風に匹敵する台風が来ても。もはやかつてのような被害は出ない。格段に安全になったことは間違いない。
 一方で、「(堤防など)インフラ整備をすればするほど。危険な所に人が住むようになった」と旧建設省河川局長だった竹村公太郎さんが言う。今や、国土の10%を占める洪水氾濫区域に、人工の50%、資産の75%が集中する。
 しかし、(水害防止の)よりどころとなるはずの堤防が、実はこころもとない。中がどうなっているのかわからないからだ。モグラが巣食っているかもしれない。
 国土交通省利根川上流河川事務所の佐藤宏明所長は「雨の降り方次第で、(利根川右岸50kmの)どこで堤防が切れても不思議はない」という。水は今なら2日で東京に達する。被害は33兆円にのぼると想定されている。(8月29日 朝日新聞)

 水害対策も転換期を迎えている。洪水を完全には防げない、という前提に、いかに人命を、とりわけ高齢者を救うかを考えるべき、という。
 あらためて、危険な場所には住まない、土地利用まで遡って災害対策を考え直すときがきた、と言っていいようだ。
 局地的豪雨の多発や、台風発生数は減るものの、発生すれば強い台風になるのは温暖化の進んでいる証。
 理屈はわかっても身体が反応しないのが、文明の便利に馴らされてしまった多くの現代人。自然災害のみならず、日常生活においても、危険予知してとっさに回避する術を知らないので、危険感覚が麻痺していると言っていいだろう。
 都市における夜半のひとりあるきなどもそうだが、「君子危うきに近寄らず、通らず」は、けだし名言なのである。

■8月27日

 心身医学会議 神戸で災害時医療シンポジウム
 「周囲の連携が不可欠」


 神戸市で開催中の「世界心身医学会議」のシンポジウム「災害における全人的医療─阪神・淡路大震災から10年 神戸からの報告」が25日、中央区の神戸国際会議場で開かれた。
 兵庫県災害医療センターの中山伸一副センター長は「患者の身体を診るだけでなく、精神面への配慮が心と身体の傷を小さくする。私たち救急医も心身医学を学ばなければならないし、災害直後から精神科医や心療内科医の介入も必要」と指摘した。
 また神戸赤十字病院の村上典子心療内科部長は「被災者には、経済状況の悪化やコミュニティの喪失等様々な苦痛があり、『全人的なケア』が求められる」と強調した。
 兵庫県こころのケアセンターの藤井千太主任研究員は、「被災地の惨状と混乱のなかで、何かしなければという思いが空回りしやすい。医師自身もトラウマを受ける可能性がある」と救援者の心のケアの必要性にも触れた。(8月26日 神戸新聞)

 震災から10年。教訓というかたちではなくても、災害現場医療は漸進したと言えるのだろう。しかし、大本はといえば、きわめて細分化された医療に従事する医師それぞれに「仁術」さえあれば、危機においても汎用的に乗り越えられるものもあるのではないかということだ。
 教養を意識することなく当然に身につけた世代の医師と、単なる医師国家試験を通ればいい、というだけのマニュアル医師では、機器対応能力が異なるのも当然だ。
 そのために、ことさら体系づけて、マニュアル化しなければならない先輩医師たちの余分な労苦を思うと暗澹たる気分に陥ってしまう。

■8月21日

 人的被害の地震 過去10年で最多

 気象庁の統計によると、人的被害を伴う地震の発生回数は、今年6月末までに13回に達し、すでに過去10年で最多となっている。
 一般に地震の震度が4以上になると、恐怖感を持つ人が増えると言われる。昨年後半から海外を含めて地震被害が報じられる機会が増えているとの実感が消費者にあり、被災時の備えへの関心が継続している面があるようだ。(8月18日 日経新聞)

 ちなみに2000年と04年の9回をのぞいて、96年から01年までは4回が最高であって、02年から右肩あがりになっている。
 ということは、まだまだこれからも地震はやってくると思ってさしつかえない。先だっての宮城沖地震にしたところで、これからも起きる可能性が高いのだから。
 したがって、ここにきて、防災用品が脚光を浴びはじめた。首都圏のホームセンターや雑貨専門店から百貨店では、帰宅困難者のための簡易セットから緊急避難セットなどまで、およそ1500円から30000円を越すセットまで、にわかに売れはじめた、という。
 まさに、関東・東海・南海大地震の警戒時間帯に入ったということなのだろうか?

■8月8日

 教育ニーズ取り組み支援プログラム 「防災」「震災」研究など
 文部科学省 県内3大学、4件を選定
 

 文部科学省は5日、大学等の社会的な課題に応じた優れた取り組みに財政支援する「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」の2005年度の選定結果を発表した。神戸大学は震災の教訓を次世代に継承する「震災教育システムの開発と普及」で、学校や地域で使える教材づくりや普及に取り組む。神戸学院大学は、人文科学系4学部の学生を対象にした「防災・社会貢献教育プログラム」で地域や自治体と連携し、体系的な防災教育に取り組む。
 年間最大2400万円が2〜4年間、助成される。(神戸新聞 8月6日)

 
 防災のためなら、それなりの評価が定まり、補助金という名の予算がつくようだ。長い期間なので、どのような成果が生まれるのか、評価するのは文部科学省なのだろうが、両代学においては、節目節目でその途中経過をPRしていただきたいし、マスメディアも追い続ける必要があるだろう。
 せっかくの国家予算、研究者たちの社会的還元が期待される。

■7月29日

 神戸空港訴訟 二審も住民側が敗訴
 大阪高裁 財政への悪影響は指摘
 

 大和裁判長は判決理由で「空港の建設で経済波及効果が期待できる。需要予測は国のガイドラインに基づいており、すでに航空会社が就航を表明している」などと指摘。「神戸市長の財政支出を命じた判断が、社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱するとは認められない」と述べた。
 住民側は「償還できる見通しがない起債を重ね、安全性も確保されていない」などと主張し、判決は「神戸地裁判決と同様に「市財政に悪影響を与える可能性がある」と指摘。しかし「空港建設の必要性がないとは認められず、違法とする理由がない」と結論づけた。(神戸新聞 7月28日)

 
 昨年二月の一審を受けて、航空三社が相次いで就航を表明した後での判決。地裁では、行政に課題をつきつけたが、今回はそこまでの迫力はない。既成事実の積み重ねを社会通念としたのだろう。とんでもない需要予測についても、「国が認めているのだから」というのではあまりにも根拠薄弱だが、それに依拠してしまっている。所詮、司法は「違法でなければいいんでないの」と言っているにすぎない。
 原告団は当然上告の意向を示している。さて、最高裁の判断は来年の開港の前に出るのだろうか?

■7月22日

 
医療連携でワークショップ 神戸で 大規模な災害を想定
 

  阪神・淡路大震災やJR尼崎脱線事故のような大規模災害時の医療連携体制を整備しようと、神戸市役所で21日、周辺自治体や医療機関による第一回ワークショップが開催された。11月までに計3回の会合を持ち、議論を深める。
 震災10年を機に神戸市危機管理室が企画。兵庫県災害医療センター、神戸赤十字病院など医療機関△県警、自衛隊など防災機関△県内自治体と大阪市など、22機関から60人が参加した。(神戸新聞 7月22日)

 
 報告あり、事故想定による議論あり、よりよい対応策を話し合ったとのことだが、連携体制ができる前に、それぞれの機関が「態勢」を整えておかなければならない。
 非常時の指揮体制には、方針の根幹がぶれないこと、そして、優先的事象と枝葉末節事象のふるいわけと臨機応変の対応と、非常にむつかしい判断が求められる。それぞれのプロとして、しっかりと連携してもらいたい。
 11月の最終結果発表に期待するが、災害救助には「難民」対応の感覚が求められるのではなかろうか?

■7月13日

 芦屋市の移動入浴車「祐次郎」号 新潟の被災地へ
 「石原プロ」寄贈 阪神大震災で活躍
 十日町市の商店街がボランティアに活用

 
 阪神・淡路大震災で芦屋市の被災者を癒した移動入浴車「石原祐次郎号」が、新潟中越地震の被災地・十日町市に無償譲渡されることが9日までに決まった。震災翌年に淡路出身の俳優渡哲也さんらの「石原プロ」が、復興支援にと寄贈したバス型の特別仕様車(購入価格2500万円)。10年の節目を経た今月末、再び新たな被災地へ向かう。(神戸新聞 7月9日)

 
 こんなあたたかい気持ちになるニュースもいいですね。なんだか、モノでありながら、モノでないようなモノに変身している感じがします。被災者に役立つという使命をきちんと果たすために、生きているという…。

■7月6日

 
随想 地盤と人の棲み方 柳田邦男
 
 六月に新潟県中越地震の地盤災害調査に出かけた。《中略》
 長岡市濁沢では、山肌の出入りに沿ったくねくねと曲がる旧道はしっかりと残っているのに、谷筋を埋めて直線道路にした新道は無惨に崩壊していた。山中にわずかばかりの直線道路を作る意味はなんだったのか?
 地滑りや崖崩れの多くは、雪山の表層雪崩に似て、古い地層の上にできた堆積層が崩れたものだった。同行の地震学者・酒井潤一氏(信州大学名誉教授)は、「斜面の堆積層を削って道路を作ったことが、地滑りの誘因となったと見られるところがかなりありますね。自然を支配できると錯覚した近代科学技術の脆さを見せつけられた。反省すべきです」と語った。(柳田邦男 神戸新聞 7月6日)

 
 もちろん工事は阪神・淡路大震災前の建設・工事基準で、粛々と進められたものであろう。なんの落ち度もない。世界に冠たる土木工事技術大国だったからだ。
 問題は、技術者たちが、認識として「近代科学技術への懐疑」をもって、今後の科学技術開発に臨めるか、ということだと思う。

■7月2日

 
エイズ国際会議 神戸で開会式 
 予防しないと5年後… アジアの感染 1780万人に


「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」は1日午後、神戸市中央区のホテルで開会式を迎えた。国連合同エイズ計画など主催団体の挨拶に続き、エイズウイルス(HIV)感染者ら35人が登壇。代表の女性が「すべての人に、私たちをパートナーとしてみてほしい」と訴えると満場の拍手がわき、研究者、行政関係者と感染者が一体となった会議を印象づけた。
 式典には45か国の会議参加者約3000人のうち、1700人が出席。感染者らでつくるNGOの代表を務めるインドネシア人女性のフリカ・チア・イスカンダーさんは「私たちがここに立つことは大きな賭け。この姿が母国に伝われば、差別を受けるかもしれない」と述べ、「私たちが本当に怖いのは血の中のウイルスではなく、皆さんの心の中にあるウイルスだ」と続けた。
 国連合同エイズ計画はアジア・太平洋地域でHIV感染の予防や治療が現在のレベルのままだと、2010年には感染者が1780万人に達するとの報告書を発表。抗ウイルス薬療法を広め、コンドーム使用促進など予防対策の拡大を呼びかけている。(7月2日 神戸新聞)

 震災とは直接関わりはないが、このようなウイルスの人間への逆襲は、当初、貧者をねらい撃つがごとく、免疫抵抗力を弱らせてやってくる。
 昨今のニッポン社会の規矩の欠けた「性のはどめのなさ」が、対策を講じなければ、蔓延を防げない状況を生み出している。
 問題は感染可能性の高い、同性愛者や麻薬常用者ほど、このような試みに背を向けていることだ。有史以来、連綿と続く人類の歴史に対して、ウイルスは逆襲にかかっているにもかかわらず、まだまだ人類の奢りは続いていくのだろうか。

■6月26日

県庁スタイル 危機管理 存在かけ、対応に挑む
 兵庫県災害対策センター


 危機管理。兵庫県の元年は阪神・淡路大震災。取り組みは防災から始まった。95年の震災当時、防災を担っていたのは消防交通安全課の消防担当者だった。96年、全国で初めて知事直轄の防災監を任命。2000年、専用庁舎「災害対策センター」を開設した。
 今春、センターは災害対策と防災企画の二局に分かれた。職員は六課70人。いざというときに備え、四人が交代で宿直勤務につく。
 危機は広いエリアで発生する。都道府県にとって強みを出せる分野といえる。  防災先進県を自負する兵庫。危機への対応はその存在をかけた挑戦でもある。(6月26日 神戸新聞)

 まず動く、それから対応を考える、というセンターの対応。天災だけではなく、経済効率優先と技術至上主義のメンテナンス不足の災害が目立つようになってきた。ヒューマンエラーが、大きな事故につながっている。
 しかしながら、ふつうの各市町には防災専任の職員がいないところが多い。だとしたら、今は県がひっぱっていかなければならない。市町の人材を育てるのが県の仕事でもある。

■6月19日

 ポスト復興10年 どう対応? 被災者の関心は… 踏み込んだ論戦を
 新人 公的支援の強化を訴え
 現職 住宅共済制度を強調


 舌戦が始まった兵庫県知事選。17日は阪神・淡路大震災から10年5ヶ月で、選挙戦では10年の復興行政の評価や教訓を生かした防災のあり方などが問われる。復興そのものが争点だった過去2回とは様変わりし、今回は「ポスト10年」も焦点。被災地からは「高齢者をはじめ弱者へのきめ細かい支援が今こそ課題」との声も目立つ。(6月18日 神戸新聞)

 現職は前職、貝原知事の副知事、しかも旧・自治省の後輩だ。復興行政は、貝原知事のトップダウンに近いかたちで行われてきただけに、副知事として露払い、もしくはフォロワーとしてやってきたという印象しか持ち得ていない。
 一方、新人は元共産党県会議員、いかにも、福祉畑を歩んできたまじめな人、という印象。政治家=ステーツマン、というイメージからはほど遠い。
 国政とは異なるので、現職には自民、民主、公明、はては社民までが推薦し、新人には共産が推薦する、というもっとも投票率があがらない構造となってしまった。
 組織にのっかって、まあ、無難な人をという現体制側と、なんだか「同じ負けるなら、若手で行こう」というふうにしか見えない反体制側。
 勝負になるような戦いに持っていけなかった、というのでは、政治のプロとしては「はずかしい」のではなかろうか。

■6月6日

「家再建を考える段階」 新潟の被災地「応援する会」
 現状を報告 今後の議論も


  新潟県中越地震の被災地支援を目的に、阪神・淡路大震災の被災地のNPOなどでつくる「KOBEから応援する会」(新潟県長岡市)が5日、中央区の人と防災未来センターで活動報告会を開き、今後の方針等を議論した。地震から約7ヶ月を経た現地では、雪解けとともに復興が本格化したばかり、同会は、神戸で新潟の物産展を開くなど、息の長い支援を計画している。(6月6日 神戸新聞)

 この日、現地のNPOや学識者が結成した「中越復興市民会議」の稲垣文彦事務局長が被災地の現状を報告したが、旧山古志村では、ようやく家屋被害調査が終わったところで、家の再建はこれから、という段階。雪が降り始めるまでには、少しでも見通しがついていないと大変、という。山村地区での復興も試行錯誤になってほしくはないのだが、初めてのことだけに、英知を結集していってほしい。
 また、JR西日本の事故以来、地元だけに、メディアの関心は集中、数少ない震災関連情報については、神戸新聞がやはり頼りとなる。
 このような小さな記事を継続的にきちんと報じ続けていただきたい。

■5月30日

震災10年 思い出 教訓 たかとり教会再建控え
 コミュニティセンターが感謝祭 久々の再会 300人交流


 阪神・淡路大震災で消失したもののボランティアの拠点となったカトリックたかとり教会(長田区海運町)の再建を控え、敷地内の8団体でつくるNPO法人たかとりコミュニティセンターが28日、「たかとり10年感謝祭」を開いた。震災10年を語るフォーラムなどに、元ボランティアや住民ら約300人が参加した。(5月29日 神戸新聞)

 再建工事は約1年後に完成の予定。ペーパードームたかとりは、台湾に移設され、再利用される。教会という敷地が、地元の住民、ボランティアの活動拠点になったことは、ことばの本来の意味での「コミュニティ」が現出したことだった。コミュニティの崩壊が進行する現代社会にあって、いま日本のあちこちで逆方向へのねじが巻かれようとしている。もちろん、単純な回帰ではなく、民主主義というスタイルをまといながら。
 その成果はもう少し長いスパンでみたほうがいい。あれから10年、だけどこれからも、まだまだ、コミュニティ復権の模索は続く。

■5月24日

 震災の非情さ パンソリに 韓国の名人ら出演
 「赤い月」上演 29日神戸・長田にて


 阪神・淡路大震災からの10年をそれぞれに考えてもらおうと、「大震災十周年パンソリ公演/記憶し 伝える」が29日午後1時半から、新長田勤労市民センターで開かれる。
 韓国・全羅北道無形文化財の曹*少女(チョ・ソニョ)さんらが出演する。兵庫出身の廬進容(ロ・ジンヨン)さんが震災の非情さをうたった「赤い月」が創作パンソリとして初上演される。
 パンソリは朝鮮半島の民俗芸能。唱者が太鼓の伴奏にあわせ、歌、せりふ、振りで長い門語りを演じる。パンソリの力強さに魅せられた中山一郎大阪芸大教授らが実行委員会を組織し、チョさんらの公演を震災直後の1995年5月に企画。 それから10年となる今回、チョさんら8人が来日。司会は辛淑玉(シン・スゴ)さん。中山教授は「この10年の間、それぞれが大切にしてきたもの、そして失ったものを考えてもらえれば」と話す。
 予約、問い合わせは、電話078-851-2760神戸学生青年センター(5月24日 神戸新聞)*正しくは、縦棒が一本です。

 詩集「赤い月」が震災関連書棚に見当たらない。どこへ行ってしまったのか? 震災関連詩集のなかで購入した数冊のうちの一冊である。在日の著者による詩編の一つ一つの言葉が哀切な響きとなって迸っていた。
 10年を経て、それがパンソリになる。どのように表現されるのか、非情に興味深い。平日の午後だが、一見の価値あり。

■5月12日

 残る課題に対応を 被災10年で緊急提言
 兵庫県震災復興研究センター


 市民団体「兵庫県震災復興研究センター」(代表理事・西川栄一神戸商船大学名誉教授ら)は11日、阪神淡路大震災の発生から丸10年が経過したことをふまえ、国や自治体が残された課題に対応するよう求める緊急提言を兵庫県知事、神戸市長あてに提出した。
 提言は、
・災害援護資金の返済問題、復興住宅での孤独死といった課題への取り組み
・新潟県中越地震や福岡県西方沖地震などでの生活・住宅再建支援の充実
・国の住宅再建支援制度の改正
・耐震診断、改修の促進
・地域防災計画の実効性の確保
・災害復興基本法の制定
 などの6項目。
 提言は首相や各閣僚と全国の都道府県知事にも送付する。(5月12日 神戸新聞)

 ちょうど、国際防災復興協力機構(International Recovery Platform)が人と防災未来センター内にオープンした日のことだった。記事の扱いはしたがって、3段分。まだまだ残る課題をしつこくおい続ける姿勢は、もっと人の目にふれてよい。
 確かに、自然災害からの復興支援についての国際的な調整機関はこれまで十分ではなかっただけに、専門家のネットワークづくりや人材育成に、関係各方面からの期待は集まる。
 スタッフは6人。まずは復興実例のデータベースづくりやセミナー開催から始まるが、やはり、一部の参加機関が期待するように、復興活動に関する国際的なトレーニングセンターとして機能することをイメージしたい。
 一方で、震災10年の鳴りもの入りで始まった感があるので杞憂かもしれないが、いわゆる国連活動において指摘されるように、単なる国連関連官僚の一研究機関に堕してしまわないように、願いたい。

■5月5日

 大地震記者座談会 伝える それが使命
 復興 最後の一人まで 被災者の「今」を記録 意識の風化防ぎたい
 「安全」導く報道を


 「地震空白地帯」で発生した3月20日の福岡県西方沖地震は、日本列島のどこでも大地震が起こることを見せつけた。各地で多発する災害の教訓を生かすために、何をどう伝えてていくべきか─。福岡・西日本新聞、新潟・新潟日報、兵庫・神戸新聞の記者たちが語りあった。
 磯辺(神戸)「食べ物も住まいも十分に無い時代をひきずった国の災害対策への意識に門代がある。豊かな時代だからこそ復興がむずかしいということをもっと問い続けて行かなくてはいけないと思っている」
 中村(新潟)「被災者が今、何を求めていて、何が問題になっているのか。「今」の部分を毎日書かなくてはいけない」
 田中(西日本)「防災の先進地といわれる静岡県の取り組み等伝えていきたい」
 川原(西日本)「だれも地震が起きることを意識していなかった。次への安全につながるような紙面をつくりたい」(5月4日 神戸新聞)

 どこも、想定しなかったことが起こって、それから本気で紙面づくりに取り組むことになったという経緯だ。大都市直下型の阪神・淡路、そして、中山間地域モデルの新潟・中越、都市型近郊島嶼地域の玄海島・志賀島、それぞれ固有の風土を持っている地域に起こった災害だからこそ、このような共有型の情報交換が望まれる。メディアも我が社意識をとっぱらって、災害復興情報はふだんから継続していってほしいものだ。

■4月27日

 神戸・震災シンポジウム 「復興対策は現場優先で」

 5年前の鳥取県西部地震で、全国初の公費による住宅再建支援制度を創設した同県の片山善博知事や、新潟県中越地震で全村避難が続く旧山古志村(現・長岡市)の村長だった長島忠美・同市復興管理監(神戸新聞 4月25日)らを招き、復興や防災のありかたを考えるシンポジウムが24日、神戸市中央区で開かれた。          市民団体「兵庫県震災復興研究センター」が主催、約200人が参加した。
 長島氏は「中山間地の高齢者は,戸建てでの自立生活を望む。まとまった数を建設し、一戸800万円程度の住宅が実現できないか検討している」と報告。「中山間地での災害復興のの出るとなり、全国の人々に恩返しをしたい」と、「山古志モデル」の確立に力を注ぐ考えを示した。

 山間地で高齢者が多かった被災者の不安を取り除くことが大事と強調した片山知事。今、困っている人のために、現場主義、スピード感、復旧(元の姿に戻す)という教訓を得たという。一方、中山間地で農業(自営)が多かった新潟では、雪に阻まれた数カ月の足ぶみから解き放たれて、これから、またの冬までの期間でどれだけのことができるか、復興の正念場となる。
 地域共同体としての性格が強固だった山古志の今後の復興プロセスは、まだまだ日本では数として多い小さな共同体にとってのパイロットになるはずだし、なってもらわなくてはいけない。
 長岡といえば、維新の際に長岡藩をひきい、中立としての「筋」を通して、官軍と戦いぬいた家老・河井継之助を思い出してしまうが、行政に対する信頼がまだある地域だけに、NPOとして関わる人々は当然のことながら、「公」に携わる人々には、とりわけがんばっていただきたい。

■4月17日

復興支えたペーパードーム 台湾の被災地へ移設
 神戸・長田 たかとり教会


 阪神・淡路大震災で消失したカトリックたかとり教会(長田区海運町)に建てられた「ペーパードームたかとり」が、台湾大地震の被災地に移設されることになり、16日、実行委員会が発足した。両被災地でまちづくりに取り組む市民の交流がきっかけ。受け入れ側の代表寥嘉展さんも訪れ、「まちづくりの拠点とし、新たな生命を吹き込みたい」とあいさつした。
 震災直後に建築家、坂(ばん)茂さんが神戸を訪れ、「軽量で移設も簡単」と紙の建築を提案。ボランティアたちの手で95年9月に完成した。直径33cm、高さ5mの列柱58本がテント製の屋根を支える。
 住民秋季や教会のミサ、コンサートに活用された。6月上旬に解体、移設先は被害が大きかった南投県桃米を予定している
 *移設費を募る
 郵便振り替え講座「ペーパードーム移設基金00900-2-297106」(神戸新聞 4月17日)

 震災後、何十回と訪れたところだが、復興まちづくりにおいて拠点があることの強みが発揮された好例だった。たかとり教会の再建がきっかけにはなったが、リユースという、まことに時宜を得たもので、ぜひ、早めに移設費用が達成されることを願う。

■4月6日

 スリランカ住民調査 「津波知らなかった 94%」
 スマトラ沖地震で アジア防災センター 4割が「波迫り 避難」


 昨年12月に発生したスマトラ沖地震による津波で多数の犠牲者が出たスリランカで、大人の9割以上が「津波」を知らなかったことが四日、アジア防災センター(神戸市中央区)の住民アンケート調査(同国南部のゴール県 大人1324人+子ども1112人、行政・学校関係者ら計2582人)で分かった。防災意識の啓発については、8割近くが「学校教育が有効」と回答。同センターは、「今後の防災対策の指針にしてもらいたい」としている。(神戸新聞 4月5日)

 スリランカは南アジアのなかでも識字率の高い国だが、洪水や地滑りは知っていても「津波」については、知らなかったのが実情。
 子どもは学校でのできごとを家庭内で話すことが多いそうなので、こどもに学校で教えると効果的という声が8割を占めたという。
 環境教育もそうだが、子どもが「鍵」を握っている、のである。

■3月23日

 ブロック塀の危険露呈 首都圏なら死者1000人資産も 

 福岡県西方沖地震で死者を出す原因となったコンクリートブロック塀の倒壊は、身近にあるブロック塀の危険性をあらためて浮かびあがらせた。
 ブロック塀の高さや補強に使う鉄筋の太さ、鉄筋を入れる間隔などは建築基準法施行令で定められている。しかし専門家によると、比較的手軽に設置できるため、鉄筋が基礎部分とつながっていないなど、必ずしも基準は守られていない。
 昨年末の中央防災会議での試算では、震度6強の首都直下型地震が発生すると一都三県(東京、千葉、神奈川、埼玉)でブロック塀などの倒壊などによる死者は1000人にのぼるとされる。(3月22日 神戸新聞)

 クワバラクワバラ、という感覚の復活、です。「ブロック塀」というキーワード、そして「頭上のガラス」。ふだんから気をつけながら歩くしかありませんな法令を守れ、といっても、徹底できない昨今の状況では、やはり、自身の感覚を敏感にするしかありません。ここでも「武術的体さばき」に神経を働かせてみませんか、と呼びかけたいですね。

■3月13日

 
震災10年 市民が検証 地域づくりの行動目標提案
 公共施設の自主管理等 50項目 


 阪神・淡路大震災以後の市民活動を検証し、今後の地域づくりの行動目標を提案する『阪神・淡路大震災10年 市民社会への発信』を、被災地の民間非営利団体(NPO)らで組織する「震災10年市民検証研究会」(事務局 西宮市 山口一史代表)が出版した。住民が地域のためのサービスを生み出す「コミュニティ・ビジネス」の重要生などを提唱。(3月10日 神戸新聞)

 論々神戸のスタッフも入っている研究会ですから、一部手前みそになるのかもしれませんが、震災5年のときに出版している「市民社会をつくる」から、一段と具体的に進展した活動などを紹介しています。
 多少、概念的に見えるのはやむをえませんが、それにも増して、課題に思えてならないのは、やはり5年、10年ときて、世代継承のことです、この5年にどれだけ次の世代が活動の流れに参入してきているのか、なかなかみえてきません。
 大学院生などが研究対象、あるいは、実地活動に乗り込んできていることはよくわかるのだが、しごととして、これらの活動に飛び込んでくる人たちがほしいのではないだろうか? でないと、市民活動も高齢化する、というのではあまりにも寂しい。

■3月4日

 災害援護資金貸し付け 神戸市2職員 悪質滞納 
 給与一部 差し押さえ 市の対応に批判も 


 阪神・淡路大震災の被災者に自治体が貸し付けた災害援護資金の滞納問題で、神戸市が悪質滞納者として強制執行による差し押さえに踏み切った借り受け人のなかに市職員2人が含まれていることが28日、わかった。いずれも返済能力がありながら、市側の再三の要請にも応じなかったという。(3月1日 神戸新聞)

 あらら。30代と40代というから、世間のレベル以上の給与をいただいているであろうに、なにかしらの借金で廻らないのかしらん。月々払えるだけ返す少額返済制度も利用しなかったのだから、上限が350万円だから、普通であれば返済できるはず。
 我々が会社のために利用する国民金融公庫は、もともと月10万円に満たない返済額だけど、返していっているが、350万円だと3年〜4年で完済するよ。
 もう10年経っているのだから、社会通念(世間)上、通りませんわな。
 市は、個人情報のためにコメントできない、というので、当事者の側の言はきけないが、果たして当人たちはどのような理屈を持っているのでありましょうか? 
 これをして「みっともない」というのである。

■2月25日

 災害援護資金 政府、兵庫県、神戸市の要望を受け、償還延長を検討 

 阪神・淡路大震災の被災者に国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」で、政府は25日、国からの過視付け原資を自治体が国へ償還する最終期限を延長する検討を始めた。
 同資金は全半壊世帯に上限350万円を貸し付けする制度で、原資の3分の2を国が自治体に貸し、残りを自治体が負担。
 県内で56000件、約1309億円の利用があり、05年中に借り受け人から自治体への返済期限が迫るが374億円が未済。(2月25日 神戸新聞)

 そうか、28.5%が未済、つまりは返せない、返さない。予想では約100億円が回収困難とみられているそうだ。未済分は国への償還費用も含めて、兵庫県と神戸市が全額肩代わりすることになる。
 震災後10年の積みのこし、パンチがボディブロウのように効いてくる。兵庫県では生活保護世帯数も50000を突破、10年前の1.8倍(人口に占める割合は1.38%、全国平均は1.12%)になっている。絶対数、伸び率ともに全国平均を上回り、とりわけ神戸市、阪神間など都市部で増加している。
 たいした数字ではないとする見方もあるが、これがおさまる傾向にあるのならいい。ここにきて中央では景気の腰折れなどと取りざたされはじめ、もともと復活傾向など実感できぬ神戸経済にとっては、決して見過ごせない数字だと思われる。個人消費にがのびないわけだから。
 だが、消費がのびないことを前提に、景気に左右されない生き方の模索、これこそが庶民の智慧のみせどころ、売り上げがのびなくても生き延びることを考えていきたい。

■2月20日

 
重複避けたい 情緒的表現

 連日震災の文字を目にするので、ちょっと気になり、2月1日から15日までの半月間にどれだけの阪神・淡路大震災関連の記事があったか数えてみた.実に76本、平均して一日5本である。他の新聞(全国紙)の全てに目を通したわけではないが、おそらく「震災」という一つのトピックでこれだけの記事量を誇るのは神戸新聞だけだろう。
 どの記事も新聞社として掲載の必然生があったと思いたいが、同種の内容が重なっていたりすると、ちょっと疑ってみたくもなる。(音楽プロデューサー・中川博志 2月20日 神戸新聞)

 本誌にも寄稿していただいた中川氏は、上記に続いて、センバツに出場する神戸の2校についての記事が一面、地域面、社会面と3つも重なっていることを指摘した。兵庫県の復興本部が解散し、10年の節目を過ぎて、今後、同様の動きは加速することだろう。折しも、震災の被災者ニーズを把握し行政などに提言する第三者機関「被災者復興支援会議」(座長・室崎益輝・消防研究所理事長 現在、大学教授や民間団体代表ら15人で構成)も、10年間に計26回の提言を行ってきたが、この3月末をもって解散することになった。
 今後の機能の継承について論議されるようだが、はたして、どのようなかたちでつないでいくのか、ことは徐々に「普遍」にならしていくのか、それとも「現場」にこだわり、穴をきちんと掘り続けるのか、あるいは並列しながら双方を求めて行くのか、「有識者」と呼ばれる方々の熱意がためされていく。

■2月14日

 読者モニターの声 震災10年報道 教訓発信これからも
 風化させない意義 再考を 世界の防災の動き伝えて


 震災10年の1月17日、夕刊一面の見出し「無念 尽きぬ『なぜ』」に共感の言葉をいただきました。
 全国紙夕刊は「復興10年 新たな一歩」「KOBEの心 世界へ」などと記しています。「被災地の新聞以外、『無念』という見出しは浮かばないね」とは、同業の方の言です。
「無念」は、私たち自身の想い出もあります。「なぜ、大震災の前にもっと警告記事がかけなかったのか」との悔いは、震災報道のバネになってきました。「1m年は通過点でしかない」とあらためてかみしめています。(「編集局から」2月12日 神戸新聞)

 怒濤の如くメディアで流された震災10年。来年は大きな事業のための予算ぐみもなくなり、緩慢なる暮らしの日常と猛スピードを要求するビジネス管理社会の神経すりへらし生活が瀰漫していく。
 さて、プロ球団を持つわが町のボールパーク・スタジアムの命名権は、神戸空港一番乗りのスカイマーク・エアラインズが獲得したようだ。グリーンからヤフーBBになり、これからはスカイマーク。
ま、野球が庶民の人気スポーツならば、神戸のダウンタウンにスタジアムをつくらなかったことを、関連当局は、逆に責められていいのでは。
品性のかけらもなきホリエモンによって、買収されつつある企業がスポンサーのわが愛すべきベイスターズの横浜スタジアムはJR・地下鉄関内駅から徒歩3分もかからない。

■2月2日

神戸新交通 延伸へ課題 増資民間引き受け 2億円超にとどまる(今年度)

  ポートライナーを運営する神戸市の第三セクター、神戸新交通は神戸空港と三宮を結ぶポートライナーの延伸工事費として、2005年度末までに民間企業から18億4000万円を調達する計画。神戸新交通 が04年度(05年3月)に実施する民間企業向け第三者割り当て増資は2億1100万円にとどまる。
 延伸工事で負担する費用は全体で230億円。その内46億円を神戸市と民間企業からの増資で賄う方針だ。ただ民間からの18億4000万円の調達が難しい場合、工事費等の圧縮と入札工事などの活用でコスト削減を目指す。
 延伸工事の総事業費は560億円(複線工事を合わせ総延長5.4km)で、新交
通は車両、運行システムなど230億円を負担する。
 今年3月の増資2億1100万円で新たに株主となるのは3社。ファミリーマートは、沿線地域への出店加速、京三製作所と神鋼電機は新交通への機器供給など延伸工事で直接利益を得る企業。
 一方で、既存の金融機関の株主は増資に応じていない。延伸工事で得る直接
利益がほとんどないうえ、新交通の財務内容が厳しいからだ。04年3月期の最終損益は1億1600万円と黒字を確保したものの、累積損失は 211億3600万円と高水準。(2月1日 日本経済新聞)

 神戸新交通資本金の80%弱を占める神戸市の財政は、04年度歳入総額1兆9152億円、市債残高 3兆2482億円という状態、ついに金融機関もこれ以上、手は出せないとしたのだろうか?                         神戸空港のためにポートライナーの延伸はするものの、事業の採算が今以上に改善される見通しはない。ポートアイランド住民数は増えていないし、少子化が進むので、ここも高齢化していく(動きが活性化されない)。
 医療産業都市構想は少しずつ実現に向かってはいるが、遅いし、雇用吸収能力は微々たるもの。
 滅びへの弔鐘が聞こえるかの神戸空港の開港によりそって、鉄路は今年、試運転を迎える。

■1月28日

 
震災経て 人間を意識 交流重ね 記憶伝承狙う
 「生と死」「境界」を作品に


 …99年から、ナチス政権が欧州各地に設けた強制収容所跡地を巡っている…

「強制収容所の跡地では『記憶』というものを学んだ気がします。ドイツの跡地で掃除をしていた高校生は『僕たちは知らないながらも、こういうことがあったと伝えていくしかない』と話していた。つらくても、風化させてはいけない『記憶』がある。
「跡地を掘ると、今でも様々なものが出てくるそうです。いろんな人生がありました。収容所での生活を余儀なくされた人たちがいて、私たちは生かされているということを強く感じました」ウィーン滞在中の造形アーティスト 井上廣子(日経新聞 1月24日) 

 この記事にも写真が掲載されている、98年の作品『魂の記憶』は仮設住宅の鉄骨のなかに寝台を並べ、コールタールで人間らしき人形を描き、枕位置に石くれを置いたもので、真夏の六甲アイランド(野外展、リ・フォープ主催)で異彩を放っていた。当時増えつつあった「孤独死」をシンボライズしていた。
 何度も何度も記憶をたどること、記憶を語ることは、これからも続いて行く。

■1月17日

 復興文化 地域を軸に 繰り返す災害に備え

 関東大震災の復興が、後藤新平内務大臣(当時)の〈大風呂敷〉で進められたことはよく知られている。
 当時で総額8億円の巨費を投ずる大風呂敷は「都市化の時代に帝都を大改造する」という政治家・後藤の見識が下敷きにあった。やがて震災復興と軌を一にするかのように近代的な都市づくりが各地で展開されていく。
 阪神大震災では「政治」の姿は見えない。「復旧ならよくて復興はなぜダメなのか」という被災地からの問いかけがその証明だ。復興を阻む官僚主義のカベを破れないのは政治の不在に原因があると言われてもしかたがないだろう。(日経新聞 1月17日) 

 この10年、街並のなかに震災の傷跡を見つけるのはホントにむずかしくなっている。それをして、よく言われるのは「よくぞ、ここまで復興されましたね」とか「奇麗な街並が戻って来て、みなさんの努力には敬服します」とか、神戸はやはり「美しい都市」に見えるらしい。
 しかし、一生懸命建てなおした被災者には失礼な言い方になるが、私には、大方がハリボテに見える、映画の書き割りに見える。これから二十年、三十年の風雪に耐えられる街並になるとはとても思えない。それでもいいさ、と言われたら、口をつぐむしかない。ずっと育った街ではないだけに、客観的に言えるのかもしれないが、それでも愛着はある以上、建て直すだけの力がある人には、お願いだから、手間ひまかけてもらいたかった。
 震災当時の貝原・兵庫県知事をはじめ、行政は「創造的復興をめざした」と言う。それが中央官僚に行く手を阻まれた、と。そして今は「防災戦略」と「健康戦略(医療産業)」だ、神戸空港もビジネスジェットの基地になる、と。
 日本型グローバリズムにしたがって、他の都市にまけないために、むちがしなる。

■1月13日

 震災10年 被災者追跡アンケート 復興に停滞感6割
 試練続いた10年 険しい生活再建 被災地定点調査 千歳・深江の住民の声


 阪神・淡路大震災から10年を前に、神戸新聞社は定点調査を続けている神戸市内の激甚被災地二地区の計1000世帯を対象に「被災者追跡アンケート」を実施した。その結果、被災地全体の復興状況について、47%が「取り残されて」いる部分がある」と答え、16%が「遅れている」と回答。大半の被災者が、復興はまだ途上と感じていることが明らかになった。(神戸新聞 1月11日) 

 激甚被災地だから、このような結果になる、それ以外のところはもう復興している。そして、震災はもう停滞の原因ではなく、他都市の後塵を喫した構造改革にある、というのが経済界の見解だ。
 ここまで立派に復興しましたよ、と世界に発信したい行政や経済界と、まだまだ、復興なんてとんでもない、という被災者の感情。よく被害者意識に捕われ過ぎだ、と指摘されるが、喪失感を埋める手立てが周囲に一つでもあれば、人はなんとか生への望みをつなぐことができるのだから、生きててよかった、と感じさせる策が望まれるのは当然だ。
 もちろん、「いらない」という矜持のある人々もいることだろう。それはそれ、強固な官僚制度とは相容れないのだから、さっぱりしてて清々しい。

■2005年1月4日

 
復興とは 3 格差 自立阻む競争の時代

 被災者への支援策は、所得や年齢によって線引きされ、中間所得層の多くは対象から漏れた。震災前に送っていた「それなりの生活」は崩れ、復興の道程が分かれた。
 日本人の七割が、災害などの非常時に、住宅や仕事といった生活基盤を奪われる可能性がある「傷つきやすい」人々だという。関学の高坂健次教授(社会学)らが最近発表した仮説だ。社会学者らが1995年に全国で調べた所得と財産のデータを分析し、総資産5000万円を境界線とした。
 震災後、私たちは幾度となく、「災害の階層性」という言葉を耳にした。ダメージから回復できる人とできない人、「持てるもの」と「持たざるもの」。その差は震災でより鮮明になり、時間とともに広がっているのではないだろうか。(神戸新聞 1月4日) 

 年の瀬になると、全国の家庭の平均所得が発表される。昨年はたしか約600万円だが、絶対数でいえば多数派は300万円台らしい。
  生活保護の受給者が伸びているのは、地域経済(公共事業の激減 北海道)の落ち込みが激しい札幌、中小企業の多い大阪、そして見た目に復興がなったとされる神戸市だ。
 階層差が平均的に拡大しているというよりも、遍在化している。そのきっかけに震災がなった人々は多い。森永卓郎のいう「年収300万円で楽しく暮らす」方法を会得すればいいのだろうが、それからすら落ちてきたらどうするのか。競争で敗れた者は市場から消えろ! というのが時代の趨勢のなかで、立ち直りを支援する公的な仕組みが大きく作用して「救われた」という話を聞かないのは私だけであろうか。
 つつましさに慣れていない戦後生まれが多数を占める時代にあって、気持ちの荒れとすさみをとどめる術を身につけている人々が増えなければ、哀しい世相の荒れは止まりそうもない。

■12月27日

大震災シンポジウム 弱い対場に支点を置く 地域連携で風化を防ぐ

 被災地が歩んだこの10年をどう生かして、伝えていくか。神戸新聞主催の「阪神淡路大震災10年シンポジウム」(22日)は、台風による風水害、新潟・中越地震と重ねながら提言を行った。
 【提言】
 一、10年は通過点。次の10年に向けた防災戦略の構築
 一、被災者対策の量から個々のニーズに応じた室への転換
 一、「災害弱者」を中心に据えた防災体制の確立
 一、介護保険の見直しに阪神・淡路の教訓を反映させる
 一、阪神・淡路で芽生えた市民主体のまちづくり、コミュニティづくりの行動、思想の普遍化
 一、震災体験を風化させないためにも、地元紙が震災報道を継続すると同時に、地方紙が連携し、被災地外へ情報発信を続ける。
 (神戸新聞 12月27日)
 
 
いのちを守る報道姿勢を神戸新聞は宣言した。地元紙でなければ書けないことはたくさんあるはずだ。私たちが神戸新聞を併読するのもそのせいである。記者は変わっても、精神が変わらないように、今いる記者たちが次の記者にきちっと語っていくのは、先達の責務である。
 マスメディアでなければできないことを、煽るのではなく、しっかりとやってほしい。戦前の新聞のように、市民の怒りの感情を増幅させ、現実の追認ばかりか、率先して破滅へと導いたマスメディアになることなく、戦う相手は誰なのかをしっかと見据えたうえで、論陣をはってほしい。

■12月16日

 
復興住宅の今 超高齢社会 届かなかった支援の手

  高齢化率 復興住宅 42.9% 兵庫県 18.7% 神戸市 18.9%
  高齢単身世帯数 復興住宅 37.0% 兵庫県 7.4%
  (兵庫県、神戸市調べ)

 65歳以上の割合が20%を超えれば超高齢社会と呼ばれるが、すでに復興住宅はその2倍以上になっている。全世帯に占める高齢単身世帯の割合も、復興住宅では県平均の5倍に達している。(神戸新聞 12月16日)

 すごい数字である。復興住宅ということばが、色褪せていく。
 死者が出るたびに、なぜ? と言われるのだが、その安否確認など見回りをしている推進員でも、うまく会えなければどうしようもない。
 家族はもちろんのこと、地域から孤立し、支援の手も届かず、人しれず死にいく者たち。
 震災から10年、大量に流される復興ムードの中で、少なからぬ悲劇がじわじわと進む。


■12月10日

ホロコーストの文学を追求 死者の顔思い出す せめてもの行為

 
アウシュビッツでは剥奪された髪の束が、博物館にずらっと並んでいた。その時に「数に圧倒されると想像力がとまってしまう」と感じました。どんな人生を送り、どんな未来があったのか。死者の顔を思い出すこと。それが生きている人間にできるせめてもの行為だと思います。(朝日新聞 12月10日 作家・小川洋子)

 
死者の顔、他者の顔。自分のアンテナに入ってくる人々のコメントや論考にひっかかってくるようになった。ようやく、ここにきて、世の中のスピードにまどわされず、日々の暮らしを淡々とこなしながら、沈思黙考、あるいは、日記風に語り始める人々が目立つようになってきたということか。

■12月5日

 災害列島の今 予知神話 世界で一度もない成功

 地震予知について政府の見解はこうだ。「観測体制が進んだ東海地震だけ予知の可能性がある。その他は無理」。
 予知のポイントは「プレスリップ(前兆すべり現象)」。プレートが跳ね上がる直前に、ゆっくり滑り始めるとされる現象をとらえられれば予知ができる、という理屈だ。
 だが、過去にプレスリップが確認されたことはなく、政府は「いきなり起こることもある」と言う。東海を予知できても、連動性が高い東南海や南海、日本を囲む海溝型地震では観測整備が整っていない。
 あまりにも幸運な一例をのぞけば「予知の成功例は世界に一度もない」と、国立極地研究所長の島村英智北大教授(地震学)は言う。
 政府の地震調査研究推進本部自身調査委員会は、主な地震発生確率を長期不要かとして公表している。兵庫県・山崎断層の長期評価は、30年以内で最大5%、と昨年末発表された。(3%以上は確率の高いグループに入る)
「確率が高いと言われても3%では」と嶋村教授は首をかしげる。「予知に資金と労力を費やすより、基本的な防災対策を急ぐべき」だと語る。(12月3日 神戸新聞)

 
「いつ。どこで、どれぐらい」の三要素が科学的に予測できて、はじめて予知といえる。しかし、わからないことが多いのが地震だからして、ほとんど予知はできていないし、これからもできない、と言われている。それに多くの人智がさかれる。
 約に立たない研究など、無駄金使いだ、などと野暮なことはいいたくないが、それにしては、「錦の御旗」によっかかりすぎてんじゃないのかしらん。同じ専門家同士、権力への距離の取り方への相違が研究者同士の対立をまねいているのかもしれない。
 予知に頼らず、市民は防災、減災意識をもって、防備するしかない。

■11月30日

共感と実感
 
 
個人的な話で恐縮だが、新潟生まれ、新潟育ちの新潟県人である。
 「粘り強い」「地域の絆が強い」などと新潟の県民性が協調される。しかし、日常が長引けば、忍耐の上に成り立つ連帯意識にもほころびが出る。その時までどれだけの目が「新潟」に注がれているだろうか。マスコミや行政、ボランティアの潮は時間と共にひく。その空しさを知っているのもやはり「神戸」の人たちなのだろう。
 ふと、新潟の側から今回の地震を見ている自分に気付く。故郷の惨状をヘリからみつめ、涙をこらえる子どもたち。自分がそこにいるかのように胸がしめつけられる。
 神戸にいながら阪神・淡路の震度7を知らない。知らないなりに自分のなかで蓄積したつもりの「共感」も「教訓」も、この実感にくらべてなんと薄っぺらなことか。故郷が傷つけられて思い知る。(勝沼直子記者 神戸新聞 11月29日)


 ナイーブすぎると人は言うかもしれない。がしかし、このような感情を持つこと自体、記者としてもうひとまわり大きくなることの現れだろう。社会的に想像力の枯渇がずっと言われ続けてきたこの国で、少数派であろうと思われる記者が周囲との軋轢にすりきれずに、たくましく育ってくれることを祈るばかりだ。

■11月28日
 災害報道と数字 被災列島の実像が透けて見える
 
 
神戸新聞11月22日付。
 「一割」。
 避難生活が長引く被災者のために新潟県が準備した旅館泊室(5000人分)の利用率だ。避難所生活の負担軽減をならったもので、阪神・淡路大震災の体験を生かした施策でもあった。しかし自分だけ抜け駆けするわけにはいかない…という意識が利用率を押し下げたらしい。「コミュニティの強さでもあり、弱さでもある」とは泉田裕彦新潟県知事の弁である。(京都大学防災研究所助教授 矢守勝也)


 この記事を読んだときに、さもありなん、と思ったものだった。横並び意識や狭いコミュニティでの協調が生活の知恵であるならば、「自分だけが」突出するわけにはいかない、という気分になるのは自然な感情といっていい。
 強制ができない立場上、これからも合理性とのずれは表面化することだろう。「善かれ」と思った施策が無駄として裏目に出ること、これも次に生かす“教訓”としてとらえるしかないのだが、被災者の立場に立つという大前提だけは崩してはいけない。

■11月21日

 
災害弱者 支援拡充も対策半ば 情報伝達 障害者「孤立」目立つ

  私の通信簿。(この10年間、○…進んだ △…道半ば ×…進展せず)
  
  情報伝達 △ IT化は進んだが、通信機器を使えない人への配慮を。
  要援護者の把握 △ 地域内で命を守る観点から情報交換すれば把握は可
            能。
  支援者の連携、連動 × 行政や専門職、地域などが普段から見守り、活動
              で連携を。
  コミュニティの強化 △ さらに住民同士の支えあいが進むような場、仕組
              みを。
  福祉、医療施設の対応 △ 災害時に施設と地域が支えあえるよう、普段か
               ら交流を。
  自己防衛 △ 要援護者の防災意識を高めるよう、教育や啓発の充実を
 
 (黒田裕子、阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長 神戸新聞 11月21
  日)

 
 
震災から10年を迎えようとしている今、この間専門家として、情熱でもって支援活動に誠心誠意傾けてきた人の「通信簿」である
。キーワードは「いのち」と「普段」である。面倒くさがらないで、当たり前のことを当たり前にする。
ただでさえ、コミュニケーション能力がおちていると感じられる昨今、いろんな場所で、パイプを通じさせて、開いた状態で話していかなければなりません。

■11月14日

 
新潟から 「役立たず」を意識して

 被災地の外に何を伝えられるのか。新潟県中越地震の被災地を歩きながら、時に無力感にとらわれる。
 地元の事情に疎く、地名の読み方さえ知らない記者に、できることは限られている。被災した人々に負担をかけているだけではないか、とさえ思う。
 地震後、小千谷市役所前の駐車場はテレビ局の中継車が占拠した。車の横に雨よけシートを広げ、椅子を並べている光景はキャンプのようで、強い違和感を覚えた。市民からの苦情が増え、市職員が「できれば移動を」と申し訳なさそうに言うのを聞いて、なぜこの人がこれほど丁寧に「お願い」しなければならないのか、疑問が湧いた。(磯辺康子 神戸新聞 11月10日)

 
 
被災地の新聞記者、そして今なお震災にこだわり続けている人ならではの感慨だ。もちろん、被災地から発信する情報の大切さを熟知したうえでの言である。このような「こころ」を失った取材で、どのような記事をとったとしても、文脈で被災者にはわかってしまう。とおりすがりの事件なのか、ずっとわだかまっていく事件なのか、そういう意味で、災害列島ニッポンの歴史に勉強することは多いはずなのだ。

■11月8日

 脈々にっぽんの技 現代治水に江戸の知恵 二線堤

 04年7月13日、新潟県中之島町の刈谷田川。停滞梅雨前線が大雨をもたらし、現代科学技術を反映させたはずの堤防を根こそぎ吹き飛ばした。死者は12人、ほとんどが逃げ遅れ、高齢者に犠牲が集中した。
「一番破れてはいけないところが破堤した。堤防が高いから水圧も高くなる。一気に切れたことで一か所に激甚な被害を与えた」。現地を視察した新潟大学教授(河川工学)の大熊孝は分析した。

 大熊には今回の惨事は日本の河川工学の未熟さが招いたと映っている。
「明治以降の治水思想は堤防をどんどん高くして、水を川の中に押さえこもうとした。こういう治水は間違いだんじゃないか」
 江戸時代前期の1680年代に書かれたとされる『百姓伝記』は農民向け(百姓)の手引書だ。
 それによると、大洪水は遊水池や被害の少ないところを選んであふれさせたり、堤防と人家の間に水害防備林(水防林、樹林帯)や二本目の堤防(二線堤=堤防を越えた水を民家が密集する手前で堰き止める第二の堤防)を設けるなど、水が堤防を越えても被害を少なくする知恵に満ちていた。
 
 明治政府で河川整備をリードしたのは、均一型堤防を作るオランダ人技術者。1896年河川法が」成立、国が直轄する治水工事が本格化し、欧州留学経験を積んだ内務省の技術官僚が担当、戦後は建設省河川局が引き継いぎ、近代国家としての社会基盤整備は大規模改修を成功させていったが、その陰で各地に残っていた治水への工夫は見捨てられた。
「相手は自然で、例えば北陸と関東では、勾配が全然違うのに、全国の堤防を一つの基準で造った。古来あった治水戦略を考えないようになってしまった」と中島秀雄・河川環境管理財団顧問は言う。

 水防林は戦後急激に衰退する。戦前は地主が集落全体の利益のために水防林を保護したが、戦後の農地解放で土地が住民に等分に割り当てられ、林は無秩序に田畑になった。
「ときに水は堤防を越えて流れる、と認識すれば、避難もでき、被害も少なくてすむ。自然の力を、人間の造った構造物に封じ込められるという幻想は、捨てるkとが大事だ」と大熊は言う。

 宮城県鹿島台町の二線堤や福島市の樹林帯整備は、国が近年になって着手した事業。いずれも「川はあふれることがある」との前提に立つ。
 樹林帯は1997年の河川法改正で初めて明記された。国の政策転換の象徴だ。(神戸新聞 11月6日)

 長々と引用したが、まさに我が意を得たり、である。
 これからの時代を考えるとき、自然征服思想、人類進歩思想はもはやおおむね役立たずと言ってもよい。まだまだ成長神話をすてきれない人々よ、マーケットを信じて、中国やインドにでかけて、どんどん売り上げをあげて、景気を活性化させろだなんて、もういい加減にしたら。
 昔の人は「長いものには巻かれよ」とはよく言ったものだ。そして、付け加えて、「しぶとく生き延びろ」。

■11月5日

 神戸市人口 震災前 初めて上回る 10年で回復
 新住民が4分の1

 神戸市の11月1日現在の推定人口が、阪神・淡路大震災前の水準を初めて上回ったことが4日、同市の集計で分かった。震災で約4600人が亡くなったほか、被災した人たちが避難のため市外に流出、直後は約10万人減となったが、10年をかけてようやく回復した。震災直前を約200人上回る見込みで、過去最多になる。(神戸新聞 11月5日)

 市税税収のうち個人市民税や固定資産税が80%近くを占める神戸市の財政構造の特徴からすれば、市としては喜ばしいことだろう。
 子どもが少なくなっているにもかかわらず、東灘区を筆頭に、灘区などが増えているのは、民間マンションの建設が原因なのだが、新住民が25%ということは、震災を直接知らぬ人々がまわりを見れば4人に一人はいるということだ。とすれば、市政に対して不満や否定的な人々が減り、従来からの“神戸のイメージ”で住居を移す人々は、現状肯定的になるのは当然だろう。三宮周辺では、シティライフ満喫・勝ち組が入居する高層マンションがこれからも建つ予定だ。
 したがって、神戸空港にしても、おそらくは強い否定的態度をとる新住民は少ないと判断していいだろう。
 これらの現実をふまえながら、都市のビジョンをつくらねばならないが、「豊かな社会」を望まないという割り切りの選択肢が、これから重要なキーワードになりそうな気がする。

■11月1日

 
偽メールで義援金を募る 共同募金会が警戒

 新潟県中越地震の義援金を募集している社会福祉法人中央共同募金会に見せかけて、架空口座に義援金を振り込ませる偽の電子メールが29日夕から出回り、同会は「メールによる以来は一切していない」と注意を呼びかけている。
 同会によると、偽メールは午後4時50分頃、不特定多数のアドレスに発進された。口座に関係した部分以外は同会がホームページに掲載している義援金の募集と同じ内容。同会に問い合わせがあり偽メールとわかった。(神戸新聞 10月30日)

 次から次へと詐欺が出回る。情報選択が自由になればなるほど、小回りが聞く分だけ、ヒット&アウェーでかせぎまくる。
 これって、昨今の理由なき犯罪が地方の中核都市周辺(高速道路のIC周辺、ビッグショッピングセンターのあるところなど)に続発していることにも似ている。要するに、見事なまでにコミュニティが解体されているところの人心が荒廃しているのだ。
 都市よりも、むしろ適当に都市化した田舎が危ないのだ。

■10月25日

 新潟・中越地震 公費支援が復興のカギ

 住宅の再建に公費で支援していくのは社会的な意義がある。家は個人財産だが、住宅なくして地域は存在しない。住宅への公費支援は地域の復興につながる。
 仮設住宅か、仮設住宅分の公費を充てる住宅再建支援か、被災者が選択できる仕組みをつくることが望ましい。2000年の鳥取西部地震で鳥取県が初めて導入し、全国に広がりつつある。新潟県もぜひ公費支援をしてほしい。ー 広井 脩・東大大学院情報学環教授(神戸新聞 10月25日)

住民が50か所以上で孤立しているという。道路が寸断されているからだが、山間部ゆえ、物資の到達がままならない。今はじっと耐えるときかもしれないが、一日も早い復興を祈るばかりだ。

■10月17日

「白いリボン」再出発 震災10年、市民の動き 支援へ

阪神大震災の犠牲者を追悼するため、1月17日に白いリボンを身につけようと関西学院大(西宮市)の学生らが呼びかけた「白いリボン運動」が、震災10年を前に形を変えて復活する。震災で活発になった市民活動を支援する募金運動として再開することになり、神戸・阪神間のNPOなどでつくる実行委員会(被災地の NPOや企業関係者など約20団体や学識者など)が15日発表した。
 今回はカタツムリをイメージした白いリボンと引き換えに、一個100円以上の募金を求め、集まったお金は市民活動団体への助成金にあてる。(朝日新聞 10月16日)

これもレイジング・ファンドの一つ。さまざまな機会を通じて、資金集めを行わなければ、市民活動の継続がむずかしいという現在のNPOの現実だ。

■10月5日

 
身近な人を失った 心の痛みを議論 専門家がシンポジウム

 日本病院・地域精神医学会の総会が2日、神戸市中央区の神戸国際会議場で開かれ、中井久夫・兵庫県こころのケアセンター長の特別講演と、作家の柳田邦男さんら3人の専門家による公開シンポジウムがあった。
 中井センター長は、「震災後10年」と題して、震災直後は、コンクリートを固めた要塞的な建物が安全と勧められていたことにも触れ、「実際にはそんな家では生活できない。『安全』は魔法の言葉。それが名目になると、人は現実離れした考えも受け入れてしまうことを忘れてはならない」と訴えた。
 シンポジウムでは、身近な人を失った痛みについて議論。柳田さんは次男を失った体験から、「愛と信頼できる支えがあれば、人生を立て直せる」と主張した。英知大の高木慶子教授は「悲嘆に暮れている人には多様な支援が必要だ」と語り、大阪大の鷲田清一教授は「『語り』にたけた関西人のコミュニケーションも、痛みの軽減に一役買ったのでは」と話した。(朝日新聞 10月3日)


 学会員のためのシンポジウムだから、一般参加はできなかったのかもしれないが、魅力的な面々で、もっと詳しく伝えてほしかった。神戸新聞もここまでは触れていない(日経はとりあげず、毎日・読売・産経は購読していないのでわからない)。
 『安全は魔法の言葉』、これにはまいったな。いまの社会には、防犯いっぽんやりの風潮があって、国家から家庭まで、セキュリティ関連の産業が右肩上がりという異常さにいぶかしさを感じない手合いが多く、自らが守る気概もなく、国家や企業のサービスに頼るだけだ。
 アメリカの高所得者の住む地域並に、防災ならぬ防塞のような地域をつくる動きも進んでいる。それには相応の対価を支払える奴ばらが住み、はっきりとした区分けがさらに進む。そういう社会をつくりたいのね、小泉サン。

■10月3日

 
まちの記憶の復元 

 人と防災未来センター(神戸市中央区)が、個人の記憶をつなぎあわせて震災前後の街並をバーチャル・リアリティで復元する取り組みを始めた。対象の場所は神戸の中心街、フイラワーロード、個人から写真を提供してもらい、三次元GIS(地理情報システム)に組み込んで、震災前と震災直後、そして現在という三つのまちの姿を立体映像で見せる。《中略》
 忘れかけていた記憶が蘇る。それを誰かとわかち合いたくなる。まちの記憶取り戻すことは、個人の復興につながることだと肌で感じた。(論説さろん 神戸新聞 10月2日)

 問題は、整然とした街並になってはいても、どうも映画のセットのようで、しっくりとこない点にある。お金がかけられないこともよくわかるし、震災前の建物や街並がすべて今より優れていたわけでもなく、今のほうが小奇麗じゃないか、というのもわかる。が、今の風景はどうも年月の積み重ねによって熟していくような街並にはなれないような気がしてならない。
 それは、私が単なる震災前とかではなく、もっと遠くに失った記憶を欲しているからかもしれないのだ。喪失感は、もっと前から始まっている。だとすれば、私にとっては復興なんてありえない、ということになる。これは自分の居た場所が失われなかった者の、勝手な言い種かもしれない。
 実際に喪失した場所を持つ人にとって、仮想現実は、心の隙間を埋めてくれるのだろうか?

■9月22日

 脳天気な話は書けない(原文は能天気) 家庭、行政の「備え」懸念 

「風化させない」と思いながらも私たちは相当に忘れっぽくなっている。あの恐怖を覚えているなら、雨水タンクや防災袋が被災地のあらゆる家庭にあるはずだが、現実はどうだろうか。行政も同じ。立派な防災計画や応援協定はあっても、いざというとき実行できるのか、誰にもわからない。震災で生じた、政府や自治体という大きな組織への不信感は消えていない。だから近所付き合いという人間への信頼がいっそう大切になっている。(小説家・貴志祐介、西宮市在住。神戸新聞 9月15日)

 今でも東京に行くと、必ず、ここで地震が起きたらどうするんだろう? と思う。いつか消えると思っているのだが、10年経とうとする今でも、消えない。
 一方で、住まいの立地条件もあるのだろうが、ご指摘のとおり、雨水タンクなど用意していない自分がいる。そんな態度の底には、生への執着を見いだしえない、えたいのしれない諦念があるのかもしれない。しかしそれは、いつでも変わりうる。死に直面すれば、おのずと頭をもたげる生への執着、その見苦しさをまだ自認できるほどには成熟していないのも確かなようだ。

■8月18日
 
 
神戸空港の建設 来月答申まとめ 外部評価委員会

 神戸市の建設事業外部評価委員会は17日、05年度開港の神戸空港についての質疑を終えて9月に答申をまとめることを決めた。次回は黒田勝彦会長が作成する答申素案について審議する。17日の委員会では、神戸市みなと総局が提出していた「空港整備事業と空港関連整備事業を継続する」とした資料について委員から意見や発言は出なかった。(日経新聞 8月18日)
 
 
神戸空港 来月、意見を集約 外部評価委員会 実質審議ほぼ終了

 神戸市が同委員会に示した「空港の投資効果は約2倍」との数値をめぐり、市民団体は用地代に埋め立て費として1平方mあたり89000円を含んだ計算をもとに「実質は1倍を下回る投資効果の低い事業」と主張している。
 会合ではこの点もとりあげられ、市の案出根拠は「埋め立て地の買い取り価格である」1平方mあたり28000円としていることに、委員が「実際、そのような値段の例はあるのか」などと質問、市は「ポートアイランド埠頭用地などの例に準拠」などと説明した。
 一方、傍聴した市民団体のメンバーらは「議論がまったく深められていない。このまま結論を出すのはおかしい」などと反発を強めている。(神戸新聞 8月18日)

 以上でおわかりのように、日経では、なんの問題もなかったことになっている。もともと御用学識経験者の委員会ですら、素朴な疑問が出ているのに、報じていない。いまさらではあるけれど、報道が官報に堕している例の一つがここにも散見できる。

■8月9日

 
震災直後 被災者は「失見当」に 状況把握に10時間
 
データとして実証したのは初めて 兵庫県、震度7地域などを調査

 阪神・淡路大震災の被災地で、被害の大小にかかわらず、被災者が自分自身や周囲の状況を把握するのに約10時間を要していたことが、県の生活復興調査でわかった。自然災害などの際に起きる「失見当」と呼ばれる状態に陥っていたとみられ、調査した専門家は「データとして実証できたのは初めて」としている。(神戸新聞 8月7日)

 調査は、京大防災研究所が神戸市全域と震度7を記録した地域などに住む3300人に郵送方式で実施。震災体験者1203人の回答(36.5%)があった。
 震災翌日の午前になって、被害の全体像がつかめたという回答が5割を越えた。「失見当」とは、自分自身や周囲の状況を正確に把握し理解できない状態のこと。すべての被災者が、何が起こったのかわからない状態から、およその状況がわかるまでには10時間かかる。
 であれば、被災地域とそうでない地域からの救援、支援は、それまでに迅速に行ったほうがいいというわけだ。ぼう然自失状態から回復するまでには、どうしても時間がかかるのだから。

■8月3日

 義援金 災害ごと支給に大差 
 全壊世帯で芸予地震62000円、北海道南西沖は200倍

 
  国内では震災後も、行政、日赤を含めた義援金委員会が募集から配分決定まで行っているが、本来、行政は関わるべきでない。
 義援金は寄託者にとっては、被災者への激励、お見舞いの意味合いが強く、何より迅速性が求められる。しかし、行政は公平性を保とうとするため、被害状況や被災者ニーズを十分に把握しなければならず、時間がかかる。迅速性と公平性の両立は困難。行政にとっても、本来の被災者救援や復旧活動に集中できず負担になっている。
 義援金はもともと公平に寄せられたお金ではない。高額を寄せる人もいれば、関心のない人もいる。配分方法も、寄託者の意志のそうというのであれば、厳密に公平である必要はない。信頼性の高い民間団体を増やし、配分方法の決定は民間に任せるべきだ。寄託者は活動内容で団体を選ぶか、団体があらかじめ示した使い道を選ぶ、という方法が自然。義援金の一部を配分の事務費に充てることもい事前に知らせおけば理解を得られるだろう。《神戸大学教授 地主敏樹》(神戸新聞 8月1日)


 もっともなことである。官はホントに必要なことに徹して、民間にゆだねなさい、ということだ。さすれば、くだんの2億円の宝くじの義援金にしても、福井県は「2万円を1万人に配布する」ことで、大方の了解が得られたようだが、上記の方法であれば、違う処理になったかもしれないが、地元の実情に合わせてさっさと処理されていたことだろう。もっとも、地域に信頼される民間団体があれば、という条件つきではあるが。

■7月27日

震災の痛み フランスに伝える
 フランス人教師と撮影技師 神戸・阪神間、淡路島を行脚
 遺族や消防団を取材 ビデオ化してフランスで配布へ


 阪神・淡路大震災の被災地復興をテーマにしたドキュメンタリービデオを制作しようと、フランス人教師と刷衛技師の二人が、神戸・阪神間や淡路島を行脚し。街並みや遺族、救助活動をした人らへの撮影と取材を続けている。二人は「悲しく、大変な経験をフランスの人々に伝えたい」と意欲満々だ。(神戸新聞 7月27日)

 彼らは「街並みは地震があったとわからないほど立派に復興したが、出会った人たちは皆、悲しさや嫌な思いを口にした」という。
 取材は、我々の目がなかなか行き届かない淡路島富島地区にも行われ、9月まで続けられた後、約52分に編集されて、フランスの教育機関や放送会社、美術館などに配布される。
 神戸日仏教会が通訳などで協力したということだから、ぜひ、その成果を神戸で上映してもらいたいものだ。

■7月20日

 復興の軌跡 阪神大震災10年
 地域の輪、終わりなき支援 善意・基金頼み 限界に


 千葉県松戸市で6月に開かれた高齢化や孤独死を考えるシンポジウム。報告する壇上には神戸市の担当者の姿があった。仮説や復興住宅でお年寄りらが誰にも見取られずに亡くなる孤独死が相次いだ経験をふまえ、ボランティアらを使った地域の「見守り活動」などの施策を紹介した。
「参考になることはなかった」。発起人の一人、松戸市常磐団地の中沢卓実自治会長(70)は被災地の取り組みに首をかしげた。25%超の高齢化率に悩むこの団地の活動は住民主体。「行政に頼る神戸のようなら、時間とともに支援なども尻すぼみになるのは当然」。
 被災地は地域の最生を「復興」と位置づけてきたが、シンポのある参加者は「高齢化など国内共通の問題の背景を『震災』に押しつけているように映る」とすら指摘する。
 10年、20年先に日本が向き合う問題を先行体験することとなった被災地は、こうした意見とも交わらず、教訓を生かしてないようにも映る。(日経新聞 7月17日)

 確かに先行体験した。だから、先行した施策が出てくるはずだった。日本の他地域が参考にするような施策がつくられるはずだった。ところが、どうもそうではないようだ。東の副都心と銘打った「復興住宅HAT神戸」では、住民約6000人のうち5人に2人が65歳以上の高齢者となってしまった。住民主体とはいっても、お年寄りばかりではある種の閉鎖社会になってしまうのは、目に見えていたはずだ。
 海側から、HATの一見、モダンな都市風景をみれば、その復興の内実は映画のセットのように儚いものに見えてしまう。

■7月9日

 三空港時代 見えぬ将来像
 神戸、島の土地売却進まず 市の需要予測に疑問

   
 「来年までに借地権の具体的な内容を固めたい」と神戸市空港整備室の山本明弘参与は渋い表情で語る。05年度に開港する神戸空港の事業費3140億円のうち、埋め立てた空港島の土地売却で3000億円を確保する計画の神戸市は230社以上の民間企業に働きかけたが、土地購入の申し出はまだ一社もない。
 空港関連施設では04年度末までに985億円分の土地を売却するはずが、実際は137億円にとどまる見通し。一方で起債(借金)は計画よりも271億円多い2014億円に膨らむ。(7月9日 日経新聞)

 ほんとにわけがわからん。何度でもいうが、事態は良い方向へ行ってるようには見えない。開港はどんどん迫っている。
 ちなみに運用時間は午前7時から午後10時だそうである。伊丹より1時間多いだけ。その差に誰が敏感に反応するんだろうか。

■7月3日

 
被災度判定を早く、公平に
 神戸の防災科学研究センター 訓練システムを開発
 5段階評価《無被害・一部損壊・半壊・全壊(層破壊以外)・全壊(層破  
 壊)》、外観重視に疑問も

   
 阪神・淡路大震災で罹災証明の判定に不満が相次ぎ、再調査に膨大な人手を要したのをふまえ、防災科学研究所地震防災フロンティア研究センター(神戸市)などが「被災度判定トレーニングシステム」の開発を進めている。チャートを用いて訓練し、建物の外観による素早く公平な判定を目指す。一方で、被災者への支援策にも連動することなどから、外観重視での被災度判定に疑義を訴える専門家もいる。(6月30日 神戸新聞)

 被災度判定は、応急危険度判定とは別物。「危険」は必ずしも「全壊」ではない。だから、外観だけでの判断で、被災度判定すべきではないし、家屋内部の被害を考慮しなければ、被災者の気持ちをくみとったことにはならないだろう。
 今後も議論は積み重ねられるようだが、ぜひ、被災者にとってプラスになるものをつくってほしいものだ。

■6月23日

 
神戸空港「投資効果2倍超」
 専門家ら 疑問の声 「失敗に学んでいない」

  
 神戸空港への投資効果が2倍以上との数値が示され、再評価への本格論議がスタートした建設事業外部評価委員会(委員長 黒田勝彦・神戸大教授)。22日の会合では、専門家である委員から、土地処分や建設費用など、事業の全体像が見えにくいとする意見が相次ぎ、空港建設効果の信用性をめぐる課題が浮き彫りとなった。
 神戸市は同日、空港事業の経緯とともに、国のマニュアルによる費用対効果の数値、費用便益比が建設中の静岡空港や新北九州空港を上回る2.03とする分析効果を初めて公表した。《中略》
 閉会後、委員の一人は「空港建設など大事業では需要予想を外れた場合の打撃が大きい、過去の事例に学ぶ姿勢が足りないのでは」と指摘した。
 傍聴した市民団体「新しい神戸をつくる市民の会」世話人、中田作成さんは「投資効果の数字は事業の全体を示していない。今後数字が一人歩きし、PRに使われないか心配。点検すべき中味が多いのに、審議時間が十分なのかも気になる」と注文をつけた。(6月23日 神戸新聞)

 記事をみたとき、思わず「冗談でしょう!」。投資効果が2倍を越す、だって。投資家への呼び水にしようとしているのだろうが、本当に投資する投資家が全国にどれだけいるのだろうか? 比較するのが静岡空港や新北九州空港というのも、どうしてだろう? 神戸空港はマシですよ、と言いたいのだろうが、数値の前提に思い込みがあれば、それは砂上の楼閣。暴走はまだまだ続く。

■6月20日

 被災地で「わかば」頑張る
 9月スタート NHK朝の連続ドラマ 神戸港などでロケ

  
 阪神・淡路大震災で被災した女性の成長を描く、9月スタートのNHK朝の連続テレビ小説「わかば」の神戸ロケが17日、始まった。ヒロイン・高原若葉役の原田夏希さんらが、中央区波止場町、「神戸港震災メモリアルパーク」などで撮影に臨んだ。
 震災で父を失い、母の郷里・宮崎県で育った若葉が大学卒業後、建築家だった父が目指した「緑豊かな住宅づくり」を目標に神戸に戻り、造園家を志す物語。(6月18日 神戸新聞)

 ロケとはいっても、震災の被害をとどめおいた場所は限りなくゼロに近くなってしまっている。「震災メモリアルパーク」、ご覧になった方はよくわかると思うが、実にちっぽけな空間に過ぎない。つまり、震災の記憶は人々の脳裏もしくはこころのなかにしか残っていないといってもよい。
 はたして、それでよかったのだろうか?

 ついでに言っておこう。その「震災メモリアルパーク」に行く手前にフィッシュダンスホールがある。大きな鯉のオブジェがある。アメリカの建築家フランク・ゲーリーの作品だ。
 1980年代末の作品で、私はとある雑誌でインタビューをした。その彼の承諾も得ずに、錆びているからという理由だけで勝手にピンク色に塗ってしまったというお粗末な話があった。管理しているのは神戸市の外郭団体である。実に無頓着だ。
 彼は「錆びることも作品のいのち」として、若い頃フィッシュダンスでデートして結ばれたカップルが「年月を経てさびた色を見て、当時を思い出してくれればうれしいね」と言っていたことをはっきりと覚えている。
 オブジェの物語を語らせない都市、とは単なる書き割りに過ぎない。時間の風化に耐えられない都市は、果たして長生きできるであろうか?

■6月16日

 神戸空港 2004年度予算差し止めを
 神戸市民 4人が提訴

  
 神戸空港建設をめぐり、市民団体「ミナト神戸を守る会」のメンバー4人が14日、04年度の空港関連予算329億円の支出差し止めなどを求める訴訟を神戸地裁に起こした。
 訴状によると、4人は同空港について、神戸市の財政に回復困難な損害を与える恐れがある/埋め立てなどによって環境に悪影響を与える/関西圏に三つ目の空港は必要ない─などの違法性を訴えている。(6月15日 神戸新聞)

 どれだけ既成事実が積み重ねられようと、「ダメなものは駄目」とばかりに、しつこく市を告発し続ける市民団体がいることを知っていただきたい。
 空港まで延伸するポートライナーの橋脚は、徐々に線へのつながりを見せ始めている。事務所のそばの中公園駅から市民広場までは複線化の工事が進められているが、技術オンチゆえ、見ている限り、どのような複線になるのか、私にはわからない。

 折しも、プロ野球のオリックスと近鉄の合併話。本拠地がどうなるのかしらないが、神戸を離れるようなことになれば、沿線にヤフーBBスタジアム(旧グリーンスタジアム)をかかえる神戸市と市営地下鉄は、ますます財政赤字がふくれあがることになる。
 遅れてきた神戸市民とはいえ、ベイスターズを応援する我が身を振り返れば、昨今の野球を見ていて、思わず私は「なぜ野球少年だったのだろうか」と自問することがある。

■6月11日

 
21世紀まちづくり賞 村井雅清、小林郁雄両氏に決定
 (財)兵庫地域政策研究機構が選出

  
(財)兵庫地域政策研究機構(理事長 貝原俊民前兵庫県知事)このほど2004年度「21世紀のまちづくり賞」の受賞者2人を選んだ。
 社会活動部門は「被災地NGO恊働センター」の村井雅清代表が、研究活動部門は「阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク」の小林郁雄代表がそれぞれ受賞した。
 同賞は、阪神・淡路大震災からの復興過程で功績をあげた個人やグループの表彰を目的に、03年度に創設された。(6月11日 神戸新聞)

 この受賞に関しては、まったく妥当なもので、心からお祝いしたい。「神戸から」や「WAVE117」時代から何度もお目にかかっていている。違うフィールドでありながら、その膂力たるや常人にはなしえない力しごとを続けていらっしゃるところは共通する。
 別に賞を受賞したからといって、彼らのしごとに大きな変わりがあるはずもないが、こうして、少しずつ周囲が認めていってくれるのは喜ばしい。近々においての一服の清涼剤となった。

■6月8日

 
訪問データ 1万件を分析 「週末ボランティア」が方針
 被災者の実情を把握 福祉施策の監視も強化


 仮設住宅や復興住宅で訪問ボランティアを続けてきた「週末ボランティア」(東條健司代表)は五日、中央区の婦人会館で、震災十年に向けた活動方針を話し合った。約20人が参加し、これまでの訪問データを分析して、被災者の実情や教訓をまとめることや、行政の福祉施策への監視を強めることなどを決めた。(6月6日 神戸新聞)

 95年6月からの訪問が積もり積もって1万戸を越えたという。現在でも毎月2回の訪問を行っているが、震災10年はよくも悪くも区切りだという意識に流れがちな風潮に棹をさすという意味で、データの活用に踏み切るのはいいアイデアだと思われる。
福祉という分野にいまいち関心がいかない我が身をふりかえって、世界標準という名のもとに、スピードや効率が何よりも価値があるかの主流派に、愚直なまでの持続にこだわる「週末ボランティア」の膂力には、ただ脱帽である。

■5月31日

 FMわぃわぃ 支援組織が改組
 地域連携をめざし 再出発


 阪神大震災を機に神戸市長田区に誕生した多言語放送局「FMわぃわぃ」の支援組織「わぃわぃクラブ」が5月29日、発足した。95年から同放送を支えてきた有志の「友の会」(300人)を解散し、改組した。今後は、地元のNPOや商店主らとの連携を強化する。
 株式会社「FMわぃわぃ」は、9年間で累積赤字が690万円に達し、昨年8月から放送時間を短縮するなど、再建に取り組んできた。クラブの発足は再建策の一環。
 今後は神戸大学と連携してリスナーの属性調査などを行い、より効果的なCM拠出をスポンサーに働きかけたいという。

 この日、応援の集まりに出かけていく予定だったが、行けなかったのは残念だった。
 累積赤字の数字を聞いて驚く。たったこれだけの赤字ですんでいたのかと。株式会社の数字であれば、こんな数字、大したものじゃなない、というのが正直な感想だ。しかし、実質NPOの組織であれば、そうはいかない。今後の事業で年間売り上げ目標を達成しなければ、株主への説明もしづらいことになる。
 ここは、いっちょ、気をひきしめてがんばってもらいたいところだ。

 同じFMというメディアを使うメジャーな民間FM局にしたところで、広告収入はあっぷあっぷの状態。つまりは、FMのターゲットである若者が聞かなくなっている、のだという。主因はケータイ、である。
 それに比べれば、長田のFMは、スタートからしてきわだった特徴を持っているわけだが、マーケットが小さい分、どんな人たちが聞いているのか、どんな放送を聞こうとしているのか、まずはそこが出発点であることは間違いない。多言語放送のメジャー、FMcocoloとの差別化も課題だろう。
 震災後10年、これからの再出発に期待したい。

■5月26日

 震災10年懇談会 復興基金事業を検証
 終了後の施策を提言へ
 


 阪神・淡路大震災の被災地で活動する市民団体などでつくる「大震災10年! 被災地と被災者を考える懇談会」(26団体)が24日、神戸市内で会合を開き、復興基金の検証に取り組む方針を決めた。同基金を活用した被災者支援事業は来年3月でほぼ終わる予定だが、その後の施策について県などに政策提言する。
 復興基金は、県と神戸市の起債(借金)9000億円を運用。被災者自立支援金をはじめ、行政施策で踏み込めない個人給付の財源となり、被災者支援に大きな役割を果たしてきた。一部の継続事業を残し、来年3月に運用を終える予定だ。(5月25日 神戸新聞)

 高齢者・失業者支援や被災者のグループなど26団体が、9年間の施策の検証をしながら、10年以後の施策になにが必要なのか、を検討する。かなり緻密な作業になると思われるが、行政がしなければならないこと、行政がしなくてもいいことの線引きを、こんな時代だからこそ、きちっと提言できればいい。しかし、これらの提言を行政がどのように扱うのかは、また別の問題になる。

■5月22日

 被災者住宅再建 支援基金に300億円 全国知事会対策委員会が決議
 3年の分割拠出もできるように
 


 自然災害による被災住宅の再建を支援する基金への拠出を議論している全国知事会は、19日、東京都内で地震対策特別委員会を開き、従来の申し合わせに修正を加え、300億円の拠出を決議。25日に開かれる臨時総会に報告、決定される見込み。4月施行の居住安定支援制度で見送られた住宅本体への再建費支給などについて、改めて実現を目指すことを確認した。(5月20日 神戸新聞)

 300億円の原資は都道府県の起債。全額が地方交付税の算定基準となる基準財政需要額に組み込まれるため、事実上の都道府県の負担は発生しない。
 修正は、特段の事情があれば3年の分割拠出ができることを追加、合わせて住宅本体を支給対象にするよう取り組むことなどを確認事項として決定したわけだが、これをちまちました話だととらえるか、少しでも実をとる方向だと評価するか、ニュースだけではなかなか判断できない。
地方財政の多難な時期だけに、負担が発生しないことに限れば、所属する22都道府県のほとんどが賛成したというのもうなづける。
起債すなわち債券の買える人たちに頼らざるをえないという現実だけが、重々しい。

■5月12日

 被災地に防災士 続々誕生 神戸の初研修 96人全員合格
 悔しさ忘れずに 教訓を伝えたい
 


 兵庫県内で初めて開かれた「防災士」の研修で,全受講者96人が資格取得試験に合格した。防災士は阪神・淡路大震災を教訓に制度化。防災意識の啓発や、災害時には地域のリーダー役として活躍が期待される。震災を経験した合格者は「友人を救えなかった悔しさ」「教訓を伝えたい」など、それぞれの思いを胸に、実践の場へと一歩を踏み出した。(5月9日 神戸新聞)

 防災士。03年4月、NPO法人「日本防災士機構」(会長 貝原俊民・前兵庫県知事)が制度化、同機構が認めた機関の研修で自然災害、医療、ボランティア、救急救命の実技など33講座を受け、試験に合格すれば有資格者となる。
 全国に約2000人、うち兵庫県の防災士は、74名だそうだ。このようなかたちで、震災の記憶を継承していく人たちもいる。
 忘れられない、忘れない、忘れたい……、さまざまな思いは、未来へとつながり、次の世代へと受け継がれていく。

■5月2日

 
震災10年 備えは 200X年 南海地震、県内震度6弱
 被害想定 津波6m 淡路島を襲う
 その時 どうする 行政側は改善 問題は「市民」向け
 


・行政の情報通信 ○(進んだ)
 初動態勢の強化に向け、被害予測システムが広がった
・市民の情報通信 ×(進展せず)
 公衆電話が減少。携帯電話の混雑緩和策も不十分
・市民への伝達 △(道半ば)
 防災無線とFM放送を組み合わせるなど工夫が必要
・電話の活用 ○
 災害用伝言ダイヤルや公衆電話の無料化など、対策が進んだ
・危険情報の公開 ○
 ハザードマップが普及。今後はわかりやすくする工夫を。
・情報の活用 ×
 災害時の渋滞対策などが不十分。情報を生かしきれない。
 (廣井 脩・東大大学院教授の「私の通信簿」より 5月2日 神戸新聞)

 公衆電話の減少は、顕著。赤字事業という烙印で大幅に撤去され、多いときの6割までに減っている。
 防災無線をFMラジオで流すには、電波法と放送法の規制がネック。災害時特例があってもよい。
 某大な情報は、緊急時対応策を考えておかなければ、ただのクズになってしまう。その生かし方を訓練し、マンパワー(人の力)潜在力を引き出すために、なにができるかを考えねばならない。

■4月19日

 震災死者数、6433 兵庫県 再調査へ
 川西、西宮で二重計上 同一の男性 他市も報告漏れの疑い

 公表されている阪神・淡路大震災の死者6433人のうち、川西市と西宮市が同じ男性を兵庫県に報告、二重計上されていたことが18日、神戸新聞社の調査で分かった。県内の他の市でも、死者の二重計上や報告漏れの可能性が高いケースが判明。震災から10年目を迎えたが、死者の実態さえ正確に把握されていないことが浮き彫りになった格好で、県は総数や内訳をあらためて調査する方針を固めた。

 死者が亡くなった個別の状況について、神戸大学教授時代に300人あまりの遺族から聞き取り調査をした独立行政法人・消防研究所の室崎益輝理事長は「震災から10年目を迎えても、これだけしかわかっていないという状況。次の10年間は被災地のみんなで記録を残すつもりで、体制を立て直し。震災の原点に挑む覚悟で進めなければならない」と話している。(4月19日 朝日新聞)

 背景には、資料の散逸、行政担当者の交代、担当職員の減員などがあげられている。記録を汎用化するのは当然として、その記録そのものに修正が必要とされている。たったひとつのいのちが、実体を伴わない全体の大きな数字の魔術の前には、色褪せ、負けてしまう。
 個別の死と全体の死、これは、私益と公益のバランスにも似て、かけがえのなさに落差がありすぎ、そのいずれにこだわるのか、という問いが、それぞれの担当者に迫るはずだ。これも、担当者の資質に帰すべきことなのか、それともNPOに委託すべきか、真摯に検討されるべきことがらだろう。

■4月12日

 
神戸空港 06年3月 開港へ 神戸市の方針 大手2社の就航が課題
 神戸空港訴訟判決 推進の市に「冷や水」 
 「見通し甘い」バッサリ

 「どうしてそこまで言われなければならないのか」
 3月30日、午前11時、記者会見に臨んだ山本明弘・みなと総局参与は「結論として必要性は認められた。計画を見直す考えはない」と強気の姿勢を崩さなかった。
 実は、最も戸惑ったのは山本参与本人だった。「判決骨子を見て、これは一体、何やろなと思った」と明かす。約10分後に記者会見を控え、判決内容を吟味するだけの余裕はなかった。別の市幹部は「裁判であれだけ採算性について合理的な資料を提出したのに、『素朴な疑問』と片づけられた」と憤った。(4月10日 朝日新聞)

 しつこく、神戸空港に言及する。合理的な資料、というのなら、PR物にきっぱりと掲載すればよい。そんな資料、今までの市の広報物では見たことがない。合理的ではない、数字を見たことがある程度のものだ。どこが合理的なのか? 現実的であるはずの行政が「神戸空港から、飛行機に乗ってくれたらいいな」という、ゆめ物語を語っているのだから、この言い種は憤飯ものだ。

■4月6日

 神戸空港「必要性に疑問」 神戸地裁判決
 公費支出返還訴訟 住民の請求棄却 
 「机上の計算」批判も 神戸空港需要予測 集客に努力必要

 神戸空港はどれだけ利用されるのか、関空、伊丹との共存は可能か? 神戸空港訴訟の判決で「甘さ」を指摘された需要予測。神戸市は「十分な利用が見込め、関西三空港の共存は可能」とするが、その見通しには専門家からも疑問の声が多い。
 需要について、神戸市は開港初年度が319万人、10年後が434万人と予測。関西圏の航空需要は増え続け、神戸空港利用者の約4割が上京に利用するとの前提だが、空港経営に詳しい平井小百合大和総研主任研究員は「新幹線の存在を考えると甘過ぎる」と批判的だ。
 また、利用者の半数以上が大阪市や高槻市など大阪府北部から来る、と見ているが、吹田市に住むパーソナリティ浜村淳さん(69)は「神戸まで電車ですぐや言うても、感覚的には遠いんですよ。月3回は飛行機に乗りますが、やっぱり伊丹か関空へ行くでしょうねえ」。(3月30日 読売新聞)

 ホントに新幹線のお客さん、約200万人のうち、大半が神戸空港に乗るらしいんですよ。といっても、乗るのは、神戸の市役所と商工会議所、青年会議所と修学旅行生の人たちだろうから、他の大勢も強制的に空港へ引き込むつもりなんだろうか? そりゃ、JR西日本だって、がんばりますよね。
市長の裁量による事業とはいえ、歴史的汚点か英断か? どっちにしても、誰も責任をとらない公共事業だ。

■3月27日

 神戸空港予算 差し止め訴訟 神戸市財政への影響が焦点
 30日 神戸地裁が判決

 神戸空港建設をめぐり、市民団体「ミナト神戸を守る会」(東條健司代表)が、神戸市長らを相手に、03年度の空港関連予算約334億円の支出差し止めと、すでに支出されたとみられる同予算約575億円の神戸市への返還を求める訴訟など、同空港関連の七件の訴訟の判決が30日、神戸地裁(紙浦健二裁判長)で言い渡される。
 いずれも厳しい財政状況のなかで3140億円を投じる神戸空港事業の是非を問う訴訟で、空港建設が市財政にどのような影響を及ぼすかが最大の焦点になっている。
 原告側弁護団によると、公共事業の違法性が認められれば、きわめて珍しいケースになるという。(3月27日 神戸新聞)

 これまで10件の差し止め訴訟のうち、すでに予算が執行されている3件は取り下げられている。
 原告側は、学識者など7人が証人として出廷、「前笹山市長、矢田市長の空港事業への公金支出が財政への回復困難な損害を与える」とし、それは「裁量権の逸脱、乱用にあたる」としており、一方、被告側は「それにはあたらない」と反論している。
 この事業は、全国的にも大いに注目されるべきもので、ムダな公共事業の最たるものかどうかが問われることになる。
 昨今の裁判官たちの持つ無意識の流れが奈辺にあるのかは知らないが、新たな時代に突入したといえる判決か、それとも、行政は破産せずという神話にすがる判決か、将来の市民に課せられる負荷を思うと、私は神戸生まれの子どもたちに、神戸に住む必要は全然ないぞ、と言うことにもなりかねない。

■3月24日

 
変わる街 癒えぬ傷 被災地を定点撮影する
 東灘区で 大仁節子さん 写真展


 阪神・淡路大震災後の被災地の定点撮影を続ける大仁節子さん(80歳)の写真展が、22日から東灘区役所一階ロビーで始まった。
「傷跡はまだ癒えていない。これからも復興の歩みを見届けたい」と大仁さんは話している。
 夫と長年暮らした家は震災で全壊。思い出の建物が解体されるのが忍びなく、使いきりカメラで写した。
 一階がつぶれた知人宅。切断された電車の高架。林芙美子の講演を聞いた神戸栄光教会も崩れ落ちていた。
「変わりはてたまちの姿を記録しておきたい」と、シャッターを押すうち、被災地風景を記録するボランティアグループに勧められ、定点観測を始めた。写真は5000枚を越え、これまでに十回の写真展を開催している。(3月23日 神戸新聞)


 年のことを言っては失礼だが、高齢のばばさまが、きわめてパーソナルなきっかけで、カメラを手にして、「ただ写す」という、ひとりの人間の営みが公にしみこんでいく。
 表現という大げさな言葉は似合わないだろうが、まさに、日々の積み重ねを淡々とこなしていく。
与えられたいのち、与えられた使命、きっと大仁さんは、生きている実感を内にかかえてらっしゃるのではなかろうか。

■3月19日

 被災者支援法改正案 可決 「第一歩」にも笑顔なく
 被災者「現状は理解されず」 
 兵庫県「制度発足に意義あり」


 約60万世帯が全半壊した阪神・淡路大震災から9年2カ月、災害後の住宅再建を後押しする制度が、18日、衆院特別委員会で可決された「被災者生活再建支援法」改正案に盛り込まれ、実現へと動き出した。これは、震災後に残されていた最大課題の一つ。
「一歩前進」と評価する意見の一方で、住宅本体の建築費が支給対象から除外されたことなどに批判も相次いだ。
「被災地の苦悩を国は理解しているのか」、制度創設を訴え続けてきた被災者、議員らに笑顔はなかった。(3月19日 神戸新聞)


 4年後に見直すという付帯決議が全会一致で採択されたのだが、それは住宅の建築費や補修費を至急対象とする野党の修正案が与党によって否決されたゆえ、付帯決議をつけることで、政府案にのったということだった。
 また、4年か! オリンピックじゃないんだよね。徒労にも似た思いが被災地を走る。
 その頃には、ますます震災は忘却の彼方。被災者も高齢化していく。長い裁判にも似て、市民のエネルギーがついえていくことを待っているのだろうか?

■3月12日

 
体育館の床 炊き出しの湯気……
 あの日を忘れず 「新住民」が増える東灘区 避難所生活を体験 来年一月
 地域の結びつきを深める

 
 
震災を経験していない子どもやその親らに、避難所生活の苦労を知ってもらおうと、来年一月の震災十年に合わせ、神戸市東灘区の各小学校で「避難所生活体験学習」が開かれる。体育館の床の冷たさと、炊き出しの汁のぬくもりを通して,新旧住民が「あの日」に記憶を共有する。
 新築マンションが急増する同区は、震災後の転入者の割合が、全人口の三分の一を占める。
 新住民に震災当時の状況を少しでも知ってもらい、地域の結びつきを深めようと同区役所が企画した。

 
そうか、三分の一も入れ替わっているのか! 確かになにもしなければ、記憶のストックのない人々には、なんの関わりもなく、記憶を持つ人々ですら、時間の流れに風化されていくのだから、ますますそれは加速化されていく。
 一見すると、震災の爪痕が消えてしまったかの神戸であるが、だからといって無反省であってはならない。が、区役所が音頭をとって、こうまでしてやらなければ、コミュニティの形成につながらないとは、まことにツライ時代となった。

■3月5日

 
神戸フィールドスタジオ 開設
 「民知」と「学知」の連携 記念討論会 若手の活動拠点へ


 阪神淡路大震災の経験をふまえ、若手研究者らが、都市のあり方を研究する神戸大学の学外拠点「神戸フィールドスタジオ」が神戸市長田区久保町に開設され、4日、地域住民らを招いたパネルディスカッションなどがあった。今後、大学院生らの活動拠点となるほか、市民対象の公開講座なども計画されている。
 これは文部科学省が先駆的な研究に予算を重点配分する「21世紀COEプログラム」の一つで、「安全と共生のための都市空間デザイン戦略」を研究テーマとする同大学のグループ(リーダー=重村力・工学部教授)の拠点となり、再開発ビル「アスタくにづか4番館」内に開設された。(3月5日 神戸新聞)

 
この拠点が大きな樹になるように、祈りたい。
地域住民と研究者、専門家が日常的にクロスして、情報発信できれば、大いなる実験場になる。この4月から独立行政法人となる国立大学も漫然としていられなくなっている。有名大学だからといって、安全パイではなくなった。
 それにあせって、実学ばかり尊重する大学が多くなっているのも困りもんだが、産学協同路線(懐しい!)ならぬ、民・学連携路線は、壊れてしまった教養に代わって、「まち」に新たな教養を求めに出てみよう、というところだろうか。 

■3月3日

神戸ワイン だぶつき解消へ 葡萄栽培は上級種に限定
 今春から一部農地 桃、柿に転換 収穫量,ピークの半分に


 神戸産ブドウを主原料とする「神戸ワイン」事業の経営悪化を受け、市内の生産者らは今春から、一部の農地で栽培品目をワイン用の葡萄から桃や柿など、他の果樹に切り替える。ワイン事業は販売低迷で大量の在庫を抱えており、葡萄を上級品種(シャルドネ、リースリング、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー)にしぼりこんで品質を高めるとともに、収穫量を抑える。あまった農地の有効活用も目指す。(3月5日 神戸新聞)

 
ワインを製造する神戸市の外郭団体(またしても!)「神戸みのりの公社」の在庫は、現在350万本、適正規模は200万本だと言われている。
 なぜそんなにまでなったのか? 要するに売れないのである。なぜ,売れないのか? それは、はっきりしている。
 私が飲んだ限りにおいて、人に勧められないのだ。生産者には申し訳ないが、とても神戸土産にすることはできない。
 通常、私が家で飲むワインは、95年頃からオーストラリア・ニュージランド産のシラーズ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなど、価格帯で1300〜2000円レベルのものが多い。それで、十分に美味しい。まさに、競争で負けている。それでも、なぜ固執するのか? 私にはわからない。

 
むしろ、桃・柿のほうが風土に似合っているのかもしれない。健闘を祈る。

■2月29日
 
芦屋市立美術博物館の民間委託
 「文化の死」を懸念 評論家連盟 市に声明書


 財政難のため、芦屋市が市立美術博物館の民間委託や休館の方針を打ち出したことに対し、美術評論家連盟の針生一郎会長らが、27日、「経済的な理由だけで切り離そうとしているのであれば、『文化の死』に至りかねない」とする声明書を館長をつとめる小路秀男・市教育委員会社会教育部長に手渡した。
 同連盟は1954年に美術評論家や美術史家により創立。現在、約(what's?)165人が加盟している。
 市役所内で会見した針生会長は「簡単に投げ出さず自助努力を重ねるべき。田の文化施設への影響を恐れる」と強調。
 木村重信・県立美術館長は、同市と同じく震災で被災した県が「心の復興」を目指して新美術館を建てたことを比較し、「芦屋市の方針は人の心を励ますという美術館の本質をふまえていない。トップの見識が疑われる」と話した。(2月28日 神戸新聞)

 
文化・芸術、そしてスポーツ。いつも実業からは、一段と低く見られる。確かに、万人に芸術は認められるわけもなく、スポーツ・武術も同じような扱いを受ける。でも、はっきりしていることは、いずれも、「金」が第一義ではないことは、はっきりと宣言できる。「金」は、術のあとからついてくるものなのである。
 だとするなら、実業よりもはるかに、人間の精神の高みにあることになる。なのに、この国では政府の大きな柱という扱いを受けてはいない。
 芸術文化省もなければ、スポーツ文化省もない。教育の一環として、一部門としての扱いでしかない。予算を大きく割こうとしない。
 政府をはじめ、行政がそこまで、芸術をないがしろにするなら、市民がなんとかしていくしかない。いいチャンスである。まさに、芦屋市民の見識が問われるところだ。神戸市民もそうだけど、ね。
 ついでに、木村さん。県立美術館の使い勝手はホントに悪いらしいですね。なかでも、ホールは最悪と言われています。学芸員も気持ち良く仕事できるスペースすらないようです。どうして、そんなことになっちまうんでしょうか? 設計した安藤忠雄氏は、世界の“ANDOH”でしょう? 行政と建築家の“なあなあ”の悪い例、ではないんでしょうか? トップの見識が疑われる、という言葉はそのままお返ししておきましょう。

■2月25日

「震災10年以後」へ助走 復興を検証し、教訓を発信 
被災者支援 復興基金終了後の対策を検討


 阪神・淡路大震災の復興10ヶ年計画の最終年度となる04年度,兵庫県は復興過程の検証と教訓の発信に力点を置くとともに、10年以降も続く課題を見据え、高齢者の見守り対策や生き甲斐づくりなどの施策を拡充する。阪神・淡路大震災復興基金の期限が04年度末に迫り、被災者支援策を大幅に縮小せざるをえない状況から、05年度以降も必要となる施策や制度を見極める。
 04年度震災関連予算は882億5100万円(03年度当初比7.6%減)。
 復興施策の財源となっている復興基金は、制度上存続できず、新基金創設も財政的に難しいことから、支援策の縮小は避けられないのが現状。県復興推進課は「必要な事業は国への支援要望や一般施策化など、あらゆる選択肢を検討する」としている。(2月25日 神戸新聞)

 
10周年は、記念事業が目白押しで、2年越しとなるのだが、問題はその後のこと。「あらゆる選択肢」といういい方には悲愴感すら漂う。ない袖はふれないという理由で、追い込まれて「ソフト重視」になっているのは、怪我の功名か? 小泉改革のいう、地方財政「三位一体」改革は、権限委譲だけが置いてけぼりで、地方交付税交付金が大きくカットされ、否応なく県民に自主的な活動をしてもらわないと、まわっていかないという有り様だ。
 井戸県知事は、民の付託を受けた以上、国に逆らってでも、主張をし続けなければいけない。

■2月20日

神戸ルミナリエ 3年間継続 組織委員会が方針 

 震災10年に向けて「神戸ルミナリエ」の開催方法の見直しを検討していた神戸ルミナリエ組織委員会は20日までに、06年まで3年間,継続開催する方針を決めた。開催時期や会場は現行どおりとし、経費節減や地域活性化につながる方策などについて引き続き検討する。(2月20日 神戸新聞)

 昨年はとうとうパスしたルミナリエ。2週間に約500万人が訪れる神戸の冬の一大ページェントである。
 いただけないのは、会場周辺の屋台の連なり。興ざめとも言うべき光景が現出する。屋台の人たちが悪い、というのではなく、神社やお寺の境内には似合う極彩色が、イタリア生まれのルミナリエにはそぐわないのだ。
 95年には、なにもなかった。それぞれが、思いをいだいて、灯りのともる街へと消えていった。
05年は震災10周年であり、神戸空港開港であり、06年には兵庫国体が予定されている。06年という限定の、ホントの根拠は、奈辺にあるのだろうか?

■2月14日

兵庫県独自の補填制度 住宅再建 新年度予算計上へ 

 自然災害で住宅が全半壊した世帯に解体撤去費などを支給する被災者生活再建支援法案で、兵庫県が検討中の独自の補填制度について、井戸敏三知事は13日、「できるだけ早急に検討して実現したい」と、新年度当初予算案に盛り込む考えを示した。
 同日、県会与党三会派が制度創設について要望。「住宅の建築費用を支援の対象としない政府案には不備がある。改善されるまでの間、国の制度発足に合わせて,県単独で補完する仕組みの検討を」と訴えた。
 井戸知事は「住宅本体の建築費を支給対象に入れるべきという主張は続けるが、被災地として手をこまねいていていいのかとも思う。県独自の制度をつくることで、問題点を浮き彫りにすることができる」とし、「県の基金に所要費用の半分を積み立てていく手法が取れるのでは」と話した。(2月8日 神戸新聞)

 具体的には、補填は、住宅が全焼して解体費がほとんどかからなかったり、ローンが組めず、利子補給が受けられないケースなどを想定し、自給上限の200万円との差額を埋める仕組みを検討するそうだ
 地方からどんどん声をあげていき、国とは別個の施策を行っていく方向性は○だ。国よりマシな制度をつくれれば、それだけでも、分権の流れを加速させることになる。

■2月8日

神戸大学調査団、イラン南東部地震 被災者に聞き取り
日干しれんがの家 被害大きく 耐震性のある建物を希望
神戸にて報告会


 イラン南東部地震の被災地を視察した神戸大学調査団が7日、灘区の同大工学部で報告会を開き、「耐震性のある建物に住みたい」など、被災者への聞き取り調査の結果を照会した。イラン政府は死亡者数を4万1000人と公表したが、現地行政責任者が「最終的に4万5000人になる」との見通しを持っていることなども報告した。
 高田至郎工学部教授ら5人は地震から一カ月後の1月27日から3日間,被害の集中したバム市で調査。崩れた家のそばでテント生活をおくる31人に面談。
 大半が家族を亡くしており、日干しれんがを使った家の被害がとくに大きかった。築100年の家に住んでいた人もいた。
「今後どこに住みたいか」との問いに、30人が「元の場所」と回答。24人が困っていることに「住宅」をあげ、「耐震性のある家に住みたい」とした人が19人にのぼった。
 イラン政府は震災直前の昨年11月、耐震性に問題があるとして、日干しれんがの家の新築を禁止したという。
 北後明彦助教授は「現地では日干しれんがの耐震改修は技術的に無理とされるが、改修法を開発できないか、検討したい」と話した。(2月8日 神戸新聞)

 家屋というものは、その風土にみあったものになっているのが普通だ。今でこそポストモダンなどと言われてはいるが、日本とてたかだか130年程度(急速に変化したのは40年程度か?)の近代建築だ。確かに強いが、土と木と藁できた家とのなじみと、いま住んでいる建物とのギャップに、身体が悲鳴をあげるようになってきた。それが21世紀初頭の風景だ。
 イランの人々にとっても、当面の対策として「耐震性のある建物」が求められるのは当然だが、日干しれんがの耐震改修にチャレンジすることもまた、イランの文化を守るうえで、大きなしごとになるような気がする。研究チームの成果を期待したい。

■2月2日

恊働・参画三条例 市民による研究会
住民投票など 独自案を発表 神戸市に修正案提出へ


 神戸市が03年度中の制定をめざす「恊働・参画三条例」に対し、市民の立場から条例づくりを検討する市民グループが、1日、50条にわたる条例案を発表した。
 「市民が主役」を基本理念とし、市の条例案にはない住民投票制度が盛り込まれており、「幅広い意見を取り入れ,市の条例にも反映させたい」としている。 市民版参画条例研究会代表の高田富三さんは,市の条例について「市民の責任のみで権利が認められていない」「三条例が有機的につながらない可能性がある」などと指摘。その上で、同会が作成した条例案を披露した。
 同案では、市の施策の計画・実施・評価の各段階で,市民が調査や質問できる市民参画を保障。情報公開を進める一方で、永住外国人を含む18歳以上に住民投票請求権を認めているのが特徴という。(2月2日 神戸新聞)

 実際のところ、市の条例のくわしいことなど、ほとんどの市民は知らない。一方で、市民版条例の方も、市民活動のくわしい人でなければわからない。となれば、その橋渡しをするのがマスメディアの役目だろうが、この「重要さ」を認識しなければ、記事の書きようもない。
 どこかで、たかが条例だ、という認識がどこかにないだろうか? 地方自治体がつくる独自の法規なのだから、まさに地方の自立との関わりがあるわけで、もっとスポットをあびていい問題である。

■1月27日

復興時の専門家 その役割を検証
震災10年市民検証研究会が シンポジウム


 阪神大震災10年を前に,復興過程などを検証しようとNPOのリーダーらが、つくった「震災10年市民検証研究会」(山口一史代表)と兵庫県が26日、神戸市中央区のラッセホールで「専門家の社会的役割を検証する」と題したシンポジウムを開いた。
都市計画や法律の専門家らを招き、市民の生活再建に専門家が果たした役割などを議論した。
討論には永井幸寿(弁護士)、中辻直行(社会福祉法人神戸福生会理事長)、岩崎信彦(神戸大学文学部長)室崎益輝(神戸大学都市安全研究センター教授)の4氏が参加、震災にそう関わったのかなどを講演、また震災の教訓を生かして何ができるかなど、今後の課題も討論した。
 岩崎氏は「防災や地震とは違う分野の専門家にもできることがあるはず。震災をきっかけに誕生し、現在は一般的なテーマで活動するNPOなどを参考に考えなければ」と主張。
 室崎氏は「学会など専門家の集団全体が、何をしたか、何ができるかを批判,検討していく必要がある」と語った。(1月27日 朝日新聞)

 大学の存立さえ危ぶまれるこれからの時代、すべてとはいわないが、大学の先生の危機意識への自覚は、いろいろ見聞するかぎり、まだまだのんびりムード。つまりは、自身の定年まではなんとか逃げ切れそうだ、と踏んでいるのだろう。
 大学の存在理由は、師・内田教授いわく、「学び方を学ぶところ」。決して実学に向けたものでは本来ないはずなのだが、昨今のアメリカナイズされたグローバルな躍進企業に対応すべく、工学的手法でもって産学連携が当たり前になった時流の中で、本来の「教養の牙城」は風前の灯火だ。
 しかし、多くの先達の研究業績を受け継ぎながら、独自の研究を行い、その成果を次代の者に、これまたきちんと受け渡していくのが、先生の先生たる所以であるのなら、大学のなかだけではなく、街に出て、オープンに語っていくのも当然の責務ではないのか。そこには、耳を傾ける者への「愛」が必要なのは言うまでもない。

■1月23日

今春開校する科学技術高校 都市防災の専門科を設置。
復興進む街が教材 耐震構造の校舎も利用


 神戸市立の二校の工業高校(御影工業、神戸工業)を統合して今春、開校する科学技術高校(神戸市中央区脇浜町)に、災害と街づくりを学ぶ都市工学科(土木科とインテリア科の内容を引き継ぎ、建築学の要素を加えて新設)が開設される。都市基盤整備や住宅建築をテーマにした専門科で、類似の専門科は県内三校目。教材をかねた耐震構造の新校舎をはじめ、阪神.淡路大震災の被災地の復興状況も教材にしながら、「防災」の思想を込めた独自の“ものづくりカリキュラム”に取り組む。(1月23日 神戸新聞)

 その意気込みやよし、としたいところだが、いったい、誰(どのような先生)が教えるのだろう。工業だから専門の先生がいるのはわかるけれど、その教師が、災害から復興を遂げた都市の変遷を教える、という作業一つとっても、従来の復興プロセスは来るべき時代にはそぐわない、という自省がなければ、単なる「防災」の強化、耐震構造の強化、になるだけであろう。
 建築学も学ぶのであれば、どうぞ、木造建築(当然、森や木など自然環境への言及は必須である)もやっていただきたい。高層建築ではなくて、低層建築も教えていただきたい。人が尋常ならざる高いところで住むということがどのように精神に作用するのか、ということも考えていただきたい。
 単なる技術者育成ではないカリキュラムをのぞみたいけれど、さて、どうであろうか?

■1月13日

阪神大震災 兵庫県社会福祉協議会の緊急生活資金
半分の38億円 未返済


 阪神大震災の発生直後、兵庫県社会福祉協議会が緊急の生活資金として融資した総額約77億円の小口資金のうち、約38億円が返済期限を3年以上過ぎても返されていないことがわかった。このうち5割近い18億円分については債務者が所在不明だという。県社協は連帯保証人からの回収も進めているが、保証人も所在不明のケースがあって難航。兵庫県や国への原資返済も滞っている。

◆生活福祉資金貸付(通常は低所得者向け) 特例措置(厚生省)
 ・期間:95年1月27日〜2月9日
 ・金額:原則10万円(一件あたり)、家族死亡など特別な場合は20万円
 ・担保:無担保
 ・添付書類:不要
      (身分証明書などがない場合、親類や知人の申し立てで本人確認)
 ・申し込み数:約54,000件
       (うち、約29,300件が未済。債務者約14,000人が所在不明。
        未返済者の連帯保証人数は約13,000人(半数近くは所在不明)
 ・返済期限:00年3月
                         (1月12日 朝日新聞)

 
さて、この一件、みなさんはどのように読み取られるでしょうか?

・結局は税金で穴埋めでしょ。正直者がばかをみる。
・混乱のなかだからやむをえないが、今からでも遅くないので、返せ。
・権威者の失墜とパラレルに、大衆も倫理が崩壊している。情けない。
・だから、貸し付けじゃなく、条件厳しくして最初からあげちゃえばいい。その   コストは、社会が引受けるコスト、税金が高くなるのもやむをえない。
・もう返ってこないんだから、回収の努力をする労力は、ほかに向けたほうが、 結局はいいのでは。
・なぜ、罰則規定をつくっておかなかったのか? 当局の判断が甘い。
・社会の維持コストの一部だとあきらめる。
・低所得者なんだから、いいじゃないか。
・被災地のモラルって、称揚されたけど、結局、ふつうだったんだね。

 いずれにしても、寂しい話。倫理や道徳は地域社会や世間の眼が育ててきたものであるが、もののみごとに、その崩壊の一面があらわれている。それは、富者・貧者問わずあったものだが、寒々とした光景を感じるのは私だけではないでしょう。
自己破産の増大も、この流れにある。
 あえていう。できるだけお上に頼らないで、つつましく生きる術を身に付かせるべく、一人一人が口の端にのぼせて敷衍していこう、と。

■04年1月3日

心のケア班 全国へ派遣 災害・事故へ 被災地のノウハウ
兵庫県開設のPTSD研究拠点


04年4月、神戸東部新都心(HAT神戸)に「こころのケアセンター」(仮称)を開設する兵庫県は、全国の自然災害や大事故、事件に対し、センター研究員による専門支援チームを派遣し、被災者や被害者の心のケアにあたっていくことを決めた。心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、心のダメージは解明されていない部分も多いが、センターでは、阪神・淡路大震災で得たノウハウを全国に発信し、治療法などの研究にもつなげていく。(神戸新聞 1月1日)

心的外傷(トラウマ)については、ほんとうにそうなのか、実はそうではなくて、現在の自分のわがままを受け入れてほしいがために、過去の忌わしい体験をクローズアップしすぎて、フィクションにまつりあげてしまう事例も多いと聞く。その線引きを決定できるほど、専門家連中は充実しているといえるのかどうか?
いわゆる、米国並みに精神科医や心理カウンセラーが大流行りすることが、果たして好ましいことなのかどうか、など、自戒の念を持ったうえで、推進していただくことをこころより願いたい。
過酷な言い方をするようだが、お粗末な精神科医や心理カウンセラーなど、百害あって一利なし、だからだ。

■12月26日

つらかった 経験生かそう 万全の備えへ アジア連携
国際防災会議 「大災害の教訓に学ぶ」


神戸市内で開かれた国際防災会議「大災害の教訓に学ぶ みんなで参加する災害への備え」(アジア防災センター,国連人道問題調整事務所神戸 主催、12月2〜日)には、約30か国から70人が参加した。各国の専門家らが、アジア地域の防災対策推進を目指し、課題や現状を報告、活発に意見を交換した。(神戸新聞 12月26日)

国際レベルの会議だけに、2ページ見開き全20段のスペースを使って、基調講演など大所高所の議論と、各国の事例報告などがまとめられている。地元紙だけにこれだけの紙面がさけるのだろう。
1981年の耐震基準に従って設計された建物は大きな被害はなかった。しかし、それ以前に建築された建物は、わが国建築ストックの半数以上(木造は70%以上)を占めている。このままだと、将来の地震がきたときには甚大な人的被害はまぬかれない。
そこで耐震化促進へと制度改善を求める声が専門家からは当然あがる。しかし、耐震補強は進まない。なぜか、古い木造住宅に住む層にとって、補修費用が高く投資に対する便益もそうだが、したくてもできない事情があって、切迫性が感じられないからである。
そこをどうするべきか、「耐震補強を済ませた建物が被災した場合、被災建物の補修費用の一部を行政が負担する」という制度をつくれというのは、目黒公郎・東大生産技術研究所助教授だ。
一部というのは、どのぐらいか? 半分ぐらい、というのが大方の庶民の感覚ではなかろうか? とすると、多大な財政負担をしいられる行政は二の足を踏んで、実現は困難になる。
家を持つ、ということは、大きな厄介をかかえこむこと、でもあるわけだ。

■12月25日

住宅再建支援を制度化 来年度から 最高で200万円を支給

「復興の要」国と温度差 住宅再建支援制度 有効性に疑問の声
建築費は対象外「被災者経験生かせ」
 

 阪神・淡路大震災から約9年。22日、大臣折衝によって、被災地の切実な声を受けて創設された制度は、「住宅再建支援」というには、あまりにも不十分な内容だった。制度実現を「一歩前進」と評価する声もあるものの、「建築費は対象外」との方針に不満と落胆が広がった。「震災の教訓が生かされていない」。今なお空地が根太津目立つ地域で、そんなつぶやきさえ、漏れた。(12月23日 神戸新聞)

 
名称が実際の内容を如実にあらわしている。いわく「居住安定支援制度」。住宅再建支援ではない。財務省は、とにかく制度をつくったことをヨシとするといわんばかり。ま、年収800万円以上の所帯には関係のない話だから、官僚にとっても、できるだけ施しを避けたいのだろう。私有財産ねえ、これにもぜんぜんピンとこない。
不謹慎な話だが、適用されうる災害が起こったときの、住民の反応はいかがばかりだろうか? 阪神淡路大震災の教訓って、いったい何?

■12月22日

 
長田の『御菅』いつまでも 街への思いカルタに
 計133人が参加 巡回の原画展、始まる 

「残したい 御菅(みすが)のカルタ 後の世に」
 阪神大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区御菅地区の住民たちが企画した「御菅カルタ」が完成した。絵札の原画展が同市中央区元町通4丁目、こうべまちづくり会館ギャラリーで、23日まで開かれている。

 地域の魅力を見直し、街を離れた人にも古里を思い浮かべてもらおうと御蔵通5・6・7丁目自治会が企画、まちづくり支援団体「まち・コミュニケーション」が協力した。句づくりと絵の描き手を御菅地区の住人だけでなく、元住人や震災以降にボランティアでおとずれたひとから募った。66人から寄せられた計315作のうち65作を選び,別の67人が絵を描いた。計133人は小学1年生から88歳までで、県内外から参加した。

 震災後 すっかり変わった 御菅の街並
 忘れない 忘れてはいけない 1・17
 町変わり 人情変わらぬ 御菅人
 狭い路地 楽しかったね 井戸端会議

 *カルタは¥1000で販売。
 問い合わせは、まち・コミュニケーション 078-578-1100へ。(12月22日  朝日新聞)

 まち・コミュニケーションのスタッフから進行は聞いていたが、出来上がるまでのプロセスも大事なこと。神戸の下町の匂いを嗅ぎとってほしい。共同作業が実って、さあ、これから、とばかりに原画展は順次市内を巡回する。
1月15日〜24日 新長田勤労市民センター(長田区若松5丁目)
1月27日〜2月8日 北野ポケット美術函(中央区北野町2丁目)
2月10日〜27日 姫路信用金庫神戸西支店(長田区菅原通5丁目)
3月4日〜31日 サルビアギャラリー(地下鉄長田駅地下通路)

■12月17日
 
 
神戸の震災碑に50人追加 生きたあかし 遺族ら刻む

 
阪神・淡路大震災の犠牲者のうち、神戸市民と同市内で亡くなった人の名を刻む神戸・三宮の「慰霊と復興のモニュメント」に17日,市外の犠牲者ら50人の名が初めて刻まれた。遺族約60人が集い、亡き家族の名が書かれた銘板を自らの手で開示した。今後も遺族の希望を受け、毎年、犠牲者名を追加する。

 モニュメントは2000年1月、全国からの寄付金で完成した。犠牲者の名は縦3cm、横14cmのアクリル製銘板に一人ずつ刻まれ地下空間の壁面に4517人分が掲示されていた。
 新たに刻まれたのは市外の犠牲者や震災が遠因で亡くなった人で、「震災死」とされる6433人に含まれない人も対象。
 掲示の問い合わせは、神戸市役所内「慰霊と復興のモニュメント運営委員会」?078-321-3921(神戸新聞 12月17日)

 「弔い」はたいせつなこと。丁重にしてあげたい。それは、どんな死でも変わらない。「死者」の無念の思いがうずまくなか、生者は鎮魂の儀式を執り行なう。儀式は執行者の思いで、いかようにもでいようが、やはり「型」をおろそかにしてはいけないと思う。
 「死者」は生者にあり、生者は「死者」に寄り添う。営々と続けてきた営みに賞味期限はない。

■12月15日

 国連防災会議 神戸開催が正式決定
 05年1月 震災10年、教訓を世界に

 阪神・淡路大震災の経験と教訓を世界に発信するため,兵庫県や国が誘致を目指していた「国連防災世界会議」が、05年1月、神戸市などで開催されることが12日決まった。
 ニューヨークで開会中の国連総会の委員会で、日本が提案した決議案に、米国やスイスなど約140か国が共同提案国として参加、全会一致で採択された。
前回は94年に横浜で開かれ、「国際防災協定の指針(横浜戦略)を策定。05年の会議でこれを見直し,21世紀の新たな指針をまとめる。
 防災の重要性が認識されながら、具体的な取り組みが遅れている現状をふまえ、政策として実行する仕組みづくりがテーマになる。(12月12日 神戸新聞)

 
これは、好むと好まざるにかかわらず、復興10年の大きな目玉になる。なにせ国連加盟の約190か国から、防災専門家が来日する。これを上手に利用することが、地元のNGO、NPOに求められるだろう。
 防災と言えばいつも思うことだが、堅固な防災の砦をつくることよりも、モノは壊れるもの、という前提のもとに、しなやかな処し方の知恵を蓄積し、立ち直る術を身に付けるほうがいい。
 自然災害は、防ぎようがない、という諦念から、対処するのが、21世紀のまっとうな生き方だと思う。

■12月12日

 神戸市 職員3000人を削減 2010年度目標 行政経営方針
 民間活力を導入


 神戸市の2004年度市税収入は,03年度予算に比べて約69億円減の2440億円に落ち込む見通し。一方、歳出面では高齢化や景気低迷による生活保護などの負担が増加。将来は「義務的経費の増大で財政が硬直的になる」(矢田市長)と深刻な財政状況を強調した。
 歳出削減策として、現在、約20000人の市職員のうち、10年度までに、医師、看護師、消防士を除いて3000人を削減する。今後、7年間の定年退職者3900人に加えて毎年100人強が自発的に退職する一方、採用を抑制することで削減目標の達成を目指す考え。
 1兆4500億円(今年3月末)に膨らんでいる一般会計の市債残高も、10年度までに5000億円削減する。市の事業や関連施設の休廃止のほか、体育館や図書館などでは、施設運営の民間委託を進める。(日経新聞 12月12日)

 これって、わかっていたことじゃないの? だって、公務員は身分保障されているのだから、採用抑制しかできないでしょ。すでに数年も前から財政は硬直している、って指摘されてたじゃない。
 なにをいまさら、うろたえてるの、という感じ。
すべての関連工事費を入れると、約1兆円にものぼる神戸空港。特別会計だから一般会計に影響を及ぼさない、と言ってるけど、ほんとかな?
 業務の民間委託にしても、積極的な運営というよりは、駄目な企業がやる単なる経費削減の方策にしか見えない。
 生きたお金の使い方って、ほんにむずかしいことですねえ。

■12月4日

神戸空港ビルコンペ 神戸製鋼・大成建設 一騎打ち
 年末までに審査結果 神鋼は拡張に余地 大成は増築費省く


2005年度開港をめざす神戸空港の玄関口となるターミナルビルの設計、建設、テナント誘致などの事業提案コンペは神戸製鋼所と大成建設グループの一騎打ちになった。事業提案を募集した神戸市の第3セクター、神戸空港ターミナルは年末までに審査結果を出すことにしている。

○神鋼グループ:梓設計(東京)、竹中工務店(施工)
 ターミナルビル完成時には、年間319万人の利用者に対応、その後需要拡大   に応じて設備の拡張余地を残す。
○大成建設グループ:日建設計、日本空港ビルディング(維持管理)の子会社、住商アーバン開発(商業施設運営・東京)
 完成当初のままで400万人以上の需要に対応できる設計で、増築費を省く。事業費は35億円(コンペ応募条件の上限額は38〜40億円)。(12月4日 日経新聞)
 
 
うーん、相変わらずすごいな。319〜400万人だぜ、利用客が。一日約1万人か。新幹線の客が消えちまうぜ! スカイマークエアラインズが乗り込み希望を発表しているが、2大航空会社である日本航空システムと全日空はいまのところ慎重な姿勢だ。
 伊丹と関空はどう対応するんだろう? なんだか、とんでもない絵空事が現実化しているようだ。
 奇しくも、本日、空港とポートアイランドを結ぶ架橋の架設工事が始まるらしい。橋脚はすでに立っているので、橋桁がのるということか。
 走り出したら止められない公共という名の工事の滅び逝く大見本のようなものだ。

■12月1日

 
神戸大が研究拠点「神戸フィールドスタジオ」開設 
 被災地、長田区の現状発信


 阪神大震災で大きな被害を受け、現在、神戸市の復興再開発事業が進む同市長田区のJR新長田駅南地区に1日、被災地の復興と再開発の現状を記録する神戸大の研究拠点「神戸フィールドスタジオ」が開設される。同大が文科省から認定された「21世紀COE(卓越した拠点)プログラム」の一環。大学院自然科学研究科が中心となり、03年度から5年計画で研究を進める。震災から9年近くを経ていまだ更地の目立つ被災地に寄り添い、生の復興過程を学び取ろうと試みる。
 スタジオは当面、同区久保町6のマンションの1室に設置し、来年2月からは現在建設中の再開発ビルに入居する予定で、プログラムの一つ「安全と共生のための都市空間デザイン戦略」の研究を進める。教授ら18人とCOE研究員4人、大学院博士課程のリサーチアシスタント10人が中心となって再開発事業の進行状況を記録し、周辺の被災者へのアンケート調査実施も検討する。
 また、震災の記録と教訓を残そうと遺族の思いや体験の聞き取り調査を続けている、塩崎賢明・同科教授(都市計画)や室崎益輝・都市安全研究センター教授(都市防災)らのグループ「震災犠牲者聞き語り調査会」の活動拠点にもする。公開シンポジウムや講演会を開き、地域住民との交流を図る。
 塩崎教授は「震災で大被害を受けた象徴的な場所から被災地の現状を発信していきたい」と話している。(12月1日 毎日新聞) 

 震災とその復興プロセスにプロとして関わり続けている塩崎研究室、室崎研究室が、外部に拠点を持つことになった。まことに喜ばしい。まさに、ガチガチの防災意識を全面に打ち出す輩とは別種の研究者であるだけに、その後継者たちとの共同作業に大きく期待したい。COEに選定されたのであれば、その金額は半端なものではないので、庶民にきちっと還元することが求められるのは言うまでもない。

■11月22日

 
地元から 世界から 文化守れ
 行革で危機 芦屋市立美術博物館 神戸で緊急集会
 ネットで署名 500人


 芦屋市が打ち出した市立美術博物館の民間委託や売却、休館の方針に対し、反発の声が広がっている。地元市民が同館の「守る会」を結成。海外からはインターネットなどで、館の存続を求める署名が寄せられ、兵庫県内の文化関係者も21日夜、神戸市内で集会を開き、「文化行政の後退」に懸念を表明した。(11月22日神戸新聞)

 
日記でも触れたが、この日出席したが、途中で事務所に戻る幼児ができて、退席。戻ったときにはすでに終了。
呼びかけ人のアートサポートセンター神戸の島田誠代表に、今後の方向性を聞いた。
 12月2日から市議会が始まるので、著名人による共同アピールや署名活動の拡大、市民を交えた議論の場の必要性が指摘されたが、財政難という現実には抗しがたく、民間委託・NPOの管理運営のニュースタイルをどうつくっていくのか、うまくやって、これを次代の試金石にしていってほしい。芸術立県を標榜するなら、「そのぐらいやらなきゃ、兵庫県」である。
 ともかく、阪神間の貴重で、ユニークな美術館であるだけに、存続の方策を探っていくしかないのだが、一方で、「具体美術」の存在感をさらにクローズアップさせて、関西発のアートのすごさを知らしめるいい機会としたほうがいい。

署名については、
「芦屋美術博物館を守る会」事務局 高橋広美さん まで Tel:0797-23-4655

■11月18日

 
予算支出差し止め求め 市民団体提訴 神戸空港 
 
 
神戸空港建設をめぐり、市民団体「ミナト神戸を守る会」代表の東條健司さんらメンバー4人が17日、2003年度の空港関連予算334億円の支出差し止めなどを求める訴訟を神戸地裁に起こした。同会の同種訴訟は、今回で10件目。
 訴状によると、同会は神戸空港において、市の財政に回復困難な損害を与えるおそれがある/関西圏に三つ目の空港は必要性がない/埋め立てにより、大阪湾の生態系を大規模に破壊する─などの違法性を主張している。
 神戸市空港整備室は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。(11月18日 神戸新聞)


 
いわゆる粛々と整備という名の土木建設工事が進んでいる神戸空港。かえすがえすも、2年前の市長選挙で、なぜか市民派と称する候補者が乱立して、空港反対の市長にならなかったことが悔しい
 ここポートアイランドに住んでいると、ポートライナーの複線工事、空港とポートアイランド2期地区を結ぶ橋桁などがいやが応にも目にはいってくる。
そんななか、空港阻止に粘着して訴訟を繰り返し提訴する市民団体に敬意を表するが、いつもどおり、紋切り型の「コメントできない」で記事は終わる。
 当局者は、訴状を見ることはあるのだろうか? それとも、見たとして返事はきちんとするのだろうか? 新聞記者は、記事にするのなら、その結末まで追っかけて書いてもらいたい。「確かに訴状を見ましたので、コメントいたします。以下、………と」。
 私の夢想は、神戸空港の跡地利用、へと広がる。大きな人工の「トトロの森」をつくること。50年、100年先には、精霊すら住むかのような深い深い森が、六甲山から見下ろす海に出現することだ。

■11月13日

 
シリーズ ゼミナール 「地震と日本経済」 全21回

 執筆者:東京都立大 中林一樹教授、富士常葉大 池田浩敬助教授、日本システム開発研究所 佐藤隆雄主席研究員(10月〜11月13日 日本経済新聞)

 
今回はニュースではないのだが、地震による損失について、概括的に教えてくれるコラムだったのでとりあげた。
 マクロな数字が踊るだけに、現実感に乏しいのはやむをえない。99年に起きたトルコと台湾における震災復興との比較も行っているが、やはり、一般的に「貧しい」国の震災と「豊かな」国の震災では、生活補償へのレベルが違うことがわかる。財産補償のトルコ、住居再建独自策の台湾、災害復興公営住宅大量供給策のニッポン、というように。
 恐ろしかったのは、太平洋プレート共通基盤をもつ「東海」「東南海」「南海」の三つの地震が同時発生した場合の被害想定だ。
 中央防災会議によれば、三つともマグニチュード8クラスの地震が、同時発生した場合、建物全壊が約90万戸(冬の午後6時想定)、死者が最大約25000人(冬の午前5時想定)、経済的被害は最大約80兆円になると想定されている。1都2府13県643市町村という広域だけに、ベルト地帯のごとく被害が広がるのである。
 この膨大な被害への対処、はたして、わが政府は対処できるのであろうか?

■11月5日

 
体験学習の修学旅行 被災地・神戸へ
 進む街の復興、人と防災未来センター開設… 学ぶ場の受け皿 多様に
 地域活性化にも一役
 
 
 教育現場で「体験学習」の役割が高まるなか、修学旅行も従来の名所旧跡めぐりから体験型にシフトしつつある。そこで最近注目を集めているのが被災地・神戸だ。同市内に宿泊した修学旅行生の数は、復興記念事業の行われた2001年に過去最多となり、その後もハイペースが続いている。
 市内に宿泊する修学旅行生は、震災前の94年には年間50000人弱、震災の年、95年は9000人弱に激減。その後徐々に回復、01年には最高の約65000人を記録した。(11月5日 神戸新聞)
 
 その原因としては、01年の復興記念事業、02年開設の「人と防災未来センター」、神戸まちづくり研究所・まちコミュニケーションなど、旅行生受け入れNPOの存在や、予約受付や事前交渉窓口の一本化などで、行き先コースの明確化などが、あげられる。
 震災を知らない子どもたちとの交流で、地元の人々の生き甲斐や役割がきちんと整ってくれば、地域の活性化にもおのずとつながっていく。
 これから大地震が起きるであろうと予測される地域、例えば東海地方からの訪問が多いのはうなづける。だとすれば、お互いにメリットがある交流になるのだから、今後も震災を語り続けることが大切なことになる。

■11月1日

 
映画「僕は震災を知らない」 長田の今に肉薄 
 仮設店舗からロケ開始 神戸出身 元木さん
 
 
 震災被害の大きかった神戸市長田区を舞台にトキュメンタリービデオ作品を制作する同市出身の映画監督、元木隆史さん(30)=大阪市浪速区=が30日、地元住民や商店主らの撮影を始めた。仮題は『僕は神戸生まれで、震災を知らない』。元木さんは「震災を直接体験していない客観的な視点が、撮影期間中にどう変わっていくのか自分でも楽しみ」と話す。《中略》
 撮影は31日と11月8〜10日にも実施。作品は来年2月に完成予定で、CS(通信衛星)放送で放映される。(10月31日 神戸新聞)
 
 
震災を知っているからこそ、撮れるものはある。逆に、震災を知らないからこそ、撮れるものもある。? 
 震災を知っていても、見ようとしなければ知ったことにはならない、こともある。また、震災を知らなくても、想像力をはたらかせば、見えてくることもある。いずれにしても、作品は正直だ。完成すれば、観る者の解釈は自由にはばたく。さて、そのシリアスな視線に耐えうるものとなりうるかどうか、若い才能がどんな映像を見せてくれるのか、完成を待ってみよう。

■10月25日

神戸のボランティア団体「震災・まちのアーカイブ」
震災の記録  CD-ROMに集約 今日から発売
 
 
 阪神・淡路大震災の記録と記憶の伝承に取り組む神戸市内の市民グループが、当時のボランティア活動の資料などを集めたCD-ROMをつくった。被災地からの新しい情報発信手段として同グループが考案。避難所に張り出されたミニコミ誌や、市への要望書など、計約150点を収めた。
 今回、デジタル化したのは、「中央区ボランティア」の資料。区役所を拠点にした活動が保存され、避難所連絡会議の資料やハングルや英語のミニコミ誌のほか、目録もつけている。(10月25日 神戸新聞)
 
 
CD-ROM(1部1000円)は10月25日から、神戸元町3丁目の海文堂書店で販売される。
 「震災まちのアーカイブ」(は、実に丹念に、かつ持続力をもって活動しているグループで、敬意をもって見ている。季村範江代表は、「震災の記憶は徐々に薄れつつあり」として、今後も続編を制作されるとのこと。そのうち、論々神戸にも、登場していただくつもりだ。

■10月19日

 追悼のコスモス満開 震災で地滑り被害 34人犠牲の西宮・仁川
 地元住民が跡地を手入れ

 
 阪神・淡路大震災で発生した地滑りによって34人が犠牲になった西宮市の住宅街。雑草や木が生えるままになっていた跡地に、地元の住民たちがこの春、コスモスを植えた。「ここに住んだ人、ここで起きたことを忘れない」。思いを込めて育てた花は、今、満開に。遺族にも招待状を送り、19日午後2時、花見会を開く。(10月19日 神戸新聞)
 
 場所は、阪神水道企業団甲山事業所の東斜面。幅100mにわたって地滑りは起こった。土砂が直下の10戸を押し潰し、仁川対岸の3戸ものみこんだ。
 対岸の5人全員が死亡した家族と親しかった近くの主婦が、犠牲者の遺族の了解を得て、近所の人たちに呼びかけ、コスモス畑にしたという。
 記憶を記録として残すこと、コスモス畑は毎年、震災を記憶から掘り起こすことだろう、それを継いでいく営みはとても大切なことだと思われる。
 神戸でいうと、震災の爪痕はほとんどが消え去った。意識的に、かつ強制的に消えさせられた。
 何度も言うが、関東大震災以後の復興計画によって、江戸の匂いは完全に消え去った。いわば歴史を圧殺しようとした。押しよせたのは近代化という無骨な西洋の外面だったのである。


■10月14日

 
住民の25%“震災未経験” 神戸市懇話会が復興中間報告
 「教訓継承の仕掛け 重要」

 
 神戸市復興・活性化推進懇話会は、阪神・淡路大震災10年に向けて矢田市長に8日提出した「復興の総括・検証」の中間報告で、神戸で震災を体験していない市民が4人に1人になっているとし、復興過程で得た経験や教訓を次世代に継承することの大切さを指摘した。(10月9日 神戸新聞)
 
 
市外からの転入者が19%、震災後誕生者が6%、という内訳。この数字は99年1月のに比べて10%増、人の入れ替わりが進んでいることはあきらかだ。とりわけ、転入者の割合が高いのは、大阪に近い東灘区(30%)中央区(26%)灘区(26%)で、他の区はいずれも10%台。
 人口も多く、震災被害の少なかった西区、北区、垂水区のことも考えあわせると、震災そのものにこだわり続ける人が相対的に少なくなっていくのは間違いない。
 いくら教訓継承の意義を強調しても、どのような再生をはたしていくのか実感できるものでなければならないし、災害が起きても大丈夫と言える地域助け合い状況を再構築するためには、いま、なにがなされているのか、検証の中味が問われることはいうまでもない。

■10月5日

週刊誌の「9月大地震説」波紋 「予知」報道に賛否 
 「お騒がせ」「役立った」
 危険を指摘する情報は批判的に扱うべき と識者


 「大地震がまもなく起きるらしい」。そんな噂が9月中旬、首都圏の職場や学校、インターネット上で乱れ飛んだ。発端は「9月16、17日±2日のうちに南関東にマグニチュード7.2±0.5規模の地震が起こる前兆がある」との民間研究者の予測を取り上げた週刊誌報道だった。
 『週刊朝日』は、9月19日号(9日発売)で、FM電波を使って地震の前兆現象を検知する研究に携わる串田和男さん(46)の予測を取り上げた。9月中旬説の確率を「60%くらい」とした。テレビや新聞のなかには後追い報道するところも出た。
 気象庁への問い合わせ電話が、多い日には80本に達した。同庁は、「特異な地殻変動は観測されていない」と繰り返し説明した。《中略》
 地震は、予測された範囲、規模では起きなかったが、9月20日には、千葉県東方沖を震源とする地震で東京も震度4を観測。26日には平成15年十勝沖地震が起きた。予知や大地震をめぐる報道は勢いを得た形となり、週刊誌上をにぎわせた。
 
 
地震予知 気象庁は、様々な機器を備えて観測している「東海地震」でも特定の場合に限られ、その他では現段階では不可能だとしている。地震発生前の空気中のイオンの増加、地中の電流の流れ、地下水の成分の変化などの現象を地震発生と関連づける研究もあるが、いずれも科学的な裏付けが十分にとれていないというのが定説だ。(10月2日 朝日新聞)

 
民間研究者の一見解をとりあげて不安をあおるのはよくない、と考えるか、あるいは、情報の空振りでも傷は小さいと考えるか、要するに、受け取る側が判断しなくてはならない。
 報道する側のスタンスが問題だ、という指摘はうなづけるが、やはり、これって、つまるところ、民間療法や保険を選ぶ際の「自己責任」にも似て、「あんたが選びなさい」ということだ。公機関としては、言い切ることができないのだから。
 だとすれば、ふだんからメディアを観る眼を養うしかない、という、ごくあたりまえのこと、そして書かれていないことに想像を働かせることの大切さに気付くはずだが、いかがだろう?

■10月2日
 
 
震災風化 「止められない」6割 
 関西学生報道連盟 大学生100人に質問


 関西の10大学で新聞を発行する関西学生報道連盟が、大学生100人を対象にしたアンケートで、約6割が「止められない」と回答した。5月に神戸市で震災の鎮魂モニュメントが大学生に壊された出来事を知らない学生も7割に達し、震災への関心が薄れることを懸念する声があがっている。
 連盟には京阪神と奈良の新聞サークルが加盟し、計3万6千部を年7回発行。鎮魂モニュメント「1.17希望の灯り」が壊された後、震災を語り継ぐ連載記事をホームページを中心に続けている。
 アンケートは7〜9月、加盟する大学の構内などで100人に用紙を配って記入してもらった。(中略)
 アンケートを担当した関西大商学部3年の植中喬光さん(21)は「ほぼ半数が『1月17日以外に震災を意識することがある』とも答えている。何かあれば興味を持ってもらえるはず」と話す。(10月2日 朝日新聞)

 私は風化するのがあたりまえ、と思っている。それをふまえたうえで、記録と記憶を語り継ぎ、残していくのが、いまを生きているもののつとめ、でもあろうと思っている。
 現実だからといってあきらめることはないし、怒る必要もない。また、それを責めるものでもない。震災が結節点となった人々にとっては、通奏低音のように、10年が過ぎようと、20年が過ぎようと、生きている間は響いていく。
風化は風化。しかし、消えていくものもあれば、また、風に乗っていずこにかは着地して、芽生えもあるうるのだ、と考えていたい。

■9月26日

 
震災10年シンポジウムで 連携市民大学を提案
 神戸大の岩崎教授 「民知」と「学知」で


 阪神・淡路大震災から十年を向けるのを前に、復興過程の検証をすすめている民間団体「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市中央区)が、24日夜、中央区内でシンポジウムを開いた。
 神戸大学文学部長の岩崎信彦教授は、10年を機に被災地の大学とNPOなどによる「連携市民大学」を発足させることを提案した。
 被災地のNPOや市民が蓄積してきた「民知」と研究者の「学知」が連携する必要性を指摘した。市民と研究者でつくる学びの場「連携市民大学」を04年頃に設立し、その後も恒常的組織とする構想を発表。「震災後に芽生えた『多元的共生社会』実現への動きを深める場に」と呼びかけた。
 また、国内外の被災地支援に取り組む「被災地NGO恊働センター」(同市兵庫区)の村井雅清代表は「『被災者の自立とはなにか』という課題が、まだ深く議論されていないのではないか」と問題提起。震災10年の検証では、「震災を経験した子どもたちと話し合う場を」と話した。(9月26日 神戸新聞)

 『論々神戸』において発表されていたアートサポートセンター神戸の島田誠氏の構想でもあった「自由大学」から飛び火して、実際に動きはじめようとしている。
 国立大学といえども、独立行政法人と少子化という現実のなか、新たな道を模索せざるをえない、事情も一方にある。
 ところで、聞くところによると、あの暴言仕掛人知事のいる東京都は、東京都立大学をドラスチックなまでに、変革(?)するという。その中味は、大幅な教員の削減だ。もっとも、危機感すらいだいていなかった「象牙の塔」に対する反省がなければ、大衆は「いい気味だ」と溜飲をさげるだけという、寂しいことになる。ここでも、問題なのは、人文系を軽視する「効率、能力、金」一点張りの実学指向でもあるのだから。
 「連携市民大学」構想が、知的にスリリングなものになるように、魂を入れるためには、NPOと研究者の今後の恊働作業が非常に大切になる。
 いつか、神戸空港跡地に、ほんとうに「知の森」が出現したり、して(笑)。

■9月25日

阪神大震災前の2カ月半 野良犬徘徊,噛みつき…3割増
滋賀県保健所医師ら調査 前兆現象 裏付け?


 8年前の阪神・淡路大震災で、滋賀県の保健所に地震発生前の2カ月半の間に野良犬の徘徊や、噛みつき等の苦情が前年同期より、約3割多く寄せられていたことが、医師らの調査でわかった。
 震源となった兵庫県・淡路島内でも似たような傾向が見られていたといい、10月6日からの日本地震学会(京都市)で発表される。
 調査に当たったのは、同県今津保健所の嶋村清志医師(公衆衛生専門)ら。
 
 □週平均苦情件数(94年11月〜95年2月、および前年同期)
  93年度 29.7件 → 94年度 37.6件(県内保健所9カ所)
  一方淡路島にある3保健所では、震災1カ月前、苦情件数は前年同月比60%  増。ただし、震災前一週間では、前年同月比40%増の滋賀県に対し、淡路は60%以上の減となった。(9月25日 神戸新聞)

 
地震前の犬の異常行動は、地震雲などと同様、「宏観異常現象」のひとつで地震の前兆という見方があるが、因果関係については解明されてはいない。
 しかし、身に危険が迫るというセンサーが古来より働く野生動物(野良犬がその範疇にはいるかどうかは ? ではあるが、飼い犬の比ではない)が、予兆を感じるのは納得できる。それは、現代の人間にもっとも欠けているものの一つだからだ。

■9月21日
震災報道のあり方を議論 横浜でシンポジウム

 関東大震災から今年で80年を迎えたのを機に「大震災と報道の役割」と題したシンポジウムが20日、横浜情報文化センター(横浜市中区)であり、報道各社の記者らが震災体験や災害報道のあり方を話し合った。
 神戸新聞社会部の磯辺康子記者は阪神大震災の体験を「社内はロッカーや本棚が倒れてひどい状況だったが、かき集められるだけのフィルムを持ち、交通機関の途絶えた町をとにかく歩いた」と回顧、同社が京都新聞と連携して新聞を発行したエピソードを拾うした。
 静岡新聞社会部の柳川実記者は、東海地震についての関心のたかまりを受け、週一回発行している「週刊地震新聞」への取り組みを紹介。「震災の被害を減らすために、事前に何を伝えていくかが課題だ」と話した。
 関東大震災を伝える当時の新聞なども紹介され、訪れた報道関係者や市民ら約100人はメモをとりながら、聴きいった。(9月21日 日経新聞)

 横浜での企画だが、神戸ではこのテーマ、ここ数年、毎年、近畿の新聞労連が企画している、はずだ。私も二度参加した。
 震災から8年もたてば、地元紙はともかく、全国紙各社の記者は、ほとんどが様変わり。彼らは、あらゆるジャンルを担当するため、ひとつのことを深く追いかけることなんて、とてもむずかしい。となれば、白紙の状態で、あらためて当時のことを、聞いてくる。
 我々が当然のことだと思っていても、彼らは知らない。さすれば、8年の歴史を簡単に解説する能力を、私たちは逆に持たなければならないことになる。それは大変大切なことだと思われるが、いかがだろうか?

■9月18日

 
住宅再建支援で兵庫県調査会 「共済は任意加入」 方針を固める

地震などで家を失った被災者に対する住宅再建支援として、兵庫県が独自の共済制度をめざし設置した「被災者住宅再建支援制度調査会」が17日、神戸で開かれ、強制加入でなく「任意加入による制度化」の方向でほぼ一致した。
 支援対象を幅広く自然災害とするほか、耐震補強支援への利用も検討。今後は給付金額などと同時に加入者確保の方策も論議する。(9月18日 神戸新聞)

 
これは一種の助け合いの制度に思えるのだが、問題は加入者の確保、つまりは営業である。共済に入ってトクをした、と思ってもらえるかどうか。おトク感をどう打ち出すのか、これって、商品を売るのと同じだから、ある意味、PRと企業努力が必要になる。座長を務める室崎益輝神戸大学都市安全センター教授にとっても、より具体的な策を打ち出さなければ、有効な手立てとはなりえないことはわかっているはずだが、来年1月の最終報告の内容に注目したい。

■9月9日 
 
 
神戸安全ネット 帰宅困難者に沿道支援 災害想定し、実験
 
 南海地震で交通機関がストップする事態を想定、徒歩で家路に就く「帰宅困難者」に対し、沿道の企業がどんな支援ができるかを探る実験が9日、神戸市内で初めて行われた。
 危機管理をテーマに産官学の専門家や防災担当者でつくる「神戸安全ネット会議」(会長・室崎益輝神戸大教授)が計画した。
 午前9時半、参加者約100人が、東遊園地(神戸市中央区)を東西ルート(約6.5km)の二手に分かれて出発。沿道では、同ネットの会員企業4社がビルのトイレを開放したり、休憩所を開設、飲み水や迂回路情報を提供。コンビニも水を配った。(9月9日 神戸新聞)

 大きな企業であればあるほど、帰宅困難者が出る。であれば、企業側が助け合いの精神をもっていなければ、絵に描いた餅だ。また、インフラに直接関わる大企業によっては、それどころではないかもしれない。ここでも誰がつなぎ役になるのだろうか、という疑問が出る。おそらく行政なんだとは思うのだが?
 どこまでも歩いて帰る、そういう体力をふだんからつけておくことも大切。所詮、最後は身体なのである。

■9月5日

「開局の原点に立ち返ろう」  FMわぃわぃ 放送内容を全面見なおし
  
 阪神・淡路大震災をきっかけに兵庫県初のコミュニティ放送局として開局した「FMわぃわぃ」(長田区海運町)が、放送内容の全面的な見なおしをする。経営悪化も背景にあり、30日夜に開かれた支援者らへの説明会で神田裕代表は「多様性の重視と住民自治を目指した開局の原点に立ち返り、震災10年を迎えたい」と述べた。(中略)
 再建委員会の日比野純一委員長は「地域との関係を再構築したい。一時的に番組は減らさざるをえないが、来春から内容を吟味しながら少しずつ回復させたい」とした。
 コミュニティFMは震災後、防災機関として評価され、被災地を中心に開局が相次いだ。現在、県内には10局あり、大半が第三セクター方式で運営され、純民間は「わぃわぃ」を含めて3局だけ。(神戸新聞9月1日)
 
 私の住む中央区では聴けない局。したがって内容についてはコメントできないが、かつて、出演させていただいたことのあるコミュニティ局、3局のひとつなので、支援と内容は不可分の関係だけに、これからどのようなスタイルになるのか、注目していきたい。もちろん、エールをおくるということだ。

■9月1日

 「今後大地震起こる」岩手県民74%ー佐賀4% 地域でばらつき顕著 
 兵庫26%で全国平均34%を下回る

 
 住んでいる地域で今後、大地震が起きると思う人の割合は、地域によって数%から70%以上まで著しいばらつきがあることが、関東大震災から80年となる9月1日を前に、時事通信社がまとめた世論調査の結果でわかった。専門家は「防災意識にも大きな地域差があるとすれば問題だ」と指摘している。(神戸新聞8月31日)

 関東大地震が想定される東京・千葉で約52%、東海大地震の静岡で68%、南海沖地震の和歌山で60%、宮城沖地震の宮城が60%と、「起こるぞ」と言われている地域と近々に起こった地域では高く、一方で、佐賀を筆頭に、福岡、長崎などは一桁、北陸は25%以下、という対照的な数字となった。
 兵庫をはじめ、大阪、京都は33%程度と、逆にあれだけおおきな地震が起こった後だから、起こりそうもない、と高をくくっている節がみられる。
 80年前の関東大震災は、まだ東京にあった、文化としての江戸時代の名残をたたきつぶしたといってよい。震災復興はさらなる近代化の呪縛にからめとられていったのである。
 直接、被害を受けた被災者だとどのような結果になるだろうか? 起こって欲しくないという思いもこめて、起きないと思うに○をしたかもしれない。
 

■8月30日

復興住宅入居者 「暮らしに目処」3割 コミュニティ 依然課題

 兵庫県が阪神・淡路大震災の復興公営住宅の入居者にアンケート調査(県委託の阪神・淡路大震災祈年協会が担当。復興住宅約26,300戸対象、17,000戸の約65%が回答)を行ったところ、「暮らしの目処がたった」と感じている人が約3割にとどまっていることが29日、わかった。地域でのイベントなどへの参加が広がる一方、震災前にくらべ、「家にいる時間が増えた」とする入居者が4割を超えるなど、コミュニティづくりの課題を残す格好となった。(神戸新聞8月30日)

 ひとり暮らしが37%、65歳以上が38%、職業は「無職」と「年金生活」とで68%、という数字が並ぶ。
 ほとんど高齢者だけの復興住宅とは、なんなのか? 「自治」という言葉すら空虚に聞こえる。しかし、コミュニティ=地域共同体、これを大切にしてこなかった都市化をはじめとする近代合理主義の結果だといったところで、生身の生活者には、なんにもなりはしない。
ことここにいたった以上、住民同士の助け合いを中心に、公的支援者(生活援助員、高齢者世帯生活援助員など)やボランティア(阪神高齢者・障害者支援ネットワークなど)に頼るしかない。
 やはり、被災地はニッポンの近未来を先取りしている。ならば、そうはならないような先取り施策をなんとかしないといけないんだろう? プロの行政マンたちよ。

■8月25日

 震災前に比べ 生活低下半数 庶民に吹く風冷たく…

 神戸市は、22日、市民一万人アンケートの結果(回答5090人)を発表した。そのなかで、阪神・淡路大震災前に比べて「生活が低下している」とする回答がほぼ半数(48%)を占め、うち約6割が原因として「不況の影響」をあげた。同じ内容で実施した4年前に比べ、「生活が低下」の回答が微増する一方、原因では、前回7割をこえた「震災の影響」が、今回は15%にとどまっており、震災後の不況が生活復興を妨げている現状がくっきりと浮かび上がる結果となった。(神戸新聞8月23日)

 生活が向上している(6.7%)と同じようなもの(39.3%)を合わすと46%。つまりは、デフレ状況のなか、変わらないというは、相対的に暮らしやすくなっているはずだから、やはり、中間階層が2極分化していっているといってよい。これが小泉構造改革の実質でもある。86年には所得税の最高税率は70%だったが、99年以降、37%にまで下がっている。塩川財務大臣は、23日、06年度以降にも消費税をあげる意向を表明、その際、食料品などの税率軽減は困難という見方を表明した。
このままだと、わが国は、強い者だけが生き残る社会に確実に向かっていく。

■8月21日

 震災後の空き地 創造の大地へ 現代美術展に活用 長田・御蔵地区

 阪神大震災で家屋の約8割が全壊・焼失した神戸市長田区の御蔵地区。その空き地を活用し、現代美術のオブジェを展示した「空いている地球展」(NPOリ・フォープのメンバーが創作 http://www.riwfoap.com)が開かれている。企画したのは同地区の活性化に取り組むNPO「まち・コミュニケーション」(まちコミ)。空き地から採取した土を加えた粘土で陶器をつくる試みも始め、「空き地は震災の爪痕ではなく、無限の可能性が眠る大地」と話す。(朝日新聞8月20日)

この企画、震災空き地をどう地域の活性化に利用するか、意識と発想の転換をはかるために行われる『みくらウィーク』の一環として、31日まで行われている。継続されている第13回御蔵学校は23日から24日に開催された。まだ、会期はあるので、ぜひ、現地で実感していただきたい。

■8月15日

 地震、津波、洪水… 先人の知恵 防災に生かせ

 地震、洪水などの防災に、過去の体験や先人の知恵を生かそうとする研究が、最近、活発だ。古文書や歴史的建造物を調べ、得た知見を原題に応用する方策を探る。自然科学、人文科学の境界をこえた新しい研究と言え、現代が抱える様々な課題も浮き彫りになってきた。(日経新聞8月9日)

 「災害研究の成果は、総合的である必要があり、次の対策に生かされないと意味がない」と、災害史研究の第一人者、北原糸子歴史民俗博物館客員教授は指摘する。まさにそのとおり、である。
 9月21日まで開催されている「ドキュメント災害史」(国立歴史民俗博物館 千葉県佐倉市)に注目したい。というのは、大規模の自然災害は必ず、その後の社会変貌と関わっているからだ。

■8月10日

 神戸経済同友会の池田志郎代表幹事は、8日、「阪神大震災から10年を迎える2005年に関西財界セミナーを神戸で開けるよう前向きに取り組みたい」と述べた。セミナーを主催する関西経済連合会、関西経済同友会に提案したい考えだ。関西財界セミナーは1963年に始まり、今年の京都での開催が41回目。(日経新聞8月9日)

震災から10年の節目に神戸で開催し、復興をアピールする機会にしたい、との意向のようだが、おそらくは10年という節目を契機に、はやく震災イメージから脱却したい、そして大競争時代に勝ち残りたい、ということなのだろう。
表向きは、震災ダメージの影響は全く見えなくなっているだけに、ステップアップしたい気持ちはわかるが、地球規模で限りある資源のなか、経済成長が期待できにくい時代をみすえて、新たなパラダイム転換を神戸財界は、本当に真剣に考えているのだろうか? であるならば、力を持つ人々だけに、しっかりとしたビジョンを見せてほしい。

■8月7日

 震災10年に向け復興の総括・検証作業に取り組んでいる神戸市は、神戸の魅力を生かしたまちづくりの提言を市内の大学生から募集する。テーマは「震災の教訓をふまえた、これからの神戸の魅力づくり」。提言は1600字以内にまとめる。提言内容は総括・検証作業を担う「復興・活性化推進懇話会」に報告される。最優秀賞には10万円ほか、贈呈。(神戸新聞8月7日)

 結構なことではあるが、応募者は、少なくとも『大震災100の教訓』(兵庫県震災復興研究センター、塩崎賢明、西川榮一、出口俊一・編 クリエイツかもがわ・発行)を読んでから、提案していただきたいものである。

■8月3日

 宮城県の浅野知事は、「7月26日の宮城県北部地震で全壊した住宅を建て直した被災者に一律100万円を支給する」と発表した。
 半壊の住宅でも、やむをえず立て直す場合は全壊とみなし、補修で済む場合は50万円を支給する。地域、所得、年齢などによる制限は設けない。支給総額は10億円程度の見込み、補正予算を組んで対応するとのこと。(朝日新聞8月2日)

 住宅再建への現金支給は、鳥取県に次いで2例め。いずれも、現状改革に燃える官僚出身のリーダーシップ型知事である。